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月間税務〜経営者が知っておくべきこと〜
   
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2020年12月償却資産税・償却資産税の減免申請2020年10月「Go To トラベル」等の精算金額と仕訳2019年9月「キャッシュレスポイント還元」の精算金額2019年8月地方税共通納税システムに係る事前口座登録2017年6月「法定相続情報証明制度」が始まりました2017年4月平成29年度税制改正(配偶者控除・配偶者特別控除)2017年3月医療費控除と医療費控除の特例2016年10月海外に住む扶養親族(扶養控除)の注意点2016年6月マイナンバー制度改正2016年1月マイナンバー制度開始です。2014年9月ふるさと納税をしてみました。2014年3月ICカードの消費税の振り替え処理2013年11月納税証明書のオンライン請求が安くて便利です2013年6月経営革新等支援機関の認定を受けました、是非ご利用ください。2012年12月預金利息から控除される復興増税2012年6月復興増税についてまとめてみました2011年12月医療費控除をした領収書の保存期間が5年に!2011年6月社会保険の算定基礎届、新しい基準の追加2011年2月基準期間の課税売上高の計算の間違った知識2010年10月上場株式のみなし取得費の特例は平成22年12月31日までの譲渡で終了2010年8月平成23年から扶養控除の範囲が変ります2010年6月ダイレクト納付とても便利です2010年4月相続財産の売却にご注意2009年12月22年度税制改正大綱ようやくです2009年12月賃貸住宅の借り手保護に新法案の兆し2009年11月賃貸建物の建設にかかった消費税の還付に待った?!2009年9月子ども手当創設と扶養控除廃止2009年8月判例にみる売上計上時期2009年6月今年の9月よりいよいよダイレクト方式による納税スタート2009年4月平成21年度税制改正成立しました。2009年3月医療費控除/所得税確定申告間近2009年1月不況による緊急対応!役員の給与についての公表2008年12月不況対策、21年度税制改正大綱公表2008年10月調査官は調査件数にノルマあり?!2008年8月上場株の配当がある方はここが変わります!2008年6月公益法人の大制度改革2008年4月メール警視庁2008年1月平成20年度税制改正の大綱・要綱がようやく1月11日閣議決定2007年11月今年の年末調整、少々面倒です2007年10月 税務調査の法律2007年8月 住宅ローン控除、住民税で救済措置、申告が必要!お忘れなく2007年7月 使えない「改正事業承継」2007年6月 役員給与は定期同額だけじゃない!2007年3月 所有権移転外ファイナンス・リース取引を売買取引とみなす2006年12月 19年度税制改正大綱/早くも断念特殊支配同族会社の・・・2006年11月 e-Japan戦略/年末調整の留意点 二本立て2006年10月 税金もっと安くならない?2006年9月 駐禁取締り強化の会計処理2006年8月 ”信用がない”決算書??2006年7月 銀行がここを見る、企業の格付け2006年6月 役員報酬に関する改正『遡及増額の損金不算入』2006年3月 税額控除を上手に利用しましょう『IT投資促進税制編』2006年2月 税額控除を上手に利用しましょう『中小企業投資促進税制編』2006年1月1人オーナー会社の役員報酬の一部損金不算入事件2005年12月消費税の有利判定、本当に大丈夫?2005年11月年末調整の時期がやってまいりました2005年10月預金者保護法2005年9月固定資産税を安くする2005年8月従業員を動かす2005年7月マルサの話2005年6月会社法施行後の有限会社2005年5月売上修正(返品、値引等)があった場合の税務調査のポイント2005年4月収益(売上げ)の計上・税務調査のポイント2005年3月発注元との打合せ酒食が「交際費」に該当するとされた事例2005年2月消費税簡易課税の提出期限の特例2005年1月奥様のパート収入はいくらまでが得?2004年12月平成16年年末調整の改正点2004年11月役員報酬の取扱2004年10月赤い羽根募金2004年9月同一生計妻に対する住民税の非課税廃止

◆メールマガジン・コラム

償却資産税・償却資産税の減免申請
2020年12月

新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により
事業収入が減少した中小事業者等に対して、令和3年度課税の1年分に限り、
申請により、事業用家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の
負担が軽減されます。

1 軽減措置の対象となる納税義務者及び軽減割合

一定の収入の減少(※1)があった中小事業者等(※2)で、
令和3年2月1日(月)までに都税事務所宛てに課税標準の
特例措置に関する申告をされた方の事業用家屋及び償却資産に
係る令和3年度分の固定資産税及び都市計画税の課税標準を
2分の1又はゼロとします。

※1 令和2年2月〜10月までの間における任意の連続する3ヶ月の事業収入が、
前年の同期間と比べて
、 30%以上50%未満減少している方 → 2分の1
50%以上減少している方 → ゼロ

※2 以下のいずれかの条件に該当する法人又は個人をいいます。
(1)資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人(*)
(2)資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
(3)常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
* 次の法人は、資本金が1億円以下でも対象とはなりません。
@同一の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人
A2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人
なお、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業を営んでいる方を除きます

2 軽減対象となる資産

(1)事業用家屋

※個人の所有する自己の居住用の家屋は対象外です。
一方、個人事業主として不動産賃貸業を行っており、
当該事業として居住用家屋を貸し付けている場合、
当該事業収入が一定の減少要件等を満たせば対象となる場合があります。
事業用と居住用が一体となっている家屋については、事業専用割合に
応じた部分が軽減の対象となります。
※令和3年1月1日時点で所有している事業用家屋が軽減対象となります。

(2)償却資産

3 提出書類

(1)特例申告書
裏面に「認定経営革新等支援機関等確認欄」がありますので、当該機関等の確認を受けてください。

(2)特例対象資産一覧
事業用家屋を所有する場合は、(1)の別紙「特例対象資産一覧」を添付してください。
※償却資産については、令和3年度償却資産申告をもって特例対象資産一覧を提出したこととなります。

(3)収入が減少したことを証する書類(写)
会計帳簿や青色申告決算書など、収入が減少したことがわかる書類の写しを添付してください。
収入減に不動産賃料の「猶予」が含まれる場合、猶予の金額や期間等を確認できる書類を添付してください。

(4)(個人事業主で事業用家屋を所有している場合)特例対象家屋の事業専用割合を示す書類(写)
青色申告決算書や見取り図など、事業用部分の割合が分かる書類の写しを添付してください。

※(1)(2)はページ上部の特例申告書を使用してください。


4 申告までの流れ

@ 特例申告書に必要事項を記入します。事業用家屋を所有する場合は別紙も記入してください。
     ↓
A 上記3に掲げる書類を認定経営革新等支援機関等に提出し、要件を満たしていることの確認を受けます。
(特例申告書の裏面の【認定経営革新等支援機関等確認欄】に記名・押印をもらいます。)
     ↓
B 上記3に掲げる書類を資産の所在する区にある都税事務所に提出します。
※特例申告書については認定経営革新等支援機関等の確認を受けていることが必要です。

5 申告期限等

令和3年2月1日(月)までに申告が必要です。
上記3に掲げる書類を資産の所在する区にある都税事務所まで郵送又はご持参ください。
※現在、新型コロナウイルス感染症対策のため、都税事務所の業務体制を縮小しております。ご申告は、ぜひ郵送をご利用ください。
※令和2年12月11日から、eLTAXによる特例の申告も可能となりました。


「Go To トラベル」等の精算金額と仕訳
2020年10月

10月1日より東京もGo To トラベルの対象となっており、
業務出張等にも適用がありますので、Go To トラベルを利用した場合の
精算等につきましてご案内いたします。

【税込22,000円の宿泊費について、7,700円の補助を受ける場合】

従業員さん等の精算書は以下の通りとなります。
旅費 22,000円
雑収入 △7,700Go To トラベル補助
-------------------------------
14,300円を精算します。

仕訳(免税事業者)
旅費交通費 22,000/ 現金等 14,300
         / 雑収入 7,700

仕訳(簡易課税適用事業者)
旅費交通費 22,000/ 現金等 14,300
         / 雑収入 7,700(対象外)

仕訳(本則課税・税込経理)
旅費交通費 22,000(10%)/ 現金等 14,300
             / 雑収入 7,700(対象外)

仕訳(本則課税・税抜経理)
旅費交通費 20,000(10%)/ 現金等 14,300
仮払消費税等 2,000    /
     / 雑収入 7,700(対象外)

※宿泊税、入湯税等が課される場合は、それを抜き出し、消費税対象外としてください。

【次に、税込2,160円の菓子を地域共通クーポンン1,000円を利用し得意先へ手土産として持参した場合】

従業員さん等の精算書は以下の通りとなります。
接待交際費 2,160円
雑収入 △1,000 地域共通クーポン利用
-------------------------------
1,160円を精算します。

仕訳(免税事業者)
接待交際費 2,160/ 現金等 1,160
        / 雑収入 1,000

仕訳(簡易課税適用事業者)
接待交際費 2,160/ 現金等 1,160
        / 雑収入 1,000(対象外)

仕訳(本則課税・税込経理)
接待交際費 2,160(軽減8%)/ 現金等 1,160
         / 雑収入 1,000(対象外)

仕訳(本則課税・税抜経理)
接待交際費 2,000(軽減8%)/ 現金等 1,160
仮払消費税等 1,600     / 雑収入 1,000(対象外)

「キャッシュレスポイント還元」の精算金額
2019年9月

2019年10月1日より2020年6月まで、政府が推進するキャッシュレス化に向け
一部の事業者より、クレジットカード、ICカード、携帯電子マネー等による
決済に、キャッシュレスポイントが還元されることが決まっております。

この場合の精算の仕方ですが、キャッシュレスポイントを還元された後の
金額で精算をし、会計処理をすることになります。

ほとんどの事業者では、その買い物をした即時ポイント還元がされますが、
クレジットカード決済は、そのクレジットカードの引き落としの際にポイント還元
されるところが多いようです。
楽天等、一部の事業者は、後日ポイント還元となっているようです。

その場合は、後日ポイントが還元された資料を添付し、買い物をした
時の金額から差し引いて精算をします。
仕方なく、個人のクレジットカードを利用した場合は、
利用明細の関係ない箇所を墨消しし、経費精算したところだけ、決済金額が
わかるよう、資料を保管します。

例:10/2 PASMOで 文房具 税抜100円+消費税10円、税込み110円を購入した。
 即時、キャッシュレスポイント還元として(税抜5%)5円が還元され、
実際のPASMO決済額は105円であった。
この例では、105円を精算し、会計処理をします。

※電子マネーのチャージについては、貯蔵品として資産に計上されるだけですので
これまでと同様に利用時の領収書、レシートが必ず必要です。
(交通費精算の場合、これまでと同様に利用履歴印字が必要です。)

なお、キャッシュレスポイント以外の、これまで既にありましたクレジットカードの
利用額に応じたポイントや、楽天ポイント、アマゾンポイントの取得に
ついては社内で規定等を設けるとよいでしょう。

地方税共通納税システムに係る事前口座登録
2019年8月

これまで国税のみで可能でしたダイレクト納付について、
地方税のダイレクト納付ができるようになります。

ダイレクト納付をご希望の場合にはお手続きください。

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地方税共通納税システムに係る事前口座登録について
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2019年10月1日から稼働を開始する地方税共通納税システムにおいて、
8月19日から9月13日までの間、
ダイレクト納付で利用する金融機関口座の事前登録が行えます。

詳細は以下の地方税共同機構ホームページよりご確認いただけます。
【共通納税システム】事前口座登録についてのお知らせ(eLTAX HP)

http://www.eltax.jp/www/contents/1565223089738/index.html 

  「法定相続情報証明制度」が始まりました
2017年6月

平成29年5月29日から全国の登記所で「法定相続情報証明制度」が開始されました。
この制度が創設されたのは、相続登記が未了のまま放置され、所有者不明の土地、 空き家問題に対処するため、相続登記の促進に取り組むとされたためです。

この制度のねらいは、各種相続手続きにおける関係機関の審査にかかる専門分野の人件費 が軽減されることのようですが、
相続人らにとっては、各種の相続手続きの際に戸籍関係書類等一式を金融機関等ごとに提出する手間を 省力化し手続きの負担を軽減することは大きなメリットです。

手続きとしては、一度はこれまでと同様に必要書類を整える必要はありますが、 それを一度行えば、何枚もの戸籍謄本などを準備することは必要なくなる とのことです。

ただし、6月5日時点で、国税庁の担当の方から公式に公表されたものですが、相続税申告には この「法定相続情報証明制度」はまだ使えない、とのことで相続税申告に 関しては、未だ必要な資料を全部整えなければならない、とのことでした。 恐らく、今後は相続税申告に関しても「法定相続情報証明制度」のみの添付書類で 足りることになるのではないでしょうか。期待したいところです。

「法定相続情報証明制度」の手続きの流れは以下の通りです。

まず、法定相続人または代理人(税理士等)が
 1.戸除籍謄本等を収集し
 2.法定相続情報一覧図を作成します。
 3.申出書※を作成し、上記1.2.を添付して登記所に申し出ます。

※提出された戸除籍謄本等の記載の情報に限る(放棄や遺産分割協議は対象外)
※数次相続発生の場合、一人の被相続人ごとに作成

次に、登記所において
 1.登記官により確認、法定相続情報一覧図が保管されます。
 2.認証文付法定相続情報一覧図の写しが交付されます。(手数料無料)
 3.戸除籍謄本等の返却がされます。

そして、この利用は
相続登記のみならず、不動産以外の財産権の名義変更の手続き、 金融機関等における預金の払い戻し手続き、保険金請求手続きで 活用できることになります。

この制度が始まったからといって、これまで通りの戸籍の束で相続 手続きをすることももちろん可能です。

登記の専門官である登記官により、「認証文付法定相続情報一覧図」の写しが 交付されることにより、これまでよりも金融機関等での 手続きにかかる時間が短縮されるものと見込まれます。

平成29年度税制改正(配偶者控除・配偶者特別控除)
2017年4月

配偶者控除・配偶者特別控除(以下「配偶者控除等」という)が改正されます。

改正後の配偶者控除等の規定は、納税者本人の所得が1千万円(給与収入1,220万円)以下の人で 配偶者の所得が123万円(給与収入201万円)以下の場合に適用されます。

この改正は、所得税は平成30年分以後について、住民税は平成31年分以後について適用します。

納税者本人の所得と配偶者の所得によって配偶者控除等の額が違いますので 納税者の所得ごとに、配偶者の所得に応じた配偶者控除等の額を区分してまとめてみました。

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(1)納税者本人の給与収入が1,120万円以下(合計所得金額900万円以下)の人

   @ 配偶者の給与収入150万円以下(合計所得金額85万円以下)→ 配偶者控除等 38万円
 A   〃     155万円以下( 〃    90万円以下)→   〃    36万円
 B   〃     160万円以下( 〃    95万円以下)→   〃    31万円
 C   〃     167万円以下( 〃    100万円以下)→   〃    26万円
 D   〃     175万円以下( 〃    105万円以下)→   〃    21万円
 E   〃     183万円以下( 〃    110万円以下)→   〃    16万円
 F   〃     190万円以下( 〃    115万円以下)→   〃    11万円
 G   〃     197万円以下( 〃    120万円以下)→   〃     6万円
 H   〃     201万円以下( 〃    123万円以下)→   〃     3万円
------------------------------------------------------------------------------------

(2)納税者本人の給与収入が1,170万円以下(合計所得金額950万円以下)の人

   @ 配偶者の給与収入150万円以下(合計所得金額85万円以下)→ 配偶者控除等 26万円
 A   〃     155万円以下( 〃    90万円以下)→   〃    24万円
 B   〃     160万円以下( 〃    95万円以下)→   〃    21万円
 C   〃     167万円以下( 〃    100万円以下)→   〃    18万円
 D   〃     175万円以下( 〃    105万円以下)→   〃    14万円
 E   〃     183万円以下( 〃    110万円以下)→   〃    11万円
 F   〃     190万円以下( 〃    115万円以下)→   〃     8万円
 G   〃     197万円以下( 〃    120万円以下)→   〃     4万円
 H   〃     201万円以下( 〃    123万円以下)→   〃     2万円
------------------------------------------------------------------------------------

(3)納税者本人の給与収入が1,220万円以下(合計所得金額1千万円以下)の人

   @ 配偶者の給与収入150万円以下(合計所得金額85万円以下)→ 配偶者控除等 13万円
 A   〃     155万円以下( 〃    90万円以下)→   〃    12万円
 B   〃     160万円以下( 〃    95万円以下)→   〃    11万円
 C   〃     167万円以下( 〃    100万円以下)→   〃     9万円
 D   〃     175万円以下( 〃    105万円以下)→   〃     7万円
 E   〃     183万円以下( 〃    110万円以下)→   〃     6万円
 F   〃     190万円以下( 〃    115万円以下)→   〃     4万円
 G   〃     197万円以下( 〃    120万円以下)→   〃     2万円
 H   〃     201万円以下( 〃    123万円以下)→   〃     1万円
------------------------------------------------------------------------------------

納税者本人の給与収入が1,220万円(所得1千万円)を超える人は配偶者控除等の適用はありません。
配偶者の給与収入201万円(所得123万円)を超える場合は配偶者控除等の適用はありません。

配偶者控除等の適用される納税者本人に収入制限を設けることとし、給与収入(合計所得金額)が 1,120万円(900万円)を超える場合には控除額が逓減・消失する仕組みとしました。

働きたい人が就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築する観点から、 配偶者控除・配偶者特別控除の見直しを行います。としていますが、 これまでの103万円(配偶者控除等の控除)の壁よりも、社会保険の壁の方(収入130万円または従業員501人以上の企業106万円)が 負担増になってしまいますから、社会保険料の改正も考えないと、配偶者控除等の改正の効果は少ないのかもしれません。


医療費控除と医療費控除の特例
2017年3月

平成29年1月1日から平成33年12月31日の間にドラッグストアなどで購入した 一定の薬(スイッチOTC医薬品)について、医療費控除の特例(セルフメディケーション 税制)が始まっています。

これまである医療費控除とセルフメディケーションは、どちらか一方のみ 選択適用になります。

どちらを適用するにしても、翌年に確定申告が必要です。

二つの違いについて整理してみましょう。

医療費控除は、病院の治療費、病院までの交通費、手術費用、処方箋による調剤薬局での薬の購入、 ドラッグストアなどでの薬代で一定のものの支出で、保険などで補てんされた金額を除いた金額が対象です。
(その家族の医療費を含めてOK)
医療費の支出は上限200万円。
下限は10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額の5%)

セルフメディケーションは、病院での治療費、手術費用は対象外で、 処方箋による調剤薬局での薬の購入も対象外です。
ドラッグストアなどでの全額自費購入の薬代で、セルフメディケーションの対象となるマーク が入っているものが対象となります。
また、セルフメディケーション税制の適用を受ける人がその年に、インフルエンザ予防接種や 健康診断などをしている人(予防接種などの証明書も保存)が適用を受けることができます。
(その家族の薬代を含めてよく、その家族が予防接種などをしていなくてもOK)
セルフメディケーショの支出は上限10万円。下限は1万2千円

どちらを適用した方が得になるかはその年が終わってみないとわからないので とりあえずは全ての医療機関での領収書、ドラッグストアなどでの薬購入領収書、 予防接種などの証明書は保管しておきましょう。
どちらを適用した方が良いかは、その人の所得や医療費の使い方によって異なります。 一例として所得別に二つの計算例を挙げますので参考にしてください。
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給与収入250万円(総所得金額157万円)の人の場合

医療費控除 医療費支出額78,500円〜200万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜192万1,500円)支出額が166,500円を超える場合こちらが得
例:(20万円医療費支出-78,500)×5.06%=6,147円所得税・復興税還付
                ×10%=12,150円住民税減税

セルフメディケーション OTC支出額12,000円〜10万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜8万8千円)支出額が166,500円未満の場合こちらが得
例:(10万円医療費支出-12,000)×5.06%=4,452円所得税・復興税還付
                ×10%=8,800円住民税減税
------------------------------------------------------------------------------

給与収入300万円(総所得金額192万円)の人の場合

医療費控除 医療費支出額10万円〜200万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜190万円)支出額が18万8千円を超える場合こちらが得
例:(20万円医療費支出-10万円)×10.12%=10,120円所得税・復興税還付
                ×10%=10,000円住民税減税

セルフメディケーション OTC支出額12,000円〜10万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜8万8千円)支出額が18万8千円未満の場合こちらが得
例:(10万円医療費支出-12,000)×10.12%=8,905円所得税・復興税還付
                ×10%=8,800円住民税減税
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給与収入500万円(総所得金額346万円)の人の場合

医療費控除 医療費支出額10万円〜200万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜190万円)支出額が18万8千円を超える場合こちらが得
例:(20万円医療費支出-10万円)×20.24%=20,240円所得税・復興税還付
                ×10%=10,000円住民税減税

セルフメディケーション OTC支出額12,000円〜10万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜8万8千円)支出額が18万8千円未満の場合こちらが得
例:(10万円医療費支出-12,000)×20.24%=17,811円所得税・復興税還付
                ×10%=8,800円住民税減税
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給与収入700万円(総所得金額510万円)の人の場合
医療費控除 医療費支出額10万円〜200万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜190万円)支出額が18万8千円を超える場合こちらが得
例:(20万円医療費支出-10万円)×23.276%=23,276円所得税・復興税還付
                ×10%=10,000円住民税減税

セルフメディケーション OTC支出額12,000円〜10万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜8万8千円)支出額が18万8千円未満の場合こちらが得
例:(10万円医療費支出-12,000)×23.276%=20,482円所得税・復興税還付
                ×10%=8,800円住民税減税
------------------------------------------------------------------------------

給与収入1千万円(総所得金額780万円)の人の場合
医療費控除 医療費支出額10万円〜200万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜190万円)支出額が18万8千円を超える場合こちらが得
例:(20万円医療費支出-10万円)×33.396%=33,396円所得税・復興税還付
                ×10%=10,000円住民税減税

セルフメディケーション OTC支出額12,000円〜10万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜8万8千円)支出額が18万8千円未満の場合こちらが得
例:(10万円医療費支出-12,000)×33.396%=29,388円所得税・復興税還付
                ×10%=8,800円住民税減税
------------------------------------------------------------------------------

給与収入1千万円超(総所得金額=給与収入△220万円)
課税される所得が900万円を超え1,800万円以下の人 の場合

医療費控除 医療費支出額10万円〜200万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜190万円)支出額が18万8千円を超える場合こちらが得
例:(20万円医療費支出-10万円)×33.396%=33,396円所得税・復興税還付
                ×10%=10,000円住民税減税

セルフメディケーション OTC支出額12,000円〜10万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜8万8千円)支出額が18万8千円未満の場合こちらが得
例:(10万円医療費支出-12,000)×33.396%=29,388円所得税・復興税還付
                ×10%=8,800円住民税減税
------------------------------------------------------------------------------

給与収入1千万円超(総所得金額=給与収入△220万円)
課税される所得が1,800万円を超え4,000万円以下の人 の場合

医療費控除 医療費支出額10万円〜200万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜190万円)支出額が18万8千円を超える場合こちらが得
例:(20万円医療費支出-10万円)×40.48%=40,480円所得税・復興税還付
                ×10%=10,000円住民税減税

セルフメディケーション OTC支出額12,000円〜10万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜8万8千円)支出額が18万8千円未満の場合こちらが得
例:(10万円医療費支出-12,000)×40.48%=35,622円所得税・復興税還付
                ×10%=8,800円住民税減税
------------------------------------------------------------------------------

給与収入1千万円超(総所得金額=給与収入△220万円)
課税される所得が4,000万円を超える人 の場合

医療費控除 医療費支出額10万円〜200万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜190万円)支出額が18万8千円を超える場合こちらが得
例:(20万円医療費支出-10万円)×45.54%=45,540円所得税・復興税還付
                ×10%=10,000円住民税減税

セルフメディケーション OTC支出額12,000円〜10万円を負担した場合に適用できる
(医療費控除額0円〜8万8千円)支出額が18万8千円未満の場合こちらが得
例:(10万円医療費支出-12,000)×45.54%=40,075円所得税・復興税還付
                ×10%=8,800円住民税減税
------------------------------------------------------------------------------

海外に住む扶養親族(扶養控除)の注意点
2016年10月

日本に住む外国の方を従業員として雇い入れたことのある会社では、 年末調整で、扶養控除申告書に海外に住む扶養親族が 大勢書かれたことを目にした人は少なくないでしょう。

大勢とは、例えば父、母、祖父、兄、弟、叔母などです。
この状況(大勢の扶養控除)について会計検査院の指摘を受け、所得税法等の 改正が行われました。

配偶者控除・扶養控除の対象となる親族とは、
(1)納税者と生計を一にしていること。
(2)配偶者・6親等内の血族及び3親等内の姻族であること。
(3)年間の合計所得金額が38万円以下であること。
に該当する人を言います。生計を一にしていれば海外に住んでいても 問題ありません。

改正前(平成27年分以前所得税)は、扶養控除の証明は特に必要ありませんでしたが、 改正後(平成28年分以降所得税)は、様々な証明書等が必要となります。

平成28年分から所得税の確定申告・年末調整において、外国に住む親族 (以下「国外居住親族」という。)に係る扶養控除、配偶者控除、 配偶者特別控除又は障害者控除の適用を受ける場合は、以下の書類の提出が 必要となりました。

(1)親族関係の提出または提示
  →提出時期:扶養控除等申告書を提出するとき
  (その年の最初に給与の支払いを受ける日の前日まで)
   ただし、提出時期までに書類を準備できない場合でも、 その後に親族関係書類や送金関係書類を提出等していれば年末調整で扶養控除を適用できるとのこと。

(2)送金関係書類を扶養控除申告書に添付し提出または提示
  →提出時期:年末調整時

(3)扶養控除申告書の「生計を一にする事実」という欄に、 その年に送金等した金額の合計額を記載
  →提出時期:年末調整時

「親族関係書類」とは、次の1又は2のいずれかの書類 (外国語で作成されている場合にはその翻訳文も必要です。)で、 その国外居住親族がその従業員の親族であることを証するものをいいます。

(1)戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類 及びその国外居住親族の旅券の写し

(2)外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類 (その国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)

「送金関係書類」とは、その年における次の1又は2の書類 (外国語で作成されている場合にはその翻訳文も必要です。)で、 その国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払いを、 必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。

(1)金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により その従業員からその国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類

(2)クレジットカード発行会社の書類又はその写しで、 そのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が 商品等を購入したこと等及びその商品等の購入等の代金に相当する額を その従業員から受領したことを明らかにする書類

送金関係書類で注意が必要なのは、国外居住親族が同じ場所に居住しているので、 送金も一人の代表者に送金しても良い、ということはなく、個別に送金が必要な点です。 配偶者と子が同じ場所に住んでいるので、配偶者の口座へまとめて送金しても 子は扶養親族にはできないということです。
子も扶養親族にする場合には、子の口座へも送金が必要です。
なお、送金の金額基準は明確な規定がないため、いくら送金すればOKかは 従業員の判断となるのでしょうが、おおよそその国で生活していくのに 必要な金額なのではないでしょうか。

(所法1203、所規47の2)

マイナンバー制度改正
2016年6月

マイナンバー関係の改正が日々行われているようですが、 今回は皆さんに関係の深い、年末調整関係の改正について 重点的にご案内します。また国税庁等のURLも参考にしてください。

1.源泉徴収票(本人交付用)への個人番号記載不可について

平成28年分以降から源泉徴収票などへの個人番号の記載が必要とされていましたが 本人交付用については、個人番号の記載はしないこととなりました。
(そもそも個人番号は、民間使用が当初禁止されるということでスタートした制度 ですので、源泉徴収票を住宅購入のため金融機関へ提出する場合や、 所得証明として保育所などへ提出する場合、個人番号部分をマスキングすると 考えられていましたから、知らずにマスキングをしなかった場合、個人番号の情報が漏えいする ことを防止したものでしょう。)

なお、平成28年分以降からの源泉徴収票などの税務署提出用については、 個人番号の記載が必要です。

参考 https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/pdf/mynumber_gensen.pdf
法定調書提出義務者・源泉徴収義務者の方へのお知らせ

  改正の概要
平成27年10月2日に所得税法施行規則等の改正が行われ、 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 (以下「番号法」といいます。)施行後の平成28年1月以降も、給与などの 支払を受ける方に交付する源泉徴収票などへの個人番号の記載は行わないことと されました(個人番号が記載不要となる税務関係書類は、以下のものです。)。
なお、税務署に提出する源泉徴収票などには個人番号の記載が必要ですので御注意ください。
(参考)
改正前は、支払を受ける方に対して交付する源泉徴収票などについて、 本人等の個人番号を記載して交付しなければならないこととされていました。

2.一部の年末調整関係書類の個人番号省略について

以下の年末調整書類については、個人番号の欄があっても省略できることとされました。

給与所得者の保険料控除申告書
給与所得者の配偶者特別控除申告書
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

なお、扶養控除申告書については、「平成28年分の給与所得者の扶養控除申告書」 に記載した場合、同一の者が扶養親族の追加等がない場合には、それ以降(平成29年分) 給与所得者の扶養控除申告書に個人番号の記載の省略ができることとなりました。

参考 http://www.nta.go.jp/mynumberinfo/jizenjyoho/kaisei/280401.htm 

平成28年3月31日に公布された「所得税法等の一部を改正する法律」 (平成28年法律第15号)により、税務関係書類へのマイナンバー(個人番号) 記載対象書類の見直しが行われ、以下のとおり改正されました。

『マイナンバーの記載を要しない書類の一覧』

【平成28年4月1日以後適用分】
・給与所得者の保険料控除申告書
・給与所得者の配偶者特別控除申告書
・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

(参考) 平成29年1月1日以後も引き続きマイナンバーの記載を要する書類

『マイナンバーの記載を要する書類の一覧』
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書

源泉所得税関係に関するFAQ

参考 https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/gensen_qa.htm#a11 

Q1-3-1 税務関係書類について、マイナンバー(個人番号)の記載を不要とする見直しが 行われたとのことですが、扶養控除等申告書には、従業員等のマイナンバー(個人番号) の記載が必要ですか。 (平成28年5月17日追加)

(答)扶養控除等申告書には、従業員本人、控除対象配偶者及び控除対象扶養親族等の マイナンバー(個人番号)の記載が必要です。

なお、平成29年1月1日以後に支払を受けるべき給与等に係る扶養控除等申告書については、 給与支払者が従業員等のマイナンバー(個人番号)等を記載した一定の帳簿を備えている場合には、 その帳簿に記載されている方のマイナンバー(個人番号)の記載を要しないものとされました。

(注)年末調整関係書類のうち、「給与所得者の保険料控除申告書」、 「給与所得者の配偶者特別控除申告書」及び「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」 については、上記の取扱いとは異なり、平成28年4月1日以後に提出するものからマイナンバー(個人番号)の 記載は不要です。

Q1-12 扶養控除等申告書を2枚(マイナンバー(個人番号)の記載のないものと、 マイナンバー(個人番号)のみ記載したもの)に分けて提出を受けてもよいですか。

(答)扶養控除等申告書の様式については法令で定められているものではないため、 法令で定められた記載事項(氏名、住所、マイナンバー(個人番号)等)が記載されて いれば記載内容を複数枚に分割して提出することも可能です。

ただし、それぞれの用紙を紐付けるための措置を講ずるなど一体の申告書として管理 できるよう手当願います。

Q1-13 従業員からマイナンバー(個人番号)の提供を拒否された場合、どのように対応すればよいですか。

(答)従業員等に対してマイナンバー(個人番号)の記載は、法令で定められた義務であることを伝え、 提供を求めてください。
それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、 単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。
経過等の記録がなければ、マイナンバー(個人番号)の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに 紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。

さて、次はマイポータルというサイトが平成29年1月からスタートする予定でしたが、 マイガバメントとマイポータルをあわせたマイナポータルという名称に改め、適用時期が 半年ほど延びることとなりそうです。

マイナポータル 内閣官房 
参考 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/faq/faq6.html 

マイナポータルに関する質問
Q6−1 マイナポータルってなんですか?

(答)マイナポータルとは、 行政機関がマイナンバーの付いた自分の情報をいつ、どことやりとりしたのか確認できるほか、 行政機関が保有する自分に関する情報や行政機関から自分に対しての必要なお知らせ情報等を自宅のパソコン等から 確認できるものとして整備します。例えば、各種社会保険料の支払金額や確定申告等を行う際に参考となる情報の 入手等が行えるようになる予定です。 また、引越しなどの際の官民横断的な手続のワンストップ化や納税などの 決済をキャッシュレスで電子的に行うサービスも検討しています。(2015年4月回答)

マイナンバー制度開始です。
2016年1月

平成28年1月より順次、社会保障・税番号制度(いわゆるマイナンバー)が始まりました。

まずは、今年最初の給与支給日の前日までにマイナンバーを記載した 扶養控除申告書を従業員のみなさんから提出してもらいます。
周知のこととは思いますが、この番号については漏えいしないよう十分に管理しましょう。

この皆さんから記載してもらった個人番号については、確認もお忘れなく。
番号を記載した人が、会社の従業員の場合には、知覚確認でいいことになっています。
通知カードまたはそのコピーと氏名、住所、生年月日、性別とそれが その目の前にいる本人であるかの確認を責任者が確認するだけです。

国税の代表的な税目の番号記載時期(一般的)については、以下の通りです。
-------------------------------------------------------------------------
所得税・贈与税 平成28年分以降の申告書 
      →平成28年分の場合⇒ 平成29年2月16日から3月15日まで(贈与税の場合は2月1日から)
-------------------------------------------------------------------------
消費税    平成28年1月1日以降開始課税期間の申告書
       →法人は課税期間終了の日の翌日から2か月以内
        個人は原則平成29年3月31日
-------------------------------------------------------------------------
相続税  平成28年1月1日以降の相続の申告書 
       →平成28年1月1日に相続があったことを知った場合⇒平成28年11月1日まで
-------------------------------------------------------------------------
申請書等 平成28年1月1日以降提出すべき申請書 →各税法に規定する期限
-------------------------------------------------------------------------

地方税では、平成28年1月以降に提出される申告書等に、個人番号・法人番号の 記載を開始します。
会社で申告するものとしては、まず28年1月末申告期限の償却資産の申告書に 番号を記載することになります。

地方税での番号制度の使用について、総務省は以下のことを定めています。

※納税通知書には、個人番号・法人番号を当面記載しない。

※給与所得に係る特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)には、 個人番号は当面記載せず、法人番号は記載する。

※給与所得に係る特別徴収税額決定通知書(特別徴収義務者用)には 個人番号・法人番号を記載する

※納付書・納入書には、個人番号・法人番号を原則記載しない。

※その他、個人住民税における給与支払報告書の提出など、 特別徴収義務者においては、平成28年分の所得に対する手続きから
必要な個人番号・法人番号を記載する。

始まったばかりの制度です。わからないことがありましたら ナビダイヤルをご利用ください。

〜お問い合わせ〜

マイナンバー総合フリーダイヤル
0120−95−0178 (無料) 
● 通知カード」「個人番号カード」に関することや、 その他マイナンバー制度に関するお問合せにお答えします。
・ 平日 9:30〜22:00 土日祝 9:30〜17:30

※一部IP電話等で上記ダイヤルに繋がらない場合(有料)
・ マイナンバー制度に関すること 050−3816−9405
・ 「通知カード」「個人番号カード」に関すること 050−3818−1250

※英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語対応のフリーダイヤル
・ マイナンバー制度に関すること 0120−0178−26
・ 「通知カード」「個人番号カード」に関すること 0120−0178−27

法人番号に関するお問い合わせ
0570−033−161
平日8:45〜18:00
土曜・日曜・祝日及び年末年始を除く

ふるさと納税をしてみました。
2014年9月

「ふるさと納税」が創設されて6年が経過しました。
総務省自治税務局によるふるさと納税の調査結果によれば、
ふるさと納税により、特産品等を送付している地方団体は約5割
(平成25年度は、都道府県23団体(49%)、市区町村909団体(52%))
にもなります。

特産品の送付は、地方団体が地元の農家から買い取った果物や野菜などを
送付するため、地元農家でもメリットがありますね。
また、地元特産品をPRして、その地へ足を運んでもらうという
相乗効果があります。

特産品だけでなく、地元旅館での日帰り温泉+食事 のチケットが
ふるさと納税により送られてくる自治体もあります。

このふるさと納税について、寄付金控除の適用を受けるには
確定申告をしなければなりません。
ふるさと納税が使いやすくなるよう、国会でも審議されていますが、
年末調整の対象として寄付金控除の適用を受けられれば
サラリーマンのふるさと納税が一段と増えることは間違いないでしょう。

さて、先週初めて「ふるさと納税」をしてみました。
せっかくなので今回はその特産品から納税先を選んでみました。

http://www.furusato-tax.jp/ 
↑こちらのサイトがまとまっていたので、こちらから手続きをしました。

自治体によって、
・すぐにクレジット決済 により納税
・電子申請をした後、自治体から口座振り込みの用紙が送られてくることによる納税
・コンビニ納税 により納税
・直接 自治体窓口での納税

が選べます。(一部クレジット決済やコンビニ納税などができない自治体もあります)
全ての方法で納税してみました。
どれも手間がそれほどかからずに簡単にできました。

クレジット決済をした場合でも、コンビニ納税をした場合でも
以下のようなメールが送られてきます。↓

----------------------------------------------------------------------
この度は、**町「**のまちづくりをみんなで応援する寄付」へ
寄付いただきまして誠にありがとうございました。

寄付金の支払につきまして、
コンビニエンスストア決済で入金を承りました。

 寄付番号:********
 寄付金額:*****円
 決済方法:コンビニ

後日、**町より、所定の手続きが完了次第、
ご記入いただきました住所へ寄付を証明する書面を発送いたします。

またこのメールは、お問い合わせ時に必要ですので
保管していただきますようお願いいたします。

---------------------------------------------------------------------

納税の後に、自治体から、「寄付金控除証明書」が送られてきますので、
その納税をした年分の確定申告により寄付金控除を受けてください。

例えば平成26年8月31日にふるさと納税をした場合には、
「平成26年分所得税の確定申告」を平成27年2月16日〜平成27年3月15日に
自分の住んでいる税務署へ申告します。
同時に住民税の申告もしたことになります。
その申告のときに、「寄付金控除証明書」が必要ですので大切に保管してください。

所得税では、所得控除の「寄付金控除」欄に記載しますが、
寄付金の合計額から2,000円を差し引いて記載します。

寄付金の額が合計10万円だった場合には、100,000円-2,000円=98,000円です。
(これは、所得控除ですので、この控除額×所得税率(※1)分が
 所得税が少なくなるということになります。)

例えば課税所得1千万円の人であれば、所得税率33%ですので、
(100,000円-2,000円)×33%=32,340円

32,340円が所得税が少なくなります。

住民税については、下の(1)+(2)の合計額が住民税から控除されます。

(1)基本控除額  (寄附金(※1)−2,000円)×10%
(2)特例控除額(※2)(寄附金−2,000円)×(90%−寄付者に適用される所得税の限界税率の%)

 (※1)総所得金額等の30%を限度
 (※2)個人住民税所得割額の1割を限度

例の10万円を(たとえば課税所得が1000万円の人が)寄付した場合の、
住民税が少なくなる計算は次の計算式となります。

1. (100,000-2,000)×10%=9,800円
2. (100,000-2,000)×(90%-33%)=55,860円
1.と2.の合計 9,800円+55,860円=65,660円が住民税が少なくなります。

つまり、寄付した人の所得により、控除額が異なりますが、
例の場合には10万円寄付したものが所得税32,340円+住民税65,660円の合計98,000円が
少なくなりました。
もちろん、控除ですので、それ以上の納税額がでていないと控除も
できませんし、人によって所得税率が異なりますのでご注意ください。

すごくざっくりですが、総務省がサラリーマンの寄付金控除の目安を
公開しています。(基礎控除、扶養控除以外の所得控除はないものとして計算しているようですね。)
  ↓
http://www.soumu.go.jp/main_content/000254926.pdf

いくつかの自治体へのふるさと納税は済んだので、
これからメロンやイチゴなどの特産品や、動物園のチケットが送られてくるのを
楽しみに待ってみようと思います。
それと、来年の確定申告で寄付金控除を忘れずにしようと思います。

(※1) 所得税率(限界税率)
課税される所得金額が 195万円以下        5%
           195万円超 330万円以下  10%
           330万円超 695万円以下  20%
           695万円超 900万円以下  23%
           900万円超 1800万円以下  33%
          1800万円超   40%

(課税される所得とは、収入から経費(給与所得控除を含む)を差し引いた所得に
所得控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除など)を引いた後の金額をいいます)

ICカードの消費税の振り替え処理
2014年3月

もうまもなく2014年4月1日より、消費税が5%から8%に あがります。

さて、今回は消費税の税抜処理をしている本則課税の会社について 以下のような質問についての対処をお話します。

「当社では、PASMOなどのICカードを利用しています。
オートチャージのチャージ時に、以下のような仕訳をしています。

(旅費交通費)   9,524円 / (未払金)10,000円
(仮払消費税等5%) 476円 /

  「そして、オートチャージをしたものは翌月にクレジットカード の決済により、通帳から引き落とされます。

(未払金)10,000円 / (普通預金)10,000円

「聞くところによると、4/1以降に乗車するものについては 消費税が8%になるとのことですが、何か修正する仕訳が必要ですか?」

このご質問について、いくつか方法がありますが、 簡単な方法としては、3/31に棚卸を実施することで 修正する仕訳を入れることができます。

3/31以降にPASMO等の履歴印字を行います。

3/31の残高が5,000円と印字されているとすると、修正する仕訳は 以下の通りです。

3/31(貯蔵品)5,000円 / (旅費交通費)   4,762円
           / (仮払消費税等5%) 238円

4/1(旅費交通費)   4,630円 / (貯蔵品)5,000円
 (仮払消費税等8%) 370円 /

3月決算の場合、今回だけは、上記のような4月以降の消費税率8%部分を抜き出す仕訳が 必要なものもありますので、顧問税理士へお尋ねください。

これは、ICカードをチャージ時に便宜上費用として処理している会社で あって、チャージ時に貯蔵品や前払金として処理して、別途交通費精算書にて 費用を計上している会社はこの修正仕訳は必要ございません。

PASMO等の他、切手についても上記の同様の消費税の修正仕訳が必要となります。

ちなみに、会社パンフレットや飲料水、OA用紙、トナー等の棚卸については 消費税の修正仕訳は必要ありません。
なぜなら、パンフレット等の資産の購入についての消費税は納品された日に 消費税が課税されるからです。

切手やICカードは、切手は封筒等に貼って投函したときに消費税が課税され、 ICカードは改札機にタッチした時(乗車したとき)に消費税が課されるためです。

しかし、今回、経過措置の一つに、乗車券の回数券が記載されております。
回数券は、3月31日までに購入しておけば、4月1日以降に乗車するものでも5%とすることと なりますのでご注意ください。

経過措置以外のものについては、原則、 消費税は、いつ払ったか、ではなく、いつ消費したかにより課税される税金です。
(資産の譲渡はその譲渡の日、役務提供があった場合にはその役務提供の日、資産の貸付の 場合にはその貸付の日、に消費税が課されます。)

今回は経過措置については細かく記載はしておりません。
リースや建築等は、特に経過措置がありますのでご注意ください。

納税証明書のオンライン請求が安くて便利です
2013年11月

企業や個人が金融機関から借り入れをしようとする場合や
住宅等を取得しようとする場合に、税金を納めた証明である
「納税証明書」が必要な場合がほとんどです。

平成25年10月1日より、税務署で取得する「納税証明書」
について、オンラインで請求する場合に、「電子署名」と
「電子証明書」の送信が要らなくなり、とても便利になりました。

これまでは、電子証明書を添付してパソコンから送信(オンライン申請)
するために、電子証明書とそれを読み取るICカードリーダライタが
必要でしたが、不要になったので、パソコンがあれば納税証明書が
オンライン申請できることになったのです。

メリットは、税務署の窓口で書面で請求する場合の400円に比べ、
オンライン申請は370円で済みます。

後日税務署窓口で受け取る場合には、オンライン申請をしておけば、待つことが
少なく取得ができます。

オンライン申請当日に窓口で受け取る場合には多少時間が
かかりますので予め時間に余裕を持って申請されたほうが良いでしょう。

オンライン申請、をしますと次の3つから取得方法を選べます。

税務署の窓口へ出向く      → 手数料370円のみ
郵送料を支払って郵送してもらう → 手数料370円+郵送料を電子納付
ダウンロードをする       → 手数料370円のみを電子納付

のいずれかです。 ダウンロードが一番楽で早くて安いですね。

※電子納付とは、インターネットバンキングや金融機関のATMからペイジーを
利用して手数料等を納付することをいいます。
(インターネットバンキングやATM利用について利用のための手数料が
金融機関によっては必要となることがありますのでご確認ください)

さて、オンライン申請の手順です。

e-Taxホームページ www.e-tax.nta.go.jp より
e-Taxソフト(WEB版)を利用します。

(郵送受取 を希望する場合には、書面交付用の請求書を作成して
受取方法を選択します。)

            ↓

作成した納税証明書交付請求書 を送信します。

(送信後、メッセージボックスに格納される受信通知で正常に
受信されたことを確認します)

            ↓

メッセージボックスに格納された「交付(発行)準備が整った」旨の通知
を確認します。
(納税証明書の作成状況、受付番号、納付番号、確認番号、手数料等を確認します。)

            ↓

窓口取得、郵送取得、電子(ダウンロード)取得 のいずれかにより納税証明書を取得します。

それから、e-Tax の利用可能時間は 原則 月曜日〜金曜日 8:30〜24:00
(祝日等、年末年始除く)で、メンテにより変更する場合もありますので余裕をもって
オンライン申請をすることをお勧めします。

経営革新等支援機関の認定を受けました、是非ご利用ください。
2013年6月

小規模事業者等の支援として、「経営革新等支援機関」というものが創設されました。 これは、経営革新等支援機関として認定を受けた税理士、弁護士、公認会計士、
地域金融機関などが経営力強化等のための事業計画策定支援等を行うもの。
弊事務所も認定を受け、中小企業の支援をしていくこととなりました。

この制度は、小規模事業者活性化補助金として、平成25年度に30億円の
政府予算が充てられました。
具体的には、認定支援機関たる税理士等と連携して、約1,400の小規模
事業者において、女性や若者をはじめとした意欲ある経営者や従業員が
行う新商品・新サービスの開発、販路開拓の取組を支援するものです(補助率2/3)。

融資や税制優遇措置について以下の通りまとめました。

(融資制度・割引制度等)
○全国の信用保証協会では経営革新等支援機関の支援を受け事業計画を
 策定する中小企業に対する保証料割引(「経営力強化保証制度」)を
 平成24年10月1日に創設。

○株式会社日本政策金融公庫では経営革新等支援機関の支援を受け
 事業計画を策定する中小企業に対する融資制度(「経営環境変化資金」、
「中小企業経営力強化資金」)を創設。

(日本政策金融公庫の経営支援と一体となった融資制度)
○経営環境変化資金
 再生局面に陥っていないものの、一定の借入負担があり、一時的に資金繰りが
 悪化している事業者向けの制度

○中小企業経営力強化資金
 創業または経営多角化・事業転換等の新たな事業活動をするにあたり、
 認定支援機関による経営支援を受け、新商品の開発等新たな市場の
 創出を目指す事業者に対する制度。1500万円以内については、
 基準利率−0.4%で無担保・無保証人で利用可能。

○資本性ローンの導入
 金融機関の債務者区分判定において自己資本とみなすことが可能。
 限度額2000万円。融資期間7年以上10年以内。

(経営改善支援・資金繰り支援)
○認定支援機関の支援を受けた経営改善費用の2/3(上限200万円)まで補助

○経営支援型セーフティネット貸付(日本政策金融公庫)最大で0.6%基準金利引き下げ

○借換保証制度(信用保証協会)

(税制関係)
○平成25年度税制改正では、「商業・サービス業及び農林水産業を
 営む中小企業等の経営改善に向けた設備投資を促進するための税制措置
 の創設」として、青色申告書を提出する中小企業等で、経営革新等支援
 機関の指導及び助言を受けた者について、平成25年4月1日から
 平成27年3月31日までの間に、その指導及び助言を受けて行う店舗の
 改修等に伴う器具備品及び建物附属設備の取得等をして指定事業の用に
 供した場合には、その取得価額の30%の特別償却とその取得価額の7%の
 税額控除(資本金3000万円以下に限る)との選択適用ができることとされた。
 税額控除は当期法人税の20%を限度とし、控除限度超過額は1年間の繰越ができる。
 なお、器具備品は30万円以上、建物附属設備は60万円以上が対象。

(投資に対する支援措置(予定))
 今国会で下請中小企業振興法が改正されたことを受け、下請中小企業振興法
 に基づき国の認定を受けた事業計画を実施する中小企業連携グループに対し、
 平成25年度より、「下請中小企業自立化基盤構築事業(補助上限2,000万円、
 補助率2/3)」の予算措置、日本政策金融公庫による低利融資制度、
 中小企業信用保険法の特例(普通保険、無担保保険、特別小口保険の限度額の
 別枠化等)や、資本金が3億円を超える下請事業者等を中小企業投資育成
 株式会社の投資対象に追加する等の支援措置が講じられます。
(法律の施行は平成25年9月中旬予定)


預金利息から控除される復興増税
2012年12月

預け入れている普通預金に対しては、年に2回利息が入金されたり、 定期預金や定期積金も一定期間に利息が入金または元本に組み入れ られたりしますね。

その預金利息は、これまで(2012年12月31日まで)15%の国税である 所得税と5%の地方税である利子源泉税が差し引かれていました。

例えば、2,000円、通帳に利息が入金されていた場合を例に仕訳を見てみましょう。

【2012年12月31日まで入金された利息】

(入金額)2,000円÷0.8=2,500円 が受取利息
(受取利息)2,500円×0.15=375円(国税)
(受取利息)2,500円×0.05=125円(地方税)

普通預金    2,000円 / 受取利息 2,500円
法人税等(国税) 375円 /
法人税等(地方税)125円 /
______________________________
 借方     2,500円 / 貸方   2,500円


その国税について、2013年1月1日より25年間(2037年12月31日まで) 「復興特別所得税」2.1%が課税されます。

2013年1月1日より
国税の15%は、15.315% となります。地方税は、2013年だけは 5%のままです。

例えば、1,993円、通帳に利息が入金されていた場合を例に仕訳を見てみましょう。

【2013年1月1日以降に入金された利息】

(入金額)1,993円÷0.79685=2,501円 が受取利息
(受取利息)2,501円×0.15315=383.02815→383円(円未満切捨て)(国税)
(受取利息)2,501円×0.05=125円(円未満切捨て)(地方税)

普通預金    1,993円 / 受取利息 2,501円
法人税等(国税)※383円 /
法人税等(地方税)125円 /
______________________________
 借方     2,501円 / 貸方   2,501円

※国税の383円は、源泉所得税及び復興特別所得税の合計


普通預金については、2013年1月1日以降に入金される普通預金利息から 復興特別所得税が課税され、

定期預金については、2013年1月1日以降の中間利払時・解約時・満期時 に入金されたり、元本に組み入れられたりする利息から復興特別所得税が課税されます。

これは、預け入れ時がいつのものか(2013年1月1日前であっても)関係ありません。

なお、この復興特別所得税の課税の対象となるものの一例として、 普通預金(\のもの)、外貨普通預金、定期預金(\のもの)、外貨定期預金 くりっく365などがあります。

※2012年11月30日現在の「東日本大震災からの復興のための施策を実施する ために必要な財源の確保に関する特別措置法」により記載しました。
かなり複雑なため、今後改正等がある可能性もあります。


復興増税についてまとめました。
2012年6月

復興増税について、まとめてみました。

「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(平成23年法律第117号)が平成23年12月2日に公布されました。

いわゆる復興増税は、法人税、所得税、住民税、たばこ税などがあります。
ここでは、所得税(源泉所得税)、法人税について記載します。

「復興特別所得税」

適用期間:平成25年1月1日〜平成49年12月31日(までの間に生ずる所得)
 (給与所得者は、平成25年1月1日以降に支払を受ける給与等から源泉徴収されます)

復興特別所得税額:基準所得税額×2.1%

申告所得税:平成25年から平成49年までの各年分の確定申告については、  所得税と復興特別所得税を併せて申告します。

納付:所得税の申告書を提出した人は、その申告期限までに、所得税と復興特別所得税の合計額を国に納付します。

源泉徴収・納付:給与や報酬から源泉徴収する所得税と復興特別所得税も一緒に 徴収し、所得税と一緒に法定納付期限までに納付をします。

年末調整:所得税の年末調整については、平成25年から平成49年までの各年分においては、所得税と復興特別所得税の年末調整を併せて行ないます

※平成25年1月以降の(所得税と復興特別所得税を併せた)源泉徴収税額表は既に国税庁HPに公表されております。
  国税庁HP

「復興特別法人税」

適用期間:平成24年4月1日〜平成27年3月31日(内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以降3年を経過する日までの 期間内の属する事業年度)

 例えば、3月末決算法人であれば、
 24年4月〜25年3月、25年4月〜26年3月、26年4月〜27年3月 の事業年度です。
 9月末決算法人であれば、
 24年10月〜25年9月、25年10月〜26年9月、26年10月〜27年9月 の事業年度です。

復興特別法人税額:課税標準法人税額×10%

申告:法人は、各課税事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に、税務署長に、復興特別法人税申告書を提出します。
    ただし、課税標準法人税額がない場合は、提出の必要なしです。

納付:復興特別法人税申告書の提出期限までに、復興特別法人税を国に納付します。

医療費控除をした領収書の保存期間が5年に!
2011年12月

更正の請求期間が延長されたのは周知のとおりだと思います。 税理士にとっては重要な改正(23年度税制改正)ですが、 一般の方は、更正の請求はあまり馴染みがないと思います。

それよりもよく利用されるのが、e-Taxを利用した電子申告でしょう。

電子申告によって添付書類の提出を省略した場合に、 その省略した書類の提示や提出を税務署等から 求められることがあり、その期間が3年から5年に延長されました。

例えば、医療費控除の医療費の領収書です。これは ほとんどの人が送付せず、明細書を添付して電子申告し、 領収書は自宅で保管していることと思います。

この電子申告による書面添付を省略した原本保存の期間が 変るのが、

法定申告期限が平成23年12月2日以降のものから適用されます。

つまり、所得税で言えば、
23年分の所得税の確定申告から適用ということになりますね。

社会保険の算定基礎届、新しい基準の追加
2011年6月

皆さんの会社では、給与から健康保険料、厚生年金保険料が天引きされて いますね。

この健康保険料、厚生年金保険料(以下、「健・厚」と書きます。) は、どうやって決められているか、事業主や事務担当者の方はご存知かと 思います。

毎年4月、5月、6月の3ヶ月間の賃金(基本給+諸手当+通勤交通費)の月平均賃金 を計算(「標準報酬月額」といいます)し、
          ↓
「健康保険料・厚生年金保険料の保険料額表」に当てはめた等級に決定されます。
          ↓
これは、その年の9月分〜翌年8月分までの健・厚となります。

この手続きを「定時決定」といい、「算定基礎届」などを日本年金機構や組合健保 に提出して行ないます。

(ここでは、固定的賃金の増減による月額変更届の説明を省略します。)

この「定時決定」に今年2011年4月1日から新たな基準が追加されました。

〔適用要件〕

「当年の4、5、6月の3ヶ月間の賃金の月平均賃金から算出した標準報酬月額」と

、 「過去1年間(前年の7月〜当年の6月までの間)の月平均賃金から算出した標準報酬月額」の間に

2等級以上の差を生じた場合であって、その差が業務の性質上例年発生することが 見込まれる場合(いずれもその賃金の支払う対象の日数が17日未満の月を除く)

※これは、業務の性質上、季節的に賃金が変動することによって、通常の方法によって 報酬月額の算定を行なうと、著しく不当であると認められるためです。

例:年俸が同じAさん、Bさんを例に挙げます。

Aさん 毎月同額に近い賃金をもらう人と → 健・厚 通常

Bさん この4月〜6月の期間が他の期間に比べとても高い賃金であったりする人と →健・厚 高い

では給与から天引きされる健・厚が差が出てしまう

  ↓ に該当する場合には

〔取扱〕

定時決定において、「保険者算定」というものができるようになりました。

事業主の申し出により過去1年間(前年の7月〜当年の6月までの間)の 月平均報酬額によって算定することです。

これを失念してしまうと、従業員さんの健・厚が高いばかりではなく、 事業主の健・厚の費用負担も高くなってしまう、ということです。

この新たな基準については、業務の性質上、季節的に賃金が変動する 事業所では注意して見る必要がありますね。

基準期間の課税売上高の計算の間違った知識
2011年2月

たった今、○○税務署 法人○部門 ○○さんから電話がありました。
「株式会社○○の消費税の申告書が違っています」という電話です。

そのとたんに心臓がバクバクいっています。そんなはずはない、と思い 詳細を聞いてみると、
「基準期間の課税売上高が、税込みになっていませんか?」とのことです。

急いでその基準期間(2年前)の申告書を見てみます。
その会社は基準期間は2期目で、消費税は免税事業者でした。

ほっとしました。その税務署の○○さんに、「この基準期間は免税事業者ですので その税込みが課税売上高で間違いないですよ。」

そうすると、「先生、大丈夫ですか?基準期間の課税売上高は、税抜きに するのですよ。」と自信満々です。

  そこまで自信満々に言われると、今まで私が今までしてきた申告や、税理士試験の 問題が全部ウソになります。

「基準期間の課税売上高」 とは、消費税の申告書を提出している課税事業者は、 税抜きで判定し、消費税の申告書を提出していない免税事業者は税込み(消費税は含まない と見なします)で判定するのです。

それを何度説明しても、その○○税務署の○○さんは、「通達でも確認しました。 免税事業者であっても、税抜きにするのだと。念のため、上の者にも確認したら、間違いない、と 言っています。」

結局、何度話をしても、理解してくれないので、通達と、国税庁の質疑応答の 内容を読んであげても、理解できていないようです。もう一度勉強しなおしてください、 と電話を切りました。

この忙しい時期に、基本中の基本の消費税の納税義務の判定について、 こんな電話がくるとは思いませんでした。税務署さん、しっかりして下さい!

そうそう、ついでと言っては何ですが、23年度税制改正大綱に、消費税の納税義務の 判定に追加事項ができそうですね。

基準期間の課税売上高の判定で免税事業者と判定された者であっても、 もう一段階の判定が待っていることになります。

その課税期間の前年の上半期(1年未満の課税期間は判定時期がズレます) の課税売上高が1千万円を超えた場合には、いくら基準期間の課税売上高が 1千万円以下でも課税事業者となる、というものらしいです。

上場株式のみなし取得費の特例は平成22年12月31日までの譲渡で終了
2010年10月

”みなし取得費”とは、平成13年9月30日以前に取得した上場株式について、 その株式を譲渡した場合に、実際の取得費ではなく、平成13年10月1日のその上場株式の 終値の80%を取得費とみなすことができるものです。このみなし取得費を 適用できる譲渡期限が平成22年12月31日までとなりました。

もちろん、実際の取得費を用いて申告することもできます。
ただ、古い株式などで、取得費が不明な場合には、このみなし取得費を 用いるケースがほとんどです。

なぜかと言いますと、このみなし取得費が使えなくなると、その株式の 売却代金の5%を取得費とすることになってしまうからです。
ですから、平成23年1月1日以降に取得費が不明な上場株式を売却すると 譲渡益が95%となり、税負担が増えてしまいます。年内に譲渡すべき 上場株式がないかのチェックをしましょう。

計算例です。分かり易くするために、手数料などは省きます。

平成2年9月15日に○○上場株式を45,000円で取得。
平成13年10月1日の○○上場株式の終値 60,000円。
平成22年11月30日に○○上場株式を75,000円で譲渡。

  「実額で計算した場合」
75,000円 − 45,000円 = 30,000円 の譲渡益

「みなし取得費の特例を選択した場合」
75,000円 − 60,000円×80% = 27,000円 の譲渡益 →こっちが有利!

ちなみに、以下のような例の場合にどうなってしまうか。

平成2年9月15日に○○上場株式を取得したが、取得価額が不明。
平成23年1月5日に○○上場株式を75,000円で譲渡

「実額で計算」→ 取得価額が不明なため、計算できない

「取得費が不明な場合」
75,000円 − 75,000×5% = 71,250円 の譲渡益 

このように、古い株式などは、みなし取得費で計算するのが有利なケース が多いですし、ましてや取得費がわからないときには、来年からは譲渡代金の95% に課税されてしまいますので、年内に株式の整理をすると良いでしょう。

※みなし取得費の特例が適用されるのは、証券会社の一般口座で保有している 株式や個人が自宅などで保管するタンス株です。証券会社が税額計算をする特定 口座の株式は対象外です。


平成23年から扶養控除の範囲が変ります
2010年8月

22年度税制改正により、扶養控除できる範囲が変ります。
子ども手当を支給する代わりに扶養控除を縮小するということです。

これは、今すぐではなく、平成23年1月1日以降に支払う給与 などから扶養人数に注意が必要です。
というのも、給与計算の際に、扶養人数から源泉所得税を計算しますが、 その扶養人数が年齢によって取扱いが違ってくるのです。

今年(平成22年)分の所得税については、従前どおりの 扶養控除が適用されます。年末年始と忙しい時期なので、 今のうちに改正を頭に入れておきましょう。

扶養控除の改正の内容は以下のとおりです。

《16歳未満の扶養親族》

 旧 年齢制限なし →

 新 16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)に対する扶養控除が廃止
   扶養控除の対象が、16歳以上の扶養親族とされる。
   年少扶養親族の人数を、扶養親族等の数に加えないことになります。

 例: 15歳の子を扶養している場合、
    旧法(22年まで):扶養控除 38万円控除
    新法(23年以降):扶養控除なし 


《16歳以上23歳未満の扶養親族》

 旧 16歳以上23歳未満の扶養親族(旧 特定扶養親族)の扶養控除の上乗せ25万円

 新 19歳以上23歳未満の扶養親族(新 特定扶養親族)の扶養控除の上乗せ25万円
   16歳以上19歳未満の人の扶養控除の上乗せ25万円が廃止。
   (16歳以上19歳未満の扶養親族に対する扶養控除は38万円)

     例: 16歳の子を扶養している場合、
    旧法(22年まで):扶養控除 38万円+25万円 控除
    新法(23年以降):扶養控除 38万円控除 

 例: 20歳の子を扶養している場合は、変更なし
    旧法(22年まで):扶養控除 38万円+25万円 控除
    新法(23年以降):扶養控除 38万円+25万円 控除


ダイレクト納付とても便利です。
2010年6月

2009年9月から開始された国税の納税システム、ダイレクト納付については、 そろそろ周知された頃かと思います。

ちょうど今の時期、源泉所得税の納期の特例の集計と納付の時期ですね。
ダイレクト納付を既に手続きされたクライアントからは、全て税理士が代理で 納税手続きまで行なえるとあって、とても好評です。

ここでもう一度、”ペイジー”と ”ダイレクト納付”について説明しましょう。

「ペイジー」
・利用前準備    → 電子申告・納税等開始届出書(※1)の提出(電子または紙)。
            税理士の代理提出可
・利用開始     → 上記開始届を電子で行なった場合には、送信後すぐ
・利用開始の合図  → e-Taxソフトのメッセージボックスに受信のメッセージが届きます
・納付データの作成 → e-Taxソフト
・納付方法     → インターネットバンキングまたはATMで納付
・納付領収書    → 発行されないが、インターネットバンキングで納付した画面を印刷できる
・納付手数料    → 納付自体の手数料はかかりませんが、インターネットバンキングを
            利用する場合に、金融機関へ手数料がかかるときがあります
・納付手続きの代理 → 納付自体は代理はできませんが、納付データは税理士が作成代行できます

「ダイレクト納付」
・利用前準備    → ダイレクト納付利用届出書の提出(※2)
            (紙に印刷し、金融機関届出印を押印、税務署へ提出)
・利用開始     → おおむね1ヶ月くらい
・利用開始の合図  → e-Taxソフトのメッセージボックスに開始のメッセージが届きます
・納付データの作成 → e-Taxソフト
・納付方法     → 口座から指定日に振替られるのを待つだけ
・納付領収書    → 発行されない
・納付手数料    → かかりません
・納付手続きの代理 → 税理士が代理で行うことができます

なお、ペイジーについては、最近では多くの地方公共団体で利用が進んでいますが、 東京以外の地域ではまだ対応がされていないところがあります。
その場合には、納付書による納付しか方法がありません。

ダイレクト納付は、国税だけの納付方法であるため、
対象税目は、源泉所得税、法人税、消費税及び地方消費税、酒税、申告所得税、印紙税などの国税 に限られます。

ペイジー、ダイレクト納付とも、対応していない金融機関もありますのでご注意下さい。 詳しくは↓国税庁HPからご確認下さい。

(※1)電子申告・納税等開始届出書
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/e-tax/annai/001.htm

(※2)ダイレクト納付利用届出書の提出
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/nozei-shomei/annai/24100030/index.htm


相続財産の売却にご注意
2010年4月

3月24日、法案どおり、22年度税制改正が成立いたしました。

相続税については、大きな改正となっていますが、 日本では、相続税を納める割合は、4〜5%なのです。 つまり、ほとんどの人は相続税は納めない。ということなのです。

しかし、相続税は納めないものの、相続財産を売却等 した場合に、譲渡所得税や贈与税がかかってしまう なんてこと、できればないようにしたいですね。

あるケースをご紹介します。

おじいちゃんが所有するマンションに、 おじいちゃんと両親の3人で数十年、住んでいましたが、 おじいちゃんが亡くなり、両親は、長男夫婦が所有する 一軒家に同居することになりました。

そこで、そのマンションを売却することになりました。

さっそく両親と長男で不動産屋さんに行き、売却もすぐに決まりました。
すると、不動産屋さん付きの司法書士が、「長男には まだ住宅ローンが残っているので、そのマンションは長男 が相続をして、長男が売却代金を受け取ったらいいですね。」

と言い、その司法書士は、分割協議書を代行で作成し、 おじいちゃんから相続により長男が取得したとして、 不動産登記を行ない、同時に売却の登記もしました。

さて、年が明けて、税理士は、長男から「昨年は土地建物を売却しました」 と知らされることになります。

税理士が内容を確認したところ、長男が売却したのは、 「居住の用に供して”いない”土地建物」だったのです。

譲渡所得の計算については、居住用が優遇され、また 長年 住んでいれば、もっと優遇されるのです。

売却益は、2,900万円でしたから、もし、これを両親が 相続し、売却していれば、売却益から「3,000万円控除」 するという優遇措置を使うことができ、譲渡所得税は0円 及び、住民税は0円となるはずでした。

しかし、長男が相続し、「自己の居住の用に供していなかった」 土地建物を譲渡したため、売却益の15%の所得税435万円、売却益の5%の 住民税145万円を支払うこととなってしまいました。

相続税はかからない、としても 他の税金にも目を向けたい ものですね。

編集後記:3月から全国協会健保の健康保険料がUPされ、 多くの健保組合の健康保険料もUPされました。 また、4月から雇用保険料率もUPされ、負担ばかりが増えて大変です。 各種、率が変更されていますので、給与計算には注意しましょう。


22年度税制改正大綱ようやくです
2009年12月

2.「ふるい」、租特透明化法(仮称)
(1)「ふるい」による租税特別措置の抜本的な見直し

国税で81 項目、地方税で90 項目の見直しを行い ました。この結果として、国税で41 項目、地方税で57 項目を廃止又は 縮減することとしました。

(2)租特透明化法(仮称)の制定等

来年の通常国会において「租特透明化法(仮称)」
の制定を目指します。租特透明化法(仮称)では、法人税関係の租税特 別措置について提出を求める「適用額明細書」を集計するなどの方法に より租税特別措置の適用実態調査を行い、その結果を国会へ報告するこ となどを定めます。

また、地方税における税負担軽減措置等についても、その適用実態の 透明化を図るとともに、適宜、適切な見直しを推進するため、地方税法 において所要の措置を講じます。具体的には、地方税に関する統計資料 等により地方税における税負担軽減措置等の適用実態を把握し、その結 果を国会へ報告することなどを定めます。

1.納税環境整備
(1)納税者権利憲章(仮称)の制定

納税者の権利を守るための具体的な改革として、更正等の期間制限が 課税庁からの更正と納税者からの修正で異なる点について見直してい きます。特に課税庁の増額更正(事後的な納税額の増額)の期間制限が 3〜7年であるのに対して、納税者からの更正の請求(事後的な納税額 の減額)の期間制限が1年であることは納税者の理解を得られにくく、 早急に見直す必要があります。

(2)国税不服審判所の改革

国税不服審判所の現状は、この重要な役割を果たすには十分 ではありません。特に、その機能を果たすために最も重要な審判官の多 くを国税庁の出身者が占めていることは問題です。そのほかにも証拠書 類の閲覧・謄写が認められていないなどの問題があります。 これらの観点から、国税不服審判所の組織や人事のあり方、不服申立 前置主義の見直し、不利益処分の理由附記などについて、行政不服審査 制度全体の見直しの方向を勘案しつつ、納税者の立場に立って、適正な 税務執行が行われていることが国民に明らかになるよう、必要な検討を 行います

(3)社会保障・税共通の番号制度導入

社会保障制度と税制を一体化し、真に手を差し伸べるべき人に対する 社会保障を充実させるとともに、社会保障制度の効率化を進めるため、 また所得税の公正性を担保するために、正しい所得把握体制の環境整備 が必要不可欠です。そのために社会保障・税共通の番号制度の導入を進 めます。 番号は基礎年金番号や住民票コードなどの既存番号の活用、新たな付 番など様々な選択肢が考えられます。付番・管理する主体については、 (4)で詳述する歳入庁が適当であると考えます。

(4)歳入庁の設置
年金制度改革と並行して、年金の保険料の徴収を担っている日本年金 機構(2010 年1月に社会保険庁より改組予定)を廃止し、その機能を国 税庁に統合、歳入庁を設置する方向で検討を進めます。 歳入庁は税と社会保険料の賦課徴収を一元的に行います。行政の効率 化が進み、行政コストも大幅に削減できます。国民にとっても、税は税 務署、保険料は社会保険事務所など別々の場所に納付する手間が省けます。 歳入庁は、国税と国が管掌する社会保険料の徴収を行うこととなりま すが、国税と徴収対象や賦課基準が類似の税について自治体が希望する 場合、地方税等の徴収事務を受託することも検討します。

2.個人所得課税
(1)所得税

B 改革の方向性
所得再分配機能を回復し、所得税の正常化に向け、税率構造の改革 のほか、以下のような改革を推進します。

第一に、的確に所得捕捉できる体制を整え、課税の適正化を図るた めに、社会保障・税共通の番号制度の導入を進めます。ただし、一般 の消費者を顧客としている小売業等に係る売上げ(事業所得)や、グ ローバル化が進展する中で海外資産や取引に関する情報の把握などに は一定の限界があり、番号制度も万能薬ではないという認識も必要です。

第二に、所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当へ転換を 進めます。

第三に、本来、全ての所得を合算して課税する「総合課税」が理想 ではありますが、金融資産の流動性等にかんがみ、当面の対応として、 景気情勢に十分配慮しつつ、株式譲渡益・配当課税の税率の見直しに 取り組むとともに、損益通算の範囲を拡大し、金融所得の一体課税を 進めます。

C 所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当へ

現行所得税の所得控除制度は、結果として、高所得者に有利な制度 となっています。なぜなら同額の所得を収入から控除した場合、高所 得者に適用される限界税率が高いことから高所得者の負担軽減額は大 きくなる一方で、低い税率の適用される低所得者の実質的な軽減額は 小さくなるからです。
例えば、0歳から15 歳までの子どもを対象とする扶養控除は子育て 支援の機能を有していますが、同じ38 万円の所得控除を適用した場合、 高所得者が10 万円を超える減税になるのに対して、低所得者では2万 円の減税にもなりません。

所得控除を一律の税額控除に変えれば、限界税率の低い低所得者ほ ど所得比で見た負担軽減効果が大きい仕組みになります。 手当は相対的に高所得者に有利な所得控除に代えて現金給付を行う ものであり、定額の給付であることから相対的に支援の必要な人に実 質的に有利な支援を行うことができます。

「所得控除から手当へ」との考え方の下で、 、22 年度において、子ども手当の創設とあいまって、 0歳から15 歳までの子どもを控除対象とする扶養控除を廃止するこ ととします(平成23 年分からの適用となります)

教育費等の支出がかさむ世代の税負担の軽減を図るために創設され た16 歳から22 歳までの特定扶養親族を控除対象とする特定扶養控除 については、22 年度において、高校の実質無償化に伴い、16 歳から 18 歳までの特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分(25 万円)を廃止 することとします(平成23 年分からの適用となります)。これらの見 直しに伴い、現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検 討します。

なお、所得税・個人住民税の扶養控除等について、「所得控除から手 当へ」等の考え方の下で見直すことにより、現行制度においては、こ れらの税額等と連動している国民健康保険料、保育料等の医療・福祉 制度に関する負担に影響が生じることになりますが、見直しの趣旨を 踏まえて、制度の所管府省においては、負担の基準の見直し、経過措 置の導入など適切な措置を講じることとします。

(2)個人住民税

平成22 年度税制改正では所得税において@0歳から 15 歳までの子どもを控除対象とする扶養控除の廃止、A16 歳から18 歳 までの特定扶養控除の上乗せ部分の廃止を行います。税体系上の整合性 の観点等から、個人住民税についても平成22 年度税制改正において同 様の措置を講じます(平成24 年度分からの適用となります)。その際、 扶養控除等の見直しにより国民健康保険料等に影響が生じることにな りますが、制度の所管府省において、負担の基準の見直し・経過措置の 導入など、適切な措置を講じることとします。

3.法人課税

(4)特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度

本制度は平成22 年度税制改正で廃止します。その上で、 給与所得控除を含めた所得税のあり方について議論をしていく中で、個 人事業主との課税の不均衡を是正し、「二重控除」の問題を解消するた めの抜本的措置を平成23 年度税制改正で講じることとします。

2.個人所得課税

(1)諸控除の見直し

〔国税〕

@ 扶養控除の見直し

イ 年少扶養親族(扶養親族のうち、年齢16 歳未満の者をいいま す。以下同じです。)に係る扶養控除を廃止します。

ロ 特定扶養親族(扶養親族のうち、年齢16 歳以上23 歳未満の者を いいます。以下同じです。)のうち、年齢16 歳以上19 歳未満の者 に係る扶養控除の上乗せ部分(25 万円)を廃止し、扶養控除の額 を38 万円とします。

ハ 扶養控除の見直しに伴い、給与所得者の扶養控除等申告書及び公 的年金等の受給者の扶養親族等申告書並びに給与所得及び公的年金 等の源泉徴収票についてその記載事項及び様式の見直しを行うなど 所要の措置を講じます。

(注)上記の改正は、平成23 年分以後の所得税について適用します。

A 同居特別障害者加算の特例の改組

イ 扶養親族又は控除対象配偶者が同居の特別障害者である場合にお いて、扶養控除又は配偶者控除の額に35 万円を加算する措置(同 居特別障害者加算の特例措置)について、年少扶養親族に係る扶養 控除の廃止に伴い、特別障害者控除の額に35 万円を加算する措置 に改めます。

ロ イの見直しに伴い、給与所得者の扶養控除等申告書の記載事項及 び当該申告書の提出された給与所得に係る源泉徴収税額の計算の特 例の整備を行うなど所要の措置を講じます。

(注)上記の改正は、平成23 年分以後の所得税について適用します。

〔地方税〕

@ 扶養控除の見直し

イ 年少扶養親族に係る扶養控除を廃止します。

ロ 特定扶養親族のうち、年齢16 歳以上19 歳未満の者に係る扶養控 除の上乗せ部分(12 万円)を廃止し、扶養控除の額を33 万円とし ます。
(注)上記の改正は、平成24 年度分以後の個人住民税について適用します。

A 同居特別障害者加算の特例の改組

扶養親族又は控除対象配偶者が同居の特別障害者である場合におい て、扶養控除又は配偶者控除の額に23 万円を加算する措置(同居特 別障害者加算の特例措置)について、年少扶養親族に係る扶養控除の 廃止に伴い、特別障害者控除の額に23 万円を加算する措置に改めます。

(注)上記の改正は、平成24 年度分以後の個人住民税について適用します。

B 諸控除の見直しに伴う所要の措置

イ 個人住民税の非課税限度額制度等に活用するため、扶養控除の見 直しの後も市町村が扶養親族に関する事項を把握できるよう所要の 措置を講じます。

ロ 標準的な生活保護基準額を基礎としている個人住民税の非課税限 度額制度については、現行の仕組みを維持します。なお、非課税限 度額の水準については、子ども手当が導入された際の生活保護制度 における取扱いを踏まえ、今後、検討します。

ハ 現行の調整控除について、年少扶養親族に係る扶養控除の廃止等 に伴う所要の措置を講じます。

ニ 扶養控除の見直しに伴い、給与支払報告書及び公的年金等支払報 告書についてその記載事項及び様式の見直しを行うなど所要の措置 を講じます。

(注)上記イ、ハ及びニの改正は、平成24 年度分以後の個人住民税に ついて適用します。

A 生命保険料控除の改組

〔国税〕

生命保険料控除を改組し、次のイからハまでによる各保険料控除の 合計適用限度額を12 万円とします。

イ 平成24 年1月1日以後に締結した保険契約等に係る控除

(イ) 平成24 年1月1日以後に生命保険会社又は損害保険会社等と 締結した保険契約等(以下「新契約」といいます。)のうち介護 (費用)保障又は医療(費用)保障を内容とする主契約又は特約に係 る支払保険料等について、一般生命保険料控除と別枠で、適用限 度額4万円の所得控除(介護医療保険料控除)を設けます。

(ロ) 新契約に係る一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の 適用限度額は、それぞれ4万円とします。

(ハ) 上記(イ)及び(ロ)の各保険料控除の控除額の計算は次のとおり とします。

年間の支払保険料等 控 除 額
20,000 円以下 支払保険料等の全額
20,000 円超40,000 円以下 支払保険料等×1/2+10,000 円
40,000 円超80,000 円以下 支払保険料等×1/4+20,000 円
80,000 円超 一律40,000 円

(ニ) 新契約については、主契約又は特約の保障内容に応じ、その 保険契約等に係る支払保険料等を各保険料控除に適用します。

(ホ) 異なる複数の保障内容が一の契約で締結されている保険契約 等は、その保険契約等の主たる保障内容に応じて保険料控除を適 用します。

(ヘ) 剰余金の分配や割戻金の割戻し(以下「剰余金の分配等」と いいます。)については、主契約と特約のそれぞれの支払保険料 等の金額の比に応じて剰余金の分配等の金額を按分し、それぞれ の支払保険料等の額から差し引くこととします。

ロ 平成23 年12 月31 日以前に締結した保険契約等に係る控除

平成23 年12 月31 日以前に生命保険会社又は損害保険会社等と 締結した保険契約等(以下「旧契約」といいます。)については、 従前の一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除(それぞれ適用 限度額5万円)を適用します。

ハ 新契約と旧契約の双方について保険料控除の適用を受ける場合の 控除額の計算

新契約と旧契約の双方の支払保険料等について一般生命保険料控 除又は個人年金保険料控除の適用を受ける場合には、上記イ(ロ)及 びロにかかわらず、一般生命保険料控除又は個人年金保険料控除の 控除額は、それぞれ次に掲げる金額の合計額(上限4万円)としま す。

(イ) 新契約の支払保険料等につき、上記イ(ハ)の計算式により計算 した金額

(ロ) 旧契約の支払保険料等につき、従前の計算式により計算した金額 (注)上記の改正は、平成24 年分以後の所得税について適用します。

〔地方税〕

生命保険料控除を改組し、次のイからハまでによる各保険料控除の 合計適用限度額を7万円とします。

イ 平成24 年1月1日以後に締結した保険契約等に係る控除

(イ) 平成24 年1月1日以後に生命保険会社又は損害保険会社等と 締結した保険契約等(以下「新契約」といいます。)のうち介護 (費用)保障又は医療(費用)保障を内容とする主契約又は特約に係 る支払保険料等について、一般生命保険料控除と別枠で、適用限 度額2.8 万円の所得控除(介護医療保険料控除)を設けます。

(ロ) 新契約に係る一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の 適用限度額は、それぞれ2.8 万円とします。

(ハ) 上記(イ)及び(ロ)の各保険料控除の控除額の計算は次のとおり とします。

年間の支払保険料等 控 除 額
12,000 円以下 支払保険料等の全額
12,000 円超32,000 円以下 支払保険料等×1/2+6,000 円
32,000 円超56,000 円以下 支払保険料等×1/4+14,000 円
56,000 円超 一律28,000 円

(ニ) 新契約については、主契約又は特約の保障内容に応じ、その 保険契約等に係る支払保険料等を各保険料控除に適用します。

(ホ) 異なる複数の保障内容が一の契約で締結されている保険契約 等は、その保険契約等の主たる保障内容に応じて保険料控除を適 用します。

(ヘ) 剰余金の分配や割戻金の割戻し(以下「剰余金の分配等」と いいます。)については、主契約と特約のそれぞれの支払保険料 等の金額の比に応じて剰余金の分配等の金額を按分し、それぞれ の支払保険料等の額から差し引くこととします。

ロ 平成23 年12 月31 日以前に締結した保険契約等に係る控除 平成23 年12 月31 日以前に生命保険会社又は損害保険会社等と 締結した保険契約等(以下「旧契約」といいます。)については、 従前の一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除(それぞれ適用 限度額3.5 万円)を適用します。

ハ 新契約と旧契約の双方について保険料控除の適用を受ける場合の 控除額の計算

新契約と旧契約の双方の支払保険料等について一般生命保険料控 除又は個人年金保険料控除の適用を受ける場合には、上記イ(ロ)及 びロにかかわらず、一般生命保険料控除又は個人年金保険料控除の 控除額は、それぞれ次に掲げる金額の合計額(上限2.8 万円)とし ます。

(イ) 新契約の支払保険料等につき、上記イ(ハ)の計算式により計算 した金額

(ロ) 旧契約の支払保険料等につき、従前の計算式により計算した 金額

(注)上記の改正は、平成25 年度分以後の個人住民税について適用し ます。

B 上場会社等の自己の株式の公開買付けの場合のみなし配当課税の 特例について、平成22 年12 月31 日まで適用する措置を講じた上、 廃止します。なお、本特例の廃止に伴い、上場株式等の配当等に係 る源泉徴収義務等の特例等について次の措置を講じます。

イ 自己の株式の公開買付けの場合のみなし配当に係る大口株主の判 定の基準日を、その公開買付けの終了の日とします。

ロ みなし配当のうち上場株式等の配当等に該当するものの支払をす る内国法人は、その配当等の支払事務取扱者である金融商品取引業 者等に対し、そのみなし配当等の発生の基因となった事由、みなし 配当の額等を通知しなければならないこととします。

C 平成13 年9月30 日以前に取得した上場株式等の取得費の特例に ついて、適用期限(平成22 年12 月31 日)の到来をもって廃止しま す。

(3)租税特別措置等

〔国税〕

(廃止・縮減等)

@ 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税 の特例について、譲渡資産の譲渡に係る対価の額が2億円以下であ ることの要件を追加した上、その適用期限を2年延長します。

(注)上記の改正は、平成22 年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡 について適用します。

A 給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例に ついて、平成22 年12 月31 日の適用期限の到来をもって廃止すると ともに、同日以前に使用者から住宅資金の貸付け等を受けている者 に対して本特例を引き続き適用するための所要の経過措置を講じま す。

(延長・拡充等)

@ 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限 を2年延長します。

A 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長し ます。

B 自然公園法及び自然環境保全法の改正に伴い、特定土地区画整理 事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000 万円特別控除及び特 定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500 万円特 別控除を引き続き適用するための所要の整備を行います(法人税に ついても同様とします。)。

〔地方税〕

(廃止・縮減等)

@ 給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例に ついて、平成22 年12 月31 日の適用期限の到来をもって廃止すると ともに、同日以前に使用者から住宅資金の貸付け等を受けている者 に対して本特例を引き続き適用するための所要の経過措置を講じま す。

A 次のイの特例並びに次のロ及びハの特例に係る適用除外措置の範 囲から、独立行政法人空港周辺整備機構に対する土地等の譲渡を除 外します。

イ 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所 得の課税の特例

ロ 土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例

ハ 短期譲渡所得の課税の特例

B 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500 万 円特別控除の範囲から、空港周辺整備計画に係る事業の用に供する ために土地等が買い取られる場合の措置を除外します。

C 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税 の特例について、譲渡資産の譲渡に係る対価の額が2億円以下であ ることの要件を追加した上、その適用期限を2年延長します。

(注)上記の改正は、平成22 年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡 について適用します。

(延長・拡充等)

@ 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限 を2年延長します。

A 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長し ます。

(4)その他

〔国税〕※地方税についても同様

@ 小規模企業共済制度の加入対象者に追加される共同経営者につい て、所要の法律改正を前提に、次の措置を講じます。

イ 共同経営者が支払った掛金については、その全額を所得控除の対 象とします。

ロ 共同経営者が支給を受ける分割(年金)払いの共済金等について は、公的年金等控除を適用し、一括払いの共済金等については退職 手当等とみなします。

A 中小企業退職金共済制度の加入対象者に追加される同居親族のみ を雇用する事業の従業員及びその従業員に係る事業主について、所 要の省令改正を前提に、次の措置を講じます。

イ その事業主掛金については、事業主の所得の金額の計算上必要経 費に算入します(法人税についても同様とします。)。

ロ その事業主掛金に係る従業員の給与所得の金額の計算上、収入金 額に算入しないこととします。

ハ その従業員が支給を受ける分割(年金)払いの退職金については 公的年金等控除を適用し、一括払いの退職金については退職手当等 とみなします。

C 子ども手当(仮称)について、所要の法整備が行われ、税制上の 措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。

イ 所得税を課さないこととします。

ロ 国税の滞納処分による差押えを禁止します。

D 高校の実質無償化について、所要の制度の整備が行われ、税制上 の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。

イ 所得税を課さないこととします。

ロ 国税の滞納処分による差押えを禁止します。

E 父子家庭に支給されることとなる児童扶養手当及び一部支給停止 制度の廃止により支給されることとなる児童扶養手当について、所 要の法律改正が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の 措置を講じます。

イ 所得税を課さないこととします。

ロ 国税の滞納処分による差押えを禁止します。

〈国民健康保険税〉

N 国民健康保険税の基礎課税額に係る課税限度額を50 万円(現行47 万円)、後期高齢者支援金等課税額に係る課税限度額を13 万円(現 行12 万円)に引き上げます。

3.法人課税

(1)資本に関係する取引等に係る税制

〔国税〕

ニ 中小企業向け特例措置の大法人の100%子法人に対する適用

@ グループ内取引等に係る税制

資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人に係る次の制度に ついては、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は 相互会社等の100%子法人には適用しないこととします。

(イ) 軽減税率
(ロ) 特定同族会社の特別税率の不適用
(ハ) 貸倒引当金の法定繰入率
(ニ) 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
(ホ) 欠損金の繰戻しによる還付制度

A 資本に関係する取引等に係る税制

ロ 清算所得課税
清算所得課税を廃止し、通常の所得課税に移行します。その際、 期限切れ欠損金の損金算入制度を整備する等の所要の措置を講じま す

(注)上記の改正は、@ハ(ロ)、ニ及びホ(イ)並びにAハ(ホ)を除き、平成 22 年10 月1日から適用します。

〔地方税〕

地方税については、法人住民税及び法人事業税が単体法人を納税単 位としていることを踏まえた上で、所要の措置を講じます。

(2)特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度 特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度につ いて、廃止します。特殊支配同族会社の役員給与に係る課税のあり方 については、いわゆる「二重控除」の問題を踏まえ、給与所得控除を 含めた所得税のあり方について議論をしていく中で、個人事業主との 課税の不均衡を是正し、「二重控除」の問題を解消するための抜本的措 置を平成23 年度税制改正で講じます。

(注)本制度は、平成22 年4 月1 日以後に終了する事業年度から適用さ れないこととなります。

(3)租税特別措置等

〔国税〕

(廃止・縮減等)

@ 情報基盤強化税制について、適用期限の到来をもって廃止します (所得税についても同様とします。)。

A エネルギー需給構造改革推進投資促進税制について、対象設備か ら地方ガス天然ガス化設備等を除外する等の見直しを行います(所 得税についても同様とします。)。

B 中小企業等基盤強化税制について、対象から特定旅館業を営む大 規模法人に係る措置を除外します。

G 特定地域における工業用機械等の特別償却制度のうち過疎地域に 係る措置について、関係法律の改正が行われた場合には、ソフトウ エア業を対象事業から除外する等の所要の見直しを行った上、その 適用期限を1 年延長します(所得税についても同様とします。)。

H 優良賃貸住宅の割増償却制度における中心市街地優良賃貸住宅に 係る措置について、適用期限の到来をもって廃止します(所得税に ついても同様とします。)。

(延長・拡充等)

@ 中小企業投資促進税制の適用期限を2年延長します(所得税につ いても同様とします。)。

A 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の 適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。

B 中小企業等基盤強化税制を拡充し、資本金の額等が1億円以下の 法人による仮想化ソフトウエア等を含む情報基盤強化設備等の取得 に係る措置を追加します(所得税についても同様とします。)。

C 試験研究費の増加額に係る税額控除(増加型)又は平均売上金額 の10%を超える試験研究費に係る税額控除(高水準型)を選択適用 できる制度の適用期限を2年延長します(所得税についても同様と します。)。

J 特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例について、中小企 業倒産防止共済法の改正を前提に、対象となる掛金の見直しを行い ます(所得税についても同様とします。)。

L 交際費等の損金不算入制度について、その適用期限を2年延長す るとともに、中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を2年延長 します。

N 中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措 置の適用期限を2年延長します。

〔地方税〕

(延長・拡充等)

@ 中小企業者等の試験研究費に係る法人住民税の特例措置について、 試験研究費の増加額に係る税額控除(増加型)又は平均売上金額の 10%を超える試験研究費に係る税額控除(高水準型)を選択適用で きる制度の適用期限を2年延長します。

A 法人事業税の資本割の課税標準について、無償減資等の金額を資 本金等の額から控除するとともに、無償増資等の金額を資本金等の 額に加算する措置を地方税法本則において講じます。

5.資産課税

(1)住宅関係

〔国税〕

@ 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課 税措置について、次の措置を講じます。

イ 非課税限度額(現行 500 万円)を次のように引き上げます。
(イ) 平成22 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,500 万円
(ロ) 平成23 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,000 万円

ロ 適用対象となる者を贈与を受けた年の合計所得金額が2,000 万円 以下の者に限定します。

ハ 適用期限を平成23 年12 月31 日(現行 平成22 年12 月31 日) までとします。

(注) 上記の改正は、平成22 年1月1日以後に贈与により取得する住 宅取得等資金に係る贈与税について適用します。ただし、平成22 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者については、上記の改正 前の制度と選択して適用できることとします。

A 住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例について、 特別控除の上乗せ(現行1,000 万円)の特例を廃止し、年齢要件の 特例の適用期限を2年延長します。

(延長・拡充等)

〈固定資産税・都市計画税〉

A 高齢者向け優良賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置の適用期限 を1年延長します

B 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に規定す る特定事業計画に基づき鉄軌道事業者等が既設の駅において実施す る改良工事により取得する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産 税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を1年延長しま す。

C 長期優良住宅に係る固定資産税の減額措置について、今後1年間 で新築住宅に係る固定資産税の減額措置と併せて優良な住宅ストッ ク重視の観点から見直しを検討していくことを条件に、適用期限を 2年延長します。

D 省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置について、 今後1年間で新築住宅に係る固定資産税の減額措置と併せて優良な 住宅ストック重視の観点から見直しを検討していくことを条件に、 適用期限を3年延長します。

F 新築住宅に係る固定資産税の減額措置について、今後1年間で優 良な住宅ストック重視の観点から見直しを検討していくことを条件 に、適用期限を2年延長します。

G バリアフリー改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置につ いて、今後1年間で新築住宅に係る固定資産税の減額措置と併せて 優良な住宅ストック重視の観点から見直しを検討していくことを条 件に、適用期限を3年延長します。

〈不動産取得税〉

M 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に規定す る特定事業計画に基づき鉄軌道事業者等が既設の駅において実施す る改良工事により取得する一定の家屋に係る不動産取得税の課税標 準の特例措置の適用期限を1年延長します。

O 長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良 住宅の新築に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を 2年延長します。

P 不動産取得税について、新築住宅を宅地建物取引業者等が取得し たものとみなす日を住宅新築の日から1年(本則6月)を経過した 日に緩和する特例措置の適用期限を2年延長します。

Q 新築住宅特例適用住宅用土地に係る不動産取得税の減額措置(床 面積の2倍(200 平方メートルを限度)相当額の減額)について、土 地取得後の住宅新築までの経過年数要件を緩和する特例措置の適用 期限を2年延長します。

(3)その他

〔国税〕

B 小規模企業共済制度の加入対象者に追加される共同経営者の死亡 に伴い支給を受ける一時金について、所要の法律改正を前提に、相 続税法上のみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として 相続税の課税対象とするとともに、法定相続人1人当たり500 万円 までの非課税制度の対象とします。

C 中小企業退職金共済制度の加入対象者に追加される従業員の死亡 に伴い支給を受ける一時金について、所要の省令改正を前提に、相 続税法上のみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として 相続税の課税対象とするとともに、法定相続人1人当たり500 万円 までの非課税制度の対象とします。

(5)その他

〔国税〕

@ 消費税の仕入控除税額の調整措置に係る適用の適正化 消費税の課税の適正化の観点から、調整対象固定資産の取得に係る 仕入控除税額が過大であった場合に減額する調整措置の対象となるよ う、次の見直しを行います。

イ 事業者免税点制度の適用の見直し 次の期間(簡易課税制度の適用を受ける課税期間を除きます。) 中に、調整対象固定資産を取得した場合には、当該取得があった課 税期間を含む3年間は、引き続き事業者免税点制度を適用しないこ ととします。

(イ) 課税事業者を選択することにより、事業者免税点制度の適用 を受けないこととした事業者の当該選択の強制適用期間(2年間)

(ロ) 資本金1,000 万円以上の新設法人につき、事業者免税点制度 を適用しないこととされる設立当初の期間(2年間)

(注1)上記の改正は、(イ)に該当する場合には平成22 年4月1日以 後に課税事業者選択届出書を提出した事業者の同日以後開始する 課税期間から適用し、(ロ)に該当する場合には同日以後設立され た法人について適用します。

(注2)調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で100 万円(税 抜き)以上のものをいいます。

ロ 簡易課税制度の適用の見直し

イにより、引き続き事業者免税点制度を適用しないこととされた 課税期間については、簡易課税制度の適用を受けられないこととし ます。

(2)所得税の寄附金控除の適用下限額の引下げ

寄附金控除の適用下限額を2千円(現行5千円)に引き下げます。

(注)上記の改正は、平成22 年分以後の所得税について適用します。


賃貸住宅の借り手保護に新法案の兆し
2009年12月

賃貸住宅に住んだことのある人であれば、こんな経験をした人も 中にはいるのではないでしょうか。
退去後の敷金精算書(敷金から原状回復費を差し引いて返金するもの) を貸主から受け取ったときに、入居時にもらった賃貸契約書に書いてあることと乖離していた。なんてこと

たとえば、原状回復費とは、普通に生活をしていての日焼けや消耗は原状回復とは言わないのですが、 そういった、「時の経過」による消耗まで借主に請求したり、ルームクリーニングやエアコンクリーニング も請求する貸主がいるそうです。

こんな話もあります、2年くらいしか賃貸していない事務所のカーペットの全面張替え を負担させられ、敷金のほとんどが返ってこなかったとか。。

借主が抗議したところで、貸主と貸主付きの不動産管理会社に言いくるめられるだけです。
そうなれば、あとは借主は、敷金トラブルに長けた弁護士に依頼し、簡易訴訟でもしない 限り敷金は返金されないでしょうし、そんなことをした時には、敷金どころか 弁護士費用がかかって、結局借主が損をしてしまうことになりますからね。

国土交通省が2010年度から「賃貸住宅の入居者をトラブルから守るため」の法案を、早ければ来年度の通常国会に 提出する予定とのこと。 これは、賃借人にとって朗報ですね。

私は先月、敷金トラブル専門の弁護士のセミナーに行ってきました。
貸主もまた別の観点から、立ち退きや家賃を長期間滞納する借主とのトラブルに頭を抱えている方も多いようで、 貸主側としても、トラブルがないように事前に準備が必要だと弁護士の先生は言っています。
事前準備の一つとして、契約書に原状回復費の範囲や、立ち退きの際の具体的な例示などを盛り込んだ方が 良いとのことでした。

確かに、契約というものは、お互いがその約束の基に 納得しなければならないことで、借主側の立場から言えば、入居の時だけ都合の良いことを並べた契約書で、 退去時には、全て借主負担というのはあまりにルール違反です。もし、はじめから 借主負担と決まっていることがあれば契約書に盛り込むべきで、事前説明も必要です。

また、貸主側の立場から言えば、半年も家賃を滞納しているのに、立ち退きを迫ると 居座られたり、多額の立ち退き料を請求されたり、そういった場合に、立ち退きを迫る 手段として、契約書に何ヶ月滞納したら立ち退き などと明記するのも一つの手です。

貸主、不動産仲介業者も法律の勉強をし、借主の側のことも考えた契約書作り、重要事項については 契約書の説明が必要なのかと思います。 もちろん紳士的な貸主の方も多くいます。一部の不適切な賃貸契約に 対して、法整備をしてくれれば、今まであやふやだったものもすっきりしますね。
さらに、紛争処理を安い費用で可能にすることも、この保護策には盛り込まれているようです。

ところで、前回のコラムで書いた消費税還付の自販機設置スキームですが、こちらも法整備 がされそうだとのことで、今国会に注目です。


賃貸建物の建設にかかった消費税の還付に待った?!
2009年11月

消費税の計算は意外と複雑なのです。
売上の消費税から支払った消費税(以下、仕入消費税といいます) を差し引いて納付または還付というのが必ずしも当てはまるものではありません。

消費税には、課税、非課税、不課税、免税 とあり、今回お話するのは 課税と非課税が登場します。
課税は、消費税がかかる取引。(今回のケースでは全て国内の取引とします。)
非課税は、限定列挙されている、消費税がかからない取引。

それでは、以下のような取引があった場合の消費税の申告について 考えてみましょう。(大前提として、消費税の課税事業者で本則課税で計算)

【事業の経緯】

1.賃貸建物を建設し、多額の消費税を建築業者へ支払った。
2.その建設が完成した課税期間には、まだ入居者がいないとします。
3.他には事業をしていないので、売上は計上されませんが、通帳に資金が数千万円あったため、  預金利息(消費税の非課税)が入金された。
4.その場合、消費税の申告書はどうなるのでしょう。

【消費税の計算の考え方】
単純に考えると、売上消費税から仕入消費税を差し引いて納付、
もし、売上消費税<仕入消費税 なら還付。
となりそうですが、単純にそれだけではありません。

全売上の中身をみます。全売上のうち、どのくらいの割合、課税売上があるか(課税売上割合といいます) によって、売上消費税から控除する仕入消費税の計算が変ります。

還付を受けるには、本則課税という方法で計算をするのですが、 本則課税の中に、仕入消費税の計算方法は2つあります。

【仕入消費税の計算方法】

一つ目 個別対応方式
ア 課税売上割合が95%以上の場合 → 仕入消費税は全額控除
イ 課税売上割合が95%未満の場合 → 以下「あ」+「い」の合計
 「あ」 仕入消費税のうち、課税売上にのみ対応するもの
 「い」 仕入消費税のうち、課税売上と非課税売上に共通対応するもの×課税売上割合

二つ目 一括比例配分方式
ア 課税売上割合が95%以上の場合 → 仕入消費税は全額控除
イ 課税売上割合が95%未満の場合 → 仕入消費税×課税売上割合が控除

【検討】
今回のケースでは、売上は、非課税売上のため、上記のイ となり、 課税売上割合が0となりますので、この建物が居住用建物の場合、 消費税の控除対象仕入税額は0円で、建築費用として支払った多額の消費税は還付されません。

【消費税の還付をうけるためのスキーム】
そこで、消費税を還付させるスキームとして、建築前の空き地や建築中に敷地の一部に、 飲料の自動販売機などを設置して、売上(消費税の課税売上)を計上させるのです。

そうすれば、ほとんどのケースが課税売上割合が95%以上となります、
その建物が居住用建物の場合、一括比例配分方式により計算し、 建築にかかった費用の消費税が全額還付される という訳です。

しかし、ここにきて、賃貸住宅の事業者が、自販機などを使って消費税を 還付した金額が、全国で、40以上の税務署で年間8億円以上であることが 会計検査院の調査で判明。

さて、ここからがちょっと納得いかないのですが、「不適切に税還付を受けている 恐れがあるとして監査院は財務省に改善を求める方針だ」ということだ。

消費税法の規定が、免税事業者がいたり、簡易課税といって 実際の消費税の取引ではない計算で納付をしたりする規定があったり、 課税売上割合などの計算方法があるなど、消費税法の整備をするのが先決? のように思いますが、消費税法の規定どおりの計算式 で計算をして申告をしたのに「不適切に税還付を受けている・・」というのは いかがなものでしょうか。

そもそもの税法が問題なのではないでしょうか。日本も近い将来、INVOICE方式に切り替わる とかいう話もあるようですが、それも難しいでしょうね。


子ども手当創設と扶養控除廃止
2009年9月

政権交代で、新たな政策がてんこ盛りですが、みなさんに直接関係のあり そうな税金の政策をとりあげてみましょう。

 わかりやすい”子ども手当の創設”については、中学卒業までの子ども 1人あたり月2万6千円(初年度は半額)を支給する。という政策は誰が 見てもすぐに理解できる政策ですね。

教育については、公立高校の無償化と、私立高校生も相当額を助成。と あります。私立高校は、少子化の影響で冷え込んでいて、経営を維持するの が大変な状況にあります。この政策は高校生の子を持つ親にとっても とても助かる政策なのですが、実は、私立高校の経営維持につながる重要な 政策であるように思います。

話は少しズレますが、私のクライアントで、認可でない保育所を経営 する会社があるのですが、やはり、認可の保育所は助成金に支えられている 一方、認可を得ていない保育所で経営を持続するには、保育料を上げるが、または経営者の 努力で自分の給料を抑えるなどするしか方法はないのです。保育料を上げる といっても限界があります、やはり経営者の給料を下げるしかないのでしょうか。
できれば、高校と言わず、もっと幼少期からの教育に対して助成をするのが 望ましいと思いますね。待機児童がいる一方、児童が減っている保育所も あるのですから。今後の更なる政策に期待しましょう。

さて、話は戻ります。ここまでは、いい話だったのですが、それでは 得だけする ということでしょうか?もちろん、その分税金で負担しなくては なりません。さて、その代わりの政策はというと。。

税制面で、所得控除の見直しが行われます。配偶者控除の廃止、扶養控除の廃止 です。これは、その配偶者や扶養の年間の所得が38万円以下である場合に、 その人を扶養している人の所得から一定額を控除されるというものです。 それが廃止される という政策です。

例えば、子どもが2人(小学5年生と中学2年生)いて、妻がパート収入がある場合 を見てみましょう。

(その1)夫の年間の給与収入が500万円、妻の年間の給与収入が100万円である場合

現行:
夫:給与収入500万円 △給与所得控除154万円 △基礎控除38万円 △配偶者控除38万円 △扶養控除(38万円+63万円)
 =所得169万円 ×所得税率=84,500が所得税

夫:給与収入500万円 △給与所得控除154万円 △基礎控除33万円 △配偶者控除33万円 △扶養控除(33万円+45万円)
 =所得202万円 ×住民税率=202,000円が住民税

所得税84,500円+住民税202,000円=286,500円納税
____________________________________

政策:
夫:給与収入500万円 △給与所得控除154万円 △基礎控除38万円 △配偶者控除なし △扶養控除なし
 =所得308万円 ×所得税率=210,500円が所得税

夫:給与収入500万円 △給与所得控除154万円 △基礎控除33万円 △配偶者控除なし △扶養控除なし
 =所得313万円 ×住民税率=313000円が住民税

所得税210,500円+住民税313,000円=523,500円納税
 △子ども手当て月26,000円×12ヶ月×2人=624,000円
⇒△100,500円 差し引きでもらえる
___________________________________________


(その2)夫の年間の給与収入が1,300万円、妻の年間の給与収入が100万円である場合

現行:
夫:給与収入1300万円 △給与所得控除235万円 △基礎控除38万円 △配偶者控除38万円 △扶養控除(38万円+63万円)
  =所得888万円 ×所得税率=1,406,400円が所得税

夫:給与収入1300万円 △給与所得控除235万円 △基礎控除33万円 △配偶者控除33万円 △扶養控除(33万円+45万円)
  =所得921万円 ×住民税率=921,000円が住民税

所得税1,406,400円+住民税921,000円=2,327,400円納税
___________________________________________

政策:
夫:給与収入1300万円 △給与所得控除235万円 △基礎控除38万円 △配偶者控除なし △扶養控除なし
  =所得1,027万円 ×所得税率=1,853,100円が所得税

夫:給与収入1300万円 △給与所得控除235万円 △基礎控除33万円 △配偶者控除なし △扶養控除なし
 =所得1,032万円 ×住民税率=1,032,000円が住民税

所得税1,853,100円+住民税1,032,000円=2,885,100円納税
△子ども手当て月26,000円×12ヶ月×2人=624,000円
⇒2,261,100円 差し引きで納税負担
___________________________________________

所得税率
 (195万円以下5%、195万円超330万円以下10%、330万円超695万円以下20%、695万円超900万円以下23%、900万円超1800万円以下33%、1800万円超40%)

住民税率10%

どうでしょうか。こうやってみると、所得によってずいぶんと違ってくるものですね。 高所得者は子ども手当てをもらっても増税になる可能性があります。課税の公平の見地からは 当然のことなので仕方ないですね。

そう言えば、数年前に廃止された老年者控除が復活するとかしないとか。。。 ご高齢といえども高額所得者の方には税負担をお願いしたいものですね。


判例にみる売上計上時期
2009年8月

この半年くらい、休日などを利用して 個人事業者のための帳簿のつけ方申告のしかたがわかる本 を執筆していました。こちらは9月11日に発売となりますので また来月のメルマガでご紹介します。

この本を書いていて初心に戻り色々と基本的なことや 難しい言葉(専門用語)をいかに使わずに文章にして正しく 伝えるか を勉強しました。

今回のコラムは、売上計上時期 という基本的ではあるけれど、 最も重要と言ってもよい標題です。

売上の計上時期は、品物を売っていれば、その納品の時に売上 を計上したり、サービスを提供するのであれば、サービス提供時 に売上を計上しなくてはなりません。

よく、事業をはじめたばかりの方から、お金がまだ入ってきて いないのに、売上を計上するのですか? と聞かれることがあります。

そうなのです、会計の世界では、現金主義(一部現金主義が認められる 場合もありますが)ではなく、発生主義が原則なのです。

判例も交え 例示します。

例えば、弁護士を職業としている場合、依頼主(お客様)から着手金 を受取ます。そして、その案件(裁判の弁護など)を引き受けて、 書類を作成したり、裁判所に出向いたりします。最後に、裁判の結果に よって、成功報酬などを依頼主からもらうことになります。

この場合、さきほど売上の発生主義の原則から考えると、 サービス完了時は、判決が出た時 のように思います。 とすると、着手金はまだサービスに着手する前であることからも もらったときには売上を計上しなくてもよい ように見えますね。

ところが、そうではなく、着手金は入金時に売上を認識します。 これは、着手金 というものの性質が、たとえ着手したあと、 途中で依頼をやめたり、裁判の途中で弁護士を変えたりした場合 つまり、判決が出る前(サービス完了時)であっても着手金は 返さない からです。

このように、いつの時点で売上が確定するか が問題なのです。

次に、徳島地裁平7.4.28判決 の歯列矯正料の収益計上時期 に ついて見てみましょう。

この判例では、矯正器具はかなり高額であることから、その歯科医院が 分割で矯正料をもらうことになっていた。医院では、分割の未回収分は 売上計上をしていなかった。課税庁は、その分割の未回収分も、器具装着時に 売上として計上すべき として争った事件。

売上の時期は、器具を装着した時 なのか、それともそうでないのか 考えてみましょう。

一見、課税庁の見解のように器具を装着した時にサービス(納品)は完了 している ようです。しかしどうでしょう。器具を装着してそれでもう 歯医者さんの役目は終わりですか?そうではありません。何年もの年月を かけて、何度も患者さんに来院いただいて装着具合いをみたり、微調整を しますね。そして、数年後にようやく装置が外され、矯正が終わる。 そうすると、装置を外したとき にようやくサービスが完了した。とみる こともできます。

ここは難しいことろですが、この判決は、未回収分についての売上計上の 課税庁側の更正処分は取り消されています。

つまり、このケースでは、売上計上時期の判断が難しため、未回収の金額 までは売上計上を求めなかった。ということになります。かなりギリギリの どっちに転んでもおかしくないような事例です。

さて、このように争いにならないようにするために、防御しておくことが 重要です。

たとえば、1年目で矯正をやめた場合には、20%を返金する、など 細かい規定を設けておくと良いかもしれません。そして、判断に迷ったときには 税務署や顧問税理士に相談しましょう。


今年の9月よりいよいよダイレクト方式による納税スタート
2009年6月

いよいよ21年9月から法人の国税について、 口座振替が可能になります。

既に皆さんもペイジーによる納付をされていると 思いますが、毎月納める源泉税の納付期限をうっかり 忘れてしまったりしたこともあるかもしれません。

これからは、自動的に指定日に指定口座から振替が できるようになります。これを「ダイレクト方式による電子納税」 と言います。

    今までのペイジーでの納付は、金融機関と法人の間でインターネット バンキング契約を結ばなければ利用ができず、高い月額利用料を支払わなければ なりませんでした。

インターネットバンキングを利用していない法人については、わざわざ 銀行のATMまで出向いてペイジーによる納付をしなければなりませんでした。

それが、これからはパソコン(インターネットに接続しているもの)があれば 、会社から納税情報を送信すれば、あとは自動振替をするだけとなります。 煩わしい”利用者識別番号”や”暗証番号”などを入力する手間も省けます。

手順としては、口座振替契約を税務署を通じて金融機関へ提出します。  (こちらは、銀行届印が必要なので、ペーパーで提出になります) 提出してから利用開始まで1ヶ月はかかるそうです。

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/nozei-shomei/annai/24100030/

ただし、この「ダイレクト方式」はまだ国税(e-Tax)だけの利用となり、地方税(eL-Tax) による利用はまだ先となりそうです。

もちろん、税理士による代理送信も今まで通り可能です。
顧問先の皆様には、納税額と振替日だけをお知らせすることになります。

今のところ都市銀行では、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、ゆうちょ銀行のみの利用 の予定だそうですが、今後候補金融機関が増えるでしょう。9月の利用開始 時にはほとんどの主要都市銀行とのダイレクト方式が可能になると良いですね。

平成21年度税制改正成立しました。
2009年4月

平成21年度税制改正法案が成立しましたのでその一部ご案内ですが その前にいくつかご案内があります。

◆ 雇用関係助成金のご案内 ◆

昨年からの世界的金融危機で、雇用不安が続いております ので、政府が打ち出した雇用関係助成金についてのアドレスをご案内 します。時間短縮などのワークシェアリングをお考えの法人等は ぜひご覧下さい。

雇用調整助成金
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a01-1.html

中小企業緊急雇用安定助成金
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a01-2.html


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◆ el-taxによるペイジー開始のご案内 ◆

 E-Japan 計画と言いながら、地方の申告はいまだ電子申告に対応して いないところもあります。
法人関係の地方税もペイジーができなかったので大変ご不便をおかけしておりました。
2009年4月1日より、いよいよ都税事務所の法人都民税・事業税等の 納付がペイジー対応になってくれました!弊所顧問先様のネットバンキングをされている 方は銀行に行かなくても国税、地方税とも納付ができます。大変お待たせ 致しました。

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◆21年度税制改正 成立しました。◆

今回の目玉は、やはり不況対策を乗り切るための土地・住宅と法人税の減税です。 私が個人的に気になったところや一般的なものを抜粋してみます。

1.法人税法一部改正

(1)仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除・還付制度 について、会社更生法の規定による更生手続開始の決定等の事実が生じた場合に 仮装経理法人税額の還付を請求することができることとするほか、還付の方法等 について所要の規定の整備を行うこととする。

仮装経理は、本来あってはならないことですが、このような救済措置ができたのも 債権者保護の観点からでしょう。

2.住宅・土地税制の一部改正

(1)◎いわゆる住宅ローン控除制度の適用期限が5年延長されました。
 (毎回延長されるのであれば、措置法ではなく、本法にすべきと思いますけれど。。)
 ◎住宅の取得等をして平成21年から平成25年までの間に居住の用に供した場合
  ・控除期間は平成21年から平成25年までの居住でいずれも10年間
  ・住宅借入金等の年末残高の限度額は、
   21年、22年が5千万円、23年が4千万円、24年が3千万円、25年が2千万円
  ・控除率はいずれも年末借入金残高の1%

住宅ローン控除を多く受けられるのは、21年、22年に居住した人ということに なりました。土地住宅の動きを早期に活発にさせたいということがよく分かりますね。

また、「認定長期優良住宅」に該当する場合には、上記にプラスアルファーした 控除限度額、控除率となっております。

(2) 認定長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除の創設

 ◎居住者が、国内において、住宅の用に供する認定長期優良住宅の新築等  をして、長期優良住宅の普及の促進に関する法律の施行の日から平成23年12月31日  までの間に居住の用に供した場合には、一定の要件の下で、その者のその居住の用  に供した日の属する年分の所得税額から、当該認定長期優良住宅について講じられた  構造及び設備に係る標準的な費用の額(1,000万円を限度)の10%に相当する金額を控除する。

(3) 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除の創設

@ 年齢が50歳以上である者等一定の居住者(以下「特定居住者」という。)が、その所有する  居住用の家屋について次の改修工事をして、平成21年4月1日から平成22年12月31日までの間に  その者の居住の用に供した場合には、一定の要件の下で、当該特定居住者のその居住の用に供し  た日の属する年分の所得税の額から、次の金額の合計額(当該合計額が20万円を超える場合には  20万円とし、特定設備の設置工事を行う場合において当該合計額が30万円を超えるときは30万円とする。)  を控除する。

イ 高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造及び設備の基準に適合させるための一定  の改修工事 当該改修工事に要した費用の額又は当該改修工事の標準的な費用の額のいずれか  少ない金額(当該金額が200万円を超える場合には、200万円)の10%に相当する金額

ロ エネルギーの使用の合理化に資する一定の改修工事 当該改修工事に要した費用の額又は  当該改修工事の標準的な費用の額のいずれか少ない金額(当該金額が200万円を超える場合には  200万円とし、特定設備の設置工事を行う場合において当該金額が300万円を超えるときは300万円とする。)  の10%に相当する金額

A 特定居住者以外の居住者が、その所有する居住用の家屋について上記@ロの改修工事をして、  平成21年4月1日から平成22年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合には、一定の  要件の下で、その者のその居住の用に供した日の属する年分の所得税の額から、上記@ロの金額を控除する。

(4) 特定の土地等の長期譲渡所得の特別控除制度の創設

個人又は法人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得(特別の関係がある者からの取得並 びに相続、遺贈、贈与及び交換によるものその他一定のものを除く。)をした国内にある土地等で、その年1月1日 において所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合には、その年中に譲渡をした土地等に係る長期譲渡所得の 金額から1,000万円(当該長期譲渡所得の金額が1,000万円に満たない場合には、当該長期譲渡所得の金額) を控除 することとする。

(5) 平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の課税の特例の創設

事業者が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に国内にある土地等の取得をし、 その取得の日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までにこの特例の適用を受ける旨の届出書を 納税地の所轄税務署長に提出した場合において、その取得の日を含む事業年度終了の日後10年以内に その事業者の所有する他の土地等の譲渡をしたときは、その先行して取得をした土地等(以下「先行取得土地等」という。) について、他の土地等に係る譲渡利益金額の100分の80(その譲渡の日を含む事業年度においてこの特例の適用 を受ける先行取得土地等が平成22年1月1日から同年12月31日までの間に取得をされたもののみである場合には、 100分の60)相当額を限度として、圧縮記帳ができることとする。

3. 中小企業関係税制

(1) 中小企業者等の法人税率の特例

一定の法人の平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する各事業年度の所得の金額の うち年800万円以下の金額に対する法人税率を18%(現行22%)に引き下げることとする。

(2) 中小企業者等の欠損金の繰戻しによる還付制度の適用

欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置について、対象から一定の法人を除外し、これらの法人の 各事業年度において生じた欠損金額について、欠損金の繰戻しによる還付制度の適用ができることとする。

(注)上記(2)の改正は、平成21年2月1日以後に終了する事業年度において生じた欠損金額について適用する。

詳しくは国税庁HP http://www.mof.go.jp/houan/171/houan.htm#sy3 ご参照下さい。

医療費控除/所得税確定申告間近
2009年3

21年4月から低公害車に対する自動車取得税等が更に減免される ことや、休日ETC利用の高速道路料金が一部の地域で一律千円で利用できる という記事や定額給付金の決定で一時的に家庭のお財布が 潤いますが、その税収などの負担をどこから填補するのか、 また国の借金が増えると思うと怖いのも現状ですね。

さて、もうまもなく個人所得税の確定申告期限です。
今年は15日が日曜日なので、翌日の16日が申告期限です。

今回は、サラリーマンの皆さんでも「医療費控除」をうけるため に確定申告は1度くらいしたことがあるかもしれませんので、 医療費控除についてご案内しようと思います。

◎医療費の対象者◎
あなた(申告をする人)が支払った医療費が対象となります。
そこで、ご自分又は生計を一にする配偶者やその他の親族のために 支払った医療費であることが定義されています。

所得税法上の扶養は、年間所得が38万円以下であることが条件ですが、 この医療費控除の場合、誰の医療費を支払ったか は上記の通りです。
つまり、所得制限はありません。例えば、共働き夫婦で奥様の年間所得は 38万円を超えている場合でも、奥様の医療費をご主人が負担した場合には ご主人が医療費控除を申告できる ということです。

◎医療費控除の対象となる医療費範囲◎
・医療費は、病院などでの治療や入院、レセプトによる調剤薬局での薬代だけが  医療費控除の対象だと思っている方がいらっしゃるかもしれません。
 スーパーやドラッグストアなどで購入した風邪薬なども医療費控除の対象となります。
・介護保険制度を利用した一定の施設・居宅サービスの自己負担額
・医療機関へ行くための電車代・バス代(どうしても公共の交通機関以外タクシーなどを利用 しなければならない場合には税務署へご相談下さい)
・小さい子供や高齢者の付き添いが必要な場合には、その付添い人の交通費も対象となります。
・自由診療の歯の治療であっても、一般的に支出される水準を著しく超えない場合
 (金やポーセレンなど一般的に使用されるものはOK)は対象となります。


◎医療費控除の対象とならない医療費◎
・お医者様に謝礼金を渡した場合でもその謝礼金は対象となりません。
・健康診断(その後疾患などが見当たらない場合など)費用は対象となりません。
・健康増進のためや病気予防のためのビタミン剤などは対象となりません。
・疲れを癒したり、体調を整えるなどの整体などは対象となりません。
・入院による一般病室も問題がない場合にあえて個室を利用した場合などの差額ベッド代
・容貌美化するための医療費

◎医療費控除の計算

次の式で計算した金額(最高200万円)
実際に支払った医療費の合計額△(1)△(2)

(1)保険金などで補填される金額
(その治療についての保険金は、その治療に係る支出からのみ控除します。)
例:入院給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など

(2)その申告をする人のその年の総所得金額等が200万円以上の人→10万円
   その申告をする人のその年の総所得金額等が200万円未満の人→総所得金額等×5%


◎医療費控除を受けるため
・電車・バス代以外は、領収書を全て保管します。
・医療費控除の明細書を確定申告書に添付し、領収書を封筒に入れ(その他申告に必要な書類も添付)て税務署に提出します。
・ただし、電子申告の場合には領収書の送付を省略する手続きも可能です。(領収書3年間の保管は必要)



不況による緊急対応!役員の給与についての公表
2009年1

不況による緊急対応!役員の給与についての公表がされました。

中小企業の役員の給与は「定期同額給与」か「事前確定届出給与」の いずれかとされています。

”著しい業績の悪化”の場合には、減額することが認められておりますが、 その法律の詳細が明確でなく、税制改正当初は資金繰りの悪化はこれに該当しない、  としていた国税庁の対応が、昨年末に緊急で以下のような場合には ”著しい業績の悪化に含まれる”と対応を変えてきました。

簡素化してお知らせしますので、具体的に減額を考えられる場合には 顧問税理士へご相談下さい。(弊所ではクライアント以外の無料相談はしておりません)

1.株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての 経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合

2・取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議に おいて、役員給与の額を減額せざるを得ない場合

3.業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者 からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための 計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合

また、今までは認められていなかった ”病気のため職務が執行 できない場合”の減額OK や、総会で据え置きの決議をしなかった 場合の取り扱いも盛り込まれております


不況対策、21年度税制改正大綱公表
2008年12月

12月12日に自民党、21年度税制改正大綱が公表されました。
今回は、税額控除等の措置法が期間延長されたというところでしょう。
法人については、法人税の繰戻し還付の一部法人の凍結解除や、法人税の軽減税率が引き下げられ るなどの項目が設けられました。それでは、項目別に見ていきましょう。

1住宅・土地税制

 (1)住宅税制
  ・住宅ローン減税を5年間延長 
  ・長期優良住宅の住宅ローン控除最大控除可能額を600万円に引き上げ
  ・省エネ改修促進税制、バリアフリー改修促進税制、耐震改修促進税制
   の適用期間を5年間延長
  ・自己資金で長期優良住宅を新築、省エネ改修、バリアフリー改修をする
   場合も税額控除(新設)←今までなぜなかったのか不思議でした。少し詳しく説明します。

   「長期優良住宅の新築等をした場合の所得税の特別控除の創設」
   対象者 居住者(その年分の合計所得金額が3千万円以下の者)
   対象住宅 長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良住宅で一定の
          もので新築または建築後使用されたことのないもの
   対象期間 同法施行の日から23年12月31日までの間に居住
         (新築等の日から6ヶ月以内に居住した場合)
   減税額  その新築等の標準的な性能強化費用相当額(1千万円上限)の10%
   減税期間 確定申告により、その年分の所得税から控除。控除しきれない場合、翌年控除

   「既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税の特別控除の創設」
   対象者 居住者(その年分の合計所得金額が3千万円以下の者)
   対象住宅 その者の居住の用に供する家屋で一定の省エネ改修工事を行ったもの
        (工事費用が30万円を超えるなど、条件があります)
   対象期間 21年4月1日日から22年12月31日までの間に居住
   減税額  その省エネ改修工事費用と標準的な工事費用のいずれか少ない金額
         (2百万円上限)の10%
        (太陽光発電装置の設置の場合は上限300万円)の10%
   減税期間 確定申告により、その年分の所得税から控除。控除しきれない場合、翌年控除

  (2)土地税制
  ・21、22年に土地を取得、5年超所有し譲渡する譲渡益の1千万円特別控除(新設)
  ・事業者が21、22年に取得する土地を先行取得資産としてその後10年間に売却
   する他の土地の譲渡益課税を繰り延べ(新設)
  ・土地売買等の登録免許税の現行軽減措置を2年間据え置き
  ・事業用の長期保有土地等の買換え特例の措置を3年間延長

2自動車税制 ― 省略 ―

3成長力の強化、経済の活性化
 ・企業による省エネ・新エネ設備等や省エネ性能の高い家電製品等について2年間即時償却
 ・間接外国税額控除に代え、外国子会社からの配当について親会社の益金不算入(新設)

4中小企業対策
 ・中小法人等の軽減税率を22%から18%に2年間引き下げる
  ↑21年4月1日から23年3月31日までの間に”終了”する各事業年度の所得の金額のうち
   年800万円以下の金額に対する法人税の軽減税率に対して適用される。
   いつものパターンは、”開始”事業年度なのに対し、今回は緊急対策なのでしょう、
   ”終了”事業年度となっています。
 ・現在一部停止されている欠損金の繰戻し還付を復活

5相続税制 ― 省略 ―

6道路特定財源 ― 省略 ―

7金融・証券税制
 ・上場株式等の配当等について3年間の延長
 ・10%軽減税率が廃止され20%本則税率となる際、5年間毎年100万円までの
  上場株式等の配当・譲渡益を非課税とする(新設)を22年度税制改正に措置
 ・一般生命保険料控除、個人年金保険料控除の限度額の引き下げ  
  (5万円→4万円)と増税となる措置を24年1月から実施
 ・介護医療保険料控除を創設を24年1月から実施

8円滑・適正な納税のための環境整備
 ・電子証明書を有する個人の電子申告に係る所得税額の特別控除を2年間延長 
  ↑20年分の申告までのはずが、2年延長されましたね。
  電子申告があまり普及しなかったのでしょう。面倒な手続きの上、分かりづらい
  ですから。うちの事務所でも個人のクライアントには、来年の申告でラストチャンス
  なので、電子証明書を取得して頂くようにアナウンスし、既にほとんどの方が
  取得済みですが、延長されるのであれば、あまり急がなくても良かったようです。


調査官は調査件数にノルマあり?!
2008年10月

最近、周りで税務調査があった と聞かれることが多くないでしょうか。 また、貴社もまさかの調査依頼の電話があったなどということはないでしょうか。 そうです。ここ数年で調査件数は格段に増えました。

調査件数だけで言えば、 2002年249千件、2003年231千件、2004年419千件、2005年439千件、2006年474千件 といった増加です。

追徴税額でいうと、あまり変りません。 では、なぜ調査が増えたのか、また最近の調査の傾向はどんなものか、 現役税務調査官X氏、Y氏に話を聞くことができました。

最近の流行りは、重点項目調査だそうです。 以前は、同時調査(約6日間の調査日数)、重点項目調査(約3日間の調査日数) が7:3の割合であったところ、現在では、5:5になってきているとのこと。

件数が増える、しかし税務職員数は増加しない→1人当たりの調査ノルマ件数が 増える→広く浅い調査となる

次に、どういう理由で調査対象となるか、その選定方法です。
1 前年対比(B/S、P/L)で異常値がある場合
2 資料せん情報
3 概況(時代の流れ)→今でいうと不動産が重点的に選定されているらしいです。

調査については、日頃からきちんと帳簿、領収書、議事録管理をしていれば 何ら恐いことはありません。

しかし、調査官は、期ズレなどの修正申告よりも、重加にした方が 良し と署内ではされているようです。虚偽の申告などをしない場合、 不当だと思われる重加を課せられそうになった時は、国税庁のHPを ご確認下さい。重加対象のものが公表されています。

今時期に来る調査は調査官のノルマ達成のための調査かもしれません。 調査官も大夫お疲れだと思います。嫌な顔せずに納税者として税務署に協力してあげましょう。


上場株の配当がある方はここが変わります!
2008年8月

最近自民党で次の税制改正で配当所得を非課税とする案が出ています。 金融証券税制の中で配当だけを非課税とするのは問題があるのかも しれませんので、この案が通る可能性は低いとは思います。

さて、20年度税制改正により、上場株式の配当について 大きな改正がありました。 (上場株式等の譲渡についても改正ありましたが、今回は配当に ついてのみご案内します)


〔適用開始〕平成21年1月1日以降に支払を受けるべきもの

〔適用対象〕上場株式等の配当等

〔税率〕
『平成20年12月31日まで』
所得税7% 住民税3%

『平成21年1月1日〜22年12月31日』
・課税配当所得の100万円以下の部分→ 所得税7% 住民税3%
・課税配当所得の100万円超の部分 →所得税15% 住民税5%

『平成21年1月1日以降』
所得税15% 住民税5%


〔申告〕平成21年分以降の申告についてです。

その1 『申告分離課税』を選択
   (申告分離課税を選択すると配当所得控除は適用なしなので注意!)

その2 『総合課税』を選択

その3 『上場株式等の配当等に係る配当所得の申告不要の特例』を選択


    ※上場株式等の一部を申告分離、一部を総合課税として申告という方法は できません。全てをどちらかで申告することになります。

※上場株式等に係る配当所得の金額は、総合課税の対象となる所得の計算上 生じた損失の金額と損益通産できません。

※申告不要の特例は、上場株式等の配当等の額の合計額が100万円を超える場合 (少額配当等を除く。)には適用できず、全て確定申告をしなければならない こととされました。

※少額配当等とは、その年中に同一の支払者から支払を受けるべき上場株式等の 配当等の額の総額が1万円以下のもの。

※上場株式等の譲渡損失と配当所得の損益通産制度が新設。

  〔添付書類〕
配当等の申告をする場合には、支払通知書、特定口座年間取引報告書等の添付が 必要です。(総合課税、分離課税いずれの場合にも)

扶養になっている奥様は特に注意して下さい。ご存知だとは思いますが 申告による配当所得も扶養の判定の基礎となる所得として加算されます!


公益法人の大制度改革
2008年6月

年金問題やねじれ国会が原因で国民にとってとても重要である税制改正の成立に 時間がかかり、4月1日施行のものまで4月1日にまだ決定していないという異様な 事態でした。

税理士の私もクライアントの皆様へお知らせする情報も「・・・になる見込みです」 に留めるしかなかったです。

ようやく決定したものは、大きな改正はなく、ほぼ措置法も2年ずつ延長となりました。

この20年度税制改正で大きな改正としては、「公益法人の制度改革」がされたこと でしょうか。公益法人はもしかすると一般的ではないかもしれませんが、今後 NPO法人を立ち上げようと思ったりしている方には重要となりますのでお知らせ しておきます。

【適用時期】新しい非営利法人制度の施行・・・・20年12月1日から
      公益社団法人及び公益財団法人のみなし寄付金制度の拡充・・・20年4月1日


【法人税法上の新たな分類】

1. 公益社団法人及び公益財団法人(以下公益社団等という)

2. 収益事業課税が適用される一般社団法人及び一般財団法人
  (非営利型法人)(以下非営利型法人という)

3. 全所得課税が適用される一般社団法人及び一般財団法人
  (特定普通法人)(以下特定普通法人という)

4. 特例民法法人


【分類ごとの意義】

1.「公益社団等」の意義

 一般社団法人及び一般財団法人及び特例民法法人のうち、  内閣府または都道府県に設置された有識者7名からなる公益認定等委員会等の  機関によって公益性の認定を受けた法人をいいます。 

2.「非営利型法人」の意義

 次の(1)または(2)のいずれかにがいとうする法人をいいます。

 (1)以下全ての要件に該当する一般社団法人及び一般財団法人

  ・剰余金の分配を行なわない旨が定款に定められている
  ・解散時の残余財産を国等に帰属する旨が定款に定められている
  ・理事(及びその親族等である理事を含む)の合計数が、理事の
   総数の3分の1以下であること
  ・上記の定款の定めに違反した行為がないこと

 (2)会員に共通する利益を図る活動を行なうことを主たる目的
  としていること等の要件に該当する一般社団法人及び一般財団法人

3.「特定普通法人」の意義

 公益社団等にも非営利型法人にも該当しない法人

4.「特例民法法人」の意義

 これまでの公益法人(民法34条に規定する社団法人・財団法人) で、制度移行期限までにいずれかの分類に以降していない法人

【分類ごとの税務関係】

1.「公益社団等」の税務関係

収益事業についてのみ課税。
収益目的事業(別表に掲げられた23事業)に該当するものは除外される。
認定法上の公益事業については、法人税法上の収益事業であっても非課税 とする大胆な規定。

20年度改正では、収益事業の範囲について、労働者派遣業を追加、国家資格 に関する試験事業等を技芸教授業から除外されました。

ちょっと面白いというか、法の整備が甘いと思うのが、 例えば貸会議室を利用して技芸教授をしようとする団体があったとします。

その内容が茶道、生花であれば収益事業に該当してしまいますが、 パソコンや外国語教室であれば、収益事業として列挙がないため、収益事業には 該当しないこととなります。

ですから、単純に技芸教授といっても、細かく法人税法施行令第5条@第30号 を見ないと区分ができないのです。

みなし寄付金制度については、公益目的事業に使用する金額を認めて いますので、すべて公益目的事業で使用すれば全額を損金計上できる ということです。

利子等の源泉所得税も非課税となります。

従来では、要しなかった収益事業の有無に係わらず、税務署に損益計算書等 を提出することとなりました。

(今まで提出が不要ということも驚きですけれど)

2.「非営利型法人」の税務関係

20年度改正で、法人税の税率は、
所得の金額のうち年800万円以下の部分・・22%
上記以外              ・・30%

となり、みなし寄付金の適用はありません。

また、利子等の源泉所得税の非課税制度の適用もありません。

これらは、任意団体(人格なき社団)やNPO法人と同様です。

3.「特定普通法人」の税務関係

法人税法上は普通法人として取扱い、全ての所得について課税されます。

4.「特例民法法人」の税務関係

これまでどおり法人税法上の公益法人等として取り扱われ、 収益事業から生じる所得について、法人税の税率は一律22%課税。

みなし寄付金についても従来どおり、所得金額の20%までが損金の額に 算入されます。

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さて、分類上 どの法人格が有利なのか、言うまでもなく 公益法人等です。

今までの公益法人等が制度移行後に非営利型法人に以降してしまう 場合には、期源ギリギリまでねばって特例民法法人のままでいること が有利となります。

こちらも言うまでもありませんが特定普通法人は一般の法人と 同じですので、何らメリットはありません。

公益認定等ガイドラインは日々改訂されています。
細かくチェックして認定が得られるようにしましょう。



メール警視庁
2008年4月

メール警視庁

ねじれ国会の影響で、未だ20年度税制改正が制定 されていない異常事態となっております。

とりあえずは、税制の措置法に関してはつなぎ法案で5月まで つながっている状態ではあります。可決されましたら また皆様にお知らせしますので、今しばらくお待ち下さい。

さて、今回は税務の話からちょっと離れます。

皆さん、防犯対策はされていますでしょうか?
先日、こんな情報が区報に載っていましたのでお知らせします。

”メールけいしちょう”ってご存知ですか?

 警視庁から、各地域で発生した『犯罪発生情報』や犯罪を防ぐ ために必要な『防犯情報』等をメールでお知らせしするものです。

 4月1日(火)から、登録された皆様にメールの配信を始めました。
 現在も登録者を受付けています。

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/i/mail/index.htm

それで、早速 私も登録してみました。

地域の限定もできますので、自宅付近と、事務所付近の地域をまず選択し、 不審者情報や防犯情報をメールで送ってもらう登録をしました。
配信時間を夕方くらいに設定したので、仕事帰りにちょっとチェック をしてから帰宅しようと思います。

ただ、不審者がこの近くにいますよ。 とメールが来たところで 対処のしようもないのですが、なるべく寄り道をしないで帰ろう という くらいのことはできるでしょうね。

昨今、警視庁へは不審者情報が入っているのに、知るべきはずの市民がそれ を知らないことによる被害が多く見受けられますので、少しでも こういった情報は共有すべきであると思います。

本来ならば、メールではなく地域へ放送をする等、広く周知される ことを今後期待します。


平成20年度税制改正の大綱・要綱がようやく1月11日閣議決定
2008年1月

国会では、「ねじれ現象」、「宙に浮いた年金問題」の影響で 皆さんにとって大切な税制改正についてなかなか進んでいなかった のですが、ようやく1月11日閣議決定されましたので、一部抜粋したものをお知らせします。

1 《法人関係税制》について

(1) 情報基盤強化税制 が利用しやすくなりました。

◆対象設備等に、部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフト ウエアとして一定の要件を満たすものを加える

◆資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人等について、対象設備等の取得価額 の合計額の最低限度を70万円(現行300万円)に引き下げる

(コメント)最低限度を70万円で、ようやく使えそうな優遇税制となりそうです。
 現行の下限300万円って。。ハードル高いですよね。

(2) 減価償却制度

◆法定耐用年数について、機械及び装置を中心に、資産区分を整理するとともに、 法定耐用年数を見直す。
なお、この改正は、既存の減価償却資産を含め、平成20年4月1日以後開始する 事業年度について適用する。

(コメント)日本の耐用年数表はとても細かいもので、実態に即していないのが現状。
キャッシュ≠利益にならない 原因の一つが この減価償却。
改正案の別表を見ましたが、まだまだ細かい。。。


2  《中小企業関係税制》について

(1) 教育訓練費が増加した場合の特別税額控除制度について、改組されました。

◆対象を中小企業者等に限定するとともに、労働費用に占める教育訓練費の割合が 100分の0.15以上の場合に、教育訓練費の総額に、労働費用に占める教育訓練費の 割合に応じた特別税額控除割合(100分の8〜100分の12)を乗じた金額の特別税額 控除ができる制度に改組。

(注)特別税額控除割合は、労働費用に占める教育訓練費の割合から100分の0.15を 控除した割合に40を乗じたものに100分の8を加算した割合とする。

(2) 中小企業投資促進税制の適用期限を2年延長する。

(3) 交際費等の損金不算入制度について、中小企業者に係る400万円の定額控除の適 用期限を2年延長する。

(4) 欠損金の繰戻しによる還付の不適用制度について、中小企業者の設立後5年間 に生じた欠損金額に係る。適用除外措置の適用期限を2年延長する。

(5) 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限を2年延長する。

(コメント)期限が間近となったものについて、それぞれ2年延長されています。
 従業員のための教育訓練費についての優遇税制が改組されていますが、こちらも  結構使えますね。


3  《納税環境整備》について

◆ 電子納税の新たな納付手段の創設

国税の納付手続について、あらかじめ税務署長に一定の事項を届け出た場合には、インターネット バンキングを経由しない電子情報処理組織による納付手続を行うことができることとする。

(注)上記の改正は、平成21年9月1日以後に行う電子情報処理組織による納付手続について適用する。

(コメント)E-Japan まだまだですね。法人都民税・事業税の納付はようやく20年2月からペイジーで納付できる ようになるそうで、コンビニ納税も次第にできるようになってきています。


4  《事業承継税制》について

「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」を創設する。

本制度は中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)施行日以後の相続等に遡って適用する。
この新しい事業承継税制の制度化にあわせて、相続税の課税方式をいわゆる遺産取得課税方式に改めることを検討する。

その際、格差の固定化の防止、老後扶養の社会化への対処等相続税を巡る今日的課題を踏まえ、相続税の総合的見直しを検討する。

(1) 事業承継相続人が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等によりその会社の株式等を取得しその会社を経営して いく場合には、その事業承継相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(相続開始前から既に 保有していた議決権株式等を含めて、その会社の発行済議決権株式の総数等の3分の2に達するまでの部分)に係る課税価格 の80%に対応する相続税の納税を猶予する。

(注1)「事業承継相続人」とは、中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)における経済産業大臣の認定を受けた 一定の中小企業の発行済株式等について、同族関係者と合わせその過半数を保有し、かつ、その同族関係者の中で筆頭株主で ある後継者をいう。

(注2)会社を経営していた被相続人は、その会社の発行済株式等について、同族関係者と合わせその過半数を保有し、かつ、 その同族関係者(事業承継相続人を除く。)の中で筆頭株主であったことを要する。

(2) 納税猶予の対象となる株式等のみを相続するとした場合の相続税額から、その株式等の金額の20%に相当する金額の株式等 のみを相続するとした場合の相続税額を控除した額を猶予税額とする。

(3) その事業承継相続人が納税猶予の対象となった株式等を死亡の時まで保有し続けた場合等の一定の場合には、猶予税額を免除する。

(4) その事業承継相続人が、相続税の法定申告期限から5年の間に、代表者でなくなる等により、中小企業の事業の継続の円滑化に 関する法律(仮称)に基づき経済産業大臣の認定が取り消された場合等には、猶予税額の全額を納付する。

(5) 上記(4)の期間経過後において、納税猶予の対象となった株式等を譲渡等した場合には、その時点で、納税猶予の対象となった株式 の総数等に対する譲渡株式の総数等の割合に応じた猶予税額を納付する。

(6) 上記(4)又は(5)により、猶予税額の全額又は一部を納付する場合には、その納付税額について相続税の法定申告期限からの利子税 も併せて納付する。

(7) この特例の適用を受けるためには、原則として、納税猶予の対象となった株式等のすべてを担保に供しなければならない。

(8) 個人資産の管理等を行う法人の利用等による租税回避行為を防止する措置を講ずる。

(9) 中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)の施行日以後に開始した相続等から適用を可能とする措置その他所要の措置を講ずる。

(10) 現行の特定同族会社株式等に係る相続税の課税価格の計算の特例は、所要の経過措置を講じた上で廃止する。

(コメント)すべての業種に対応しているものではありませんので、ご注意を


5  《金融・証券税制》について

(1) 上場株式等の譲渡所得等に対する課税

◆上場株式等に係る譲渡所得等の7%軽減税率の廃止

上場株式等の譲渡所得等に係る税率については、平成20年12月31日をもって7%
(住民税とあわせて10%)軽減税率を廃止する
 平成21年1月1日以後は15%(住民税とあわせて20%)となる。。

◆ 特例措置

平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間(2年間)に上場株式等を譲渡した 場合には、その年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額のうち500万円以下の部分については、 7%(住民税とあわせて10%)とする。

(2) 源泉徴収口座における源泉徴収税率の特例

◆平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間(2年間)の源泉徴収口座における源泉徴収税率は、 7%(住民税とあわせて10%)とする。

◆この場合において、源泉徴収口座の上場株式等に係る譲渡所得等の金額と源泉徴収口座以外の上場株式等 に係る譲渡所得等の金額の合計額が500万円を超える者については、その超える年分について、源泉徴収 口座の譲渡所得等に係る申告不要の特例は適用しない。

(3) 上場株式等の配当所得に対する課税

◆ 上場株式等に係る配当等の7%軽減税率の廃止

居住者等が支払を受けるべき上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率については、平成20年12月31日をもって 7%(住民税とあわせて10%)軽減税率を廃止する
平成21年1月1日以後は15%(住民税とあわせて20%)となる。

◆ 源泉徴収税率の特例措置

平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間(2年間)に居住者等が支払を受けるべき上場株式等の配当等 (大口株主が支払を受けるものを除く。以下同じ。)に対する源泉徴収税率を7%(住民税とあわせて10%)とする。

この場合において、その年中の上場株式等の配当等(年間の支払金額が1万円以下の銘柄に係るものを除く。)の 金額の合計額が100万円を超える者については、その超える年分について、当該上場株式等の配当等に係る申告不要の 特例は適用しない。

◆ 上場株式等の配当所得の申告分離選択課税の創設

平成21年1月1日以後に居住者等が支払を受けるべき上場株式等の配当所得については、当該居住者等は15% (住民税とあわせて20%)の税率による申告分離課税を選択できることとする。この場合において、申告する上場株式等 の配当所得の金額の合計額について、総合課税と申告分離課税のいずれかの選択適用とする。

◆ 申告分離選択課税の税率の特例措置

平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間(2年間)に上場株式等の配当等の支払を受ける場合に、 その年分において申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得の金額のうち100万円以下の部分については、 7%(住民税とあわせて10%)とする。

◆ 源泉徴収口座への上場株式等の配当等の受入れ

(注)上記の改正は、平成22年1月1日以後に支払う上場株式等の配当等について適用する。

(4) 損益通算の特例

◆ 上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当所得との間の損益通算の特例の創設

その年分の上場株式等の譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるとき又はその年の前年以前3年内の各年 に生じた上場株式等の譲渡損失の金額(前年以前に既に控除したものを除く。)があるときは、これらの損失の金額を 上場株式等の配当所得の金額(申告分離課税を選択したものに限る。)から控除するものとする。

(注)上記の改正は、平成21年分以後の所得税について適用する。

◆ 源泉徴収口座内の上場株式等の配当等に対する源泉徴収税額の計算の特例の創設(源泉徴収口座内における損益通算)

源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の配当等に対する源泉徴収税額を計算する場合において、当該源泉徴収口座内に おける上場株式等の譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、当該配当等の額から当該譲渡損失の金 額を控除した金額に対して源泉徴収税率を乗じて徴収すべき所得税の額を計算する特例を創設する。

この場合において、当該上場株式等の譲渡損失の金額につき、申告により、他の株式等に係る譲渡所得等の金額又は上 場株式等に係る配当所得の金額から控除するときは、本特例の適用を受けた上場株式等の配当等については、申告不要 の特例は適用しない。

(注)上記の改正は、平成22年1月1日以後に支払う上場株式等の配当等について適用する。

(コメント)金融一元化課税 と言っていますが、ややっこしいですね。
段階を踏んで移行していくのでしょうか。


詳しくは
http://www.mof.go.jp/genan20/zei001.htm
をご参照下さい。


今年の年末調整、少々面倒です
2007年11月

e-Japan(e-Government)計画から数年経ちますが、未だ電子政府は普及していない ようです。電子申告等を使った割合は3%にすぎないそうです。
そのせいで、色々な税務署(おそらく民間に委託していると思いますが)から、 「電子申告お願いします。」と営業電話がかかってきます。
私の事務所では50%超が既に電子申告利用開始届済みです。(税務署からの営業電話 がくる以前からです)電子納税(ペイジー)は、お客様からは「銀行に行かずに 納税ができて、便利ですね。」と言われます。

さて、今年も年末調整の時期がやってまいりました。
今年は、皆さんから、税金がだいぶ増えたとの声が多く聞こえてきました。
そうですね、色々と個人の税金も改正がありました。
さらに、税源移譲(国から地方へ)で、住宅ローン控除に影響がある人もいて、 年末調整だけでは足りず、お住まいの市区町村へ住宅ローン控除(所得税引ききれなかった分) の申告をすることになりました。
申告のフォームは統一されておらず、未だ申告様式が未公表の市区町村も多いです。

年末調整の準備は既に始まっていますので、今年も年末調整の留意事項、所得税の改正 等について、ご案内します。

《 所得税改正のお知らせ 》

【19年の年末調整に関係ある事項】

(1) 定率減税の廃止。
旧 所得税額の10%(上限12.5万円) → 新 廃止

  ※用語の意義 定率減税とは、年間の所得税が算出された後、その所得税に10%を掛けた金額 を所得税から引いてくれるという減税です。廃止となりましたので前年に比べ増税となっています。

(2) 所得税の税率改正
   旧 10%〜37%の4段階  → 新 5%〜40%の6段階

 住民税の税率が一律10%となったことに伴い、所得税率が改訂されました。
 所得税(国税)と住民税(地方税)を合計すると変らない仕組みになっています。

(3) 19年1月1日以降に交付する給与所得の源泉徴収票等が一定の要件の下、書面による交 付に代えて、電磁的方法により提供することができることとされました。

※ ただし、この場合交付された源泉徴収票をプリントアウトして確定申告書に添付す   る資料とすることはできません。今まで通りの紙で交付を受け会社の角印が押され  たものが必要となります。

(4) 損害保険契約に付随する地震保険の保険料について最高5万円まで所得から控除 できるように損害保険料控除が改組されました。

※  ただし、18年12月31日までに締結した長期損害保険料(地震保険なしの場合)については、 上限1万5千円となります。
※ 18年12月31日までに締結した長期損害保険料(地震保険ありの場合)や、19年以降に 締結した長期損害保険料については、上限5万円となります。
※ 一つの損害保険契約等が、地震等損害により保険金等が支払われる損害保険契約等と 長期損害保険契約等のいずれの契約区分にも該当する場合には、選択によりいずれか一方の契 約区分にのみ該当するものとして、地震保険料控除の控除額を計算します。
↑自分で選択するって、難しそうですね。でも、会計事務所に任せればOK!

※ 用語の意義 長期損害保険 とは、
保険期間が10年以上であり、かつ 満期返戻金がある 両方を満たす契約の損害保険をいいます。

  (5)年末調整において控除しきれなかった住宅ローン控除の金額は源泉徴収票に記載することになり ましたので、その源泉徴収票を基に住民税の住宅ローン控除手続をお住まいの市区町村にて行なって下さい。


税務調査の法律
2007年10月

納税者は日々苦労して利益を出し、税金を納付しています。 その中で、「税務調査」と聞くと、ちょっとドキっとする納税者が多いようですが 全く恐いことはありません。
心構えをしておくことで安心できますね。 これから、税務調査がどんなものか、どのように対応すべきかをお話します。

まず、税務調査には、「強制調査」と「任意調査」というものがあります。
「強制調査」は、いわゆる査察です。映画でありましたね、マルサの女というのが、あれです。
強制調査は、何かの根拠(裏づけ)がなければありません。
国税犯則取締法に基づいていますので、これを逃れることはできません。
強制調査の話は皆さん興味ないでしょうから、次にうつります。

「任意調査」と言われるものです。この”任意”という言葉からして、調査を受けても 受けなくても良さそうな感じですが、そうではありません。
昭和48年7月10日最高三小45(あ)2339、平成10年3月19日大阪高裁7(ネ)926 における事例でも 「質問検査に対しては相手方はこれを受忍すべき義務を一般的に負い、その履行を間接的心理に強制 されているもの」とされています。
ですから、調査の申出があった際にはきちんと納税者の義務を果たしましょう。

さて、任意調査に関しては、事前に税理士(一定の書面添付がある場合)に税務署等から連絡が入ります。
ここで、税理士は納税者へ連絡をして、日程調整等を計るのですが、事前に連絡が 入らない「無予告調査」があります。
これは、事前通知を行なうことが適当でないと認められる場合・・・とありますが、 いわゆる現金商売がそれに該当します。今、レジの現金を数えなければ調整されてしまう。 可能性がある場合等です。

この場合の対処法です。納税者はまず税理士へ連絡をします。そして、納税者は税理士が到着するまで は調査官に待つように伝えます。 この無予告調査の場合、その必要な部分のみの調査をし、一旦はお引取りを願います。 レジの現金を数える場合、それだけで帰ってもらう ということです。 これが目的なのですから。

現金商売をされている皆さんは、きちんと毎日現金を勘定されていますね? それが基本ですから。そして、金種票も毎日つけていますね? できることなら、毎日の売上げを預金へ預入れて下さい。これで信憑性が高まります。

日程を予め決めた上で、調査当日となります。
調査官はまず会社の概況を聞き、従業員(労働者名簿)、売上の計上の流れ、入金の流れ等を 聞きます。通常は直近3年分(進行年度は除く)の資料を見ます。

調査官は、事業と関係のある、資料の他、会社の棚、机、パソコン(メール)まで見ます。 社長の個人の通帳までも見ることがあります。個人と会社と関係ないのでは?とお思いの方もいらっしゃる かもしれません。しかし、社長の通帳には、会社から給与が振り込まれているのです。これで事実関係が 生じてきます。拒否は出来ません。 ただし、個人のバックやポケットの中等は法的に見てはいけないこととなっており、現金や金庫も 自らは開けず、会社の人に開けてもらって見ることになります。

いずれにせよ、適正な処理をしていれば、何も問題はありません。忘れがちな議事録等もきちんと所定の日付で 日ごろから作成しておきましょう。

住宅ローン控除、住民税で救済措置、申告が必要!お忘れなく
2007年8月

今年の6月以降の給与明細書を見て、住民税が高くなっている。 とお思いの方は多いかと思います。
これは、国から地方へ 税源移譲に伴う所得税、住民税率の改定が あったからです。

さて、そこで、国税である所得税だけから控除されていた住宅ローン控除、 それでは所得税が少なくなったということは、その所得税から引いていた 住宅ローン控除が引ききれなくなったので損をしてしまうのでは?  と不安に思われた方もいらっしゃったかもしれません。
んんん。住宅ローン控除は所得税だけの控除で、住民税からは控除され ていなかったのか。。 と今お気づきの方もいらっしゃったかもしれません。
そうなのです。住宅ローン控除は今までは所得税だけから控除されていた ものなのです。
さて、税源移譲に伴う住宅ローン控除が引ききれなくなってしまう方の 今回の救済措置はどんなものなのか、ご説明しますね。

〈適用対象者〉
・ 平成11年から平成18年までに入居され、所得税の住宅ローン 減税の適用を現在受けている方
又は
・平成19年の確定申告から受ける予定の方

いずれかのうち、税源移譲により所得税額が減少することに伴い、本来受けられ るべき住宅ローン減税額が減少する方

〈対象減税額〉
税源移譲により減少する住宅ローン減税相当額

〈必要な手続き〉
平成19年分以降に申告(基本的には平成20年1〜3月以降の申告)を行う

〈措置〉
平成20年度分以降の住民税から控除することができるよう措置されています

〈留意事項〉
毎年同時期の申告が必要

〈源泉徴収票〉
19年分の源泉徴収票より、住宅ローン控除の住民税影響額を記載する項目が追加 されております。

〈その他〉
平成19年又は20年に入居される方につきましては、住宅ローン減税の 効果を所得税において確保するため、平成19年度税制改正において、 住宅ローン減税の控除期間を10年から15年に延長し、1年あたりの 控除額を引き下げる特例を創設することとされています。この特例は現行制度との選択制です。
と、このように、入居の年分の所得税の確定申告以外には、給与所得者の場合  年末調整で住宅ローン控除が済んでいたのですから、毎年 申告が必要なんて 面倒ですね。。


使えない「改正事業承継」
2007年7月

平成18年度税制改正により、非上場株式が適格財産となったのは周知のとおりです。
さらに、相続財産である非上場株式をその発行会社へ譲渡した場合のみなし配当課税 の廃止について、特例有限会社の出資持分が対象となり、事業承継がしやすくなった のでは?という声を聞きます。

本当にそうでしょうか? これから、事業承継について、税制上どんな整備がされて いるのか物納OR譲渡の特例かを言及していきましょう。

1 非上場株式の物納についての要点

(1)取締役会議事録等の決議により譲渡制限ではない株式にする

(2)物納財産の収納後、税務署長が求めた日から6月以内に次の書類を提出

 @有価証券届出書
 A目論見書
 B有価証券通知書
 C開示書類(事業報告、財務諸表等)

(3)処分についてはつぎの二つがある

 @随意契約により処分 ⇒ 5年以内に買い戻しOK
 A一般競争入札 つまり、会社の株式が第三者へ渡ってしまう。

つまり、物納は、会社を続けるためには、随意契約により、いずれ買い戻す ということで物納財産とする以外には、会社が縮小してしまうことになる。

メリットとしては、相続税の納税資金が不要である、物納した株式を買い戻す際に 発行法人が所得税等の課税が生じない

デメリットとしては、物納申請が却下された場合、延滞税等が課税される


2 (相続)非上場株式の譲渡の特例についての要点

相続財産である非上場株式を金庫(※1)にした場合、みなし配当(※2)はせず、 一定の金額(※3)を譲渡所得等の課税の特例を適用する

(※1) 金庫株 とは、相続税の申告期限の翌日以降3年を経過する日までに その非上場株式の発行会社に譲渡した場合のその株式をいう

(※2) みなし配当 とは、株式の譲渡対価 △ その発行法人の資本等の額

(※3) 一定の金額 とは、発行法人の資本等の額 △ 発行法人の帳簿価額等


3 特定事業用資産の相続税の課税価格の計算の特例

発行済株式総数の価額が20億円未満の特定同族会社で一定の要件を満たすものは 10億円の部分までは10%減額される。

この規定は、改正前は上限が3億円だったものを10億円に引き上げたが、 たったの10%減 ということで、小規模宅地 でいくと80%減(最高)される のを考えると、会社(株式)の承継は難しいものでありますね。

また、農地の納税猶予にしても、農業を承継させるため、承継しつづければ 相続、贈与も発生しないことから比べると、農業以外の事業を承継するには 莫大な税金がかかり、納税資金のために事業を縮小せざるを得ないことも 否めない。会社は個人とは別人格であり、働いている従業員、取引先は何ら 変ることもないのに、税金がかかるとは、日本の事業承継税制もお粗末なものですね。

  4 取引相場のない株式等に係る相続時精算課税制度の特例

60歳以上の親から20歳以上の子に対し、取引相場のない株式等の贈与をする場合には 非課税500万円上乗せで3,000万円 特別控除(特定同族会社等の特例制度)が19年度税制改正 で創設された。

事業承継税制は、日本がはじめたそうだが、今や その制度の内容は 諸外国から 比べるとかなり遅れています。20年の税制改正の税調へ改正案を提出する格好に なっているので、それに期待したい。


役員給与は定期同額だけじゃない!
2007年6月

役員の給与、改正によって頭が固くなっていませんか?
先日、税理士の集まりに参加した時のこと、「役員給与の改正で皆さんの事務所では どう対応されていますか?」 と質問したところ、 私が聞いた全ての事務所で「定期同額給与」 に”してもらっている” と回答されました。

はい、確かにそれは一番無難なところでしょうね。
役員の給与には、「定期同額給与」の他にも、「事前確定届出給与」というものがありますが それを出したがらない(出せない)理由を聞いてみると、 よく分からない規定だから。とか 間違えると怖いから。とのこと。。。(苦笑)

役員の給与については、18年度税制改正で 今までにない大幅な改正がされたのは周知のとおりです。
その後、ブーイングの多かったものや、制度的に無理があったものは19年度税制改正で少しはマシになった ように思います。

では、中小企業(大企業にはまた別の規定もあります)の皆さんが選択をできる「定期同額給与」と 「事前確定届出給与」について比較していきましょう。

「定期同額給与」
(1) 事業年度開始から3ヶ月以内の改定OK
(2) 以前あった期首に遡及しての増額支給NG
(3) 著しい業績悪化による減額OK。
    ただし、定期同額の期首から3ヶ月以内に増額した場合にはその後の減額NGですよ。
  (規定が読みづらいですが、そういうことを言っています)

「事前確定届出給与」
(1) 一定の期間内(※1)に税務署へ届出が必要
(2) 定期同額以外の支給について、会社の意思で決定可能
(3) 資金繰りの関係で支給時期を会社の都合で決定可能

さて、※1について、これがとても重要かつ問題です。
一定の期間内とは、以下のうちいずれか”早い日”ということです。
(以下19年4月1日開始事業年度からの規定)

(ア)株主総会等の決議によりその役員の職務につき「所定の時期に確定額を支給する旨の定め」をした場合 における当該決議をした日から1月を経過する日
(イ) 上記(ア)がその職務の執行を開始する日後である場合にあっては、当該開始する日から1月を経過する日
(ウ) 当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から4月を経過する日

(注意)新たに設立した法人、連結法人、保険会社等は別段の定めあり
これらのいずれか早い日までに税務署へ届出をしなくてはなりません。

この事前確定届出給与については、例えばこんなメリットがあります。
● 国や市区町村等との契約で、契約金の入金が毎年3月に1回である場合、定期同額にしてしまうと 会社の資金繰りが困難となるが、売上の入金にあわせて役員給与も年1回とすることができる。
ただし、これは、その役員が年1回だけの給与で耐えられるだけの個人資金があるかが問題。

● 監査役、会計参与等へ 決算において監査をうけ、その対価として給与を支給する場合、 その業務完了によって給与を支給したい場合に監査後、年1回支給することができる

● 役員が産休等にはいり、給与を減額することにより、 社会保険で給与が減額された場合に社会保険事務所等から手当てがもらえる

デメリットとしては、社会保険加入している役員について、他の従業員と同じように 盆暮に賞与を出したとすると、賞与について、社会保険料を支払わなければならない。

特に、社会保険料の等級が上限の役員については、本来ならば賞与として支給したい 金額を給与に乗せて毎月同額として支給すると、賞与を支給した場合に支払うこととなる社会保険料 を節約できる。

※もう一つ、もし 「事前確定届出給与に関する届出」 を出した後に変更すべき事由が生じた際には、 「事前確定届出給与に関する変更届出」 というものもありますので、ご活用ください。

この変更届出は、事前確定届出給与に関する届出を一旦提出した後、 期中に業績悪化したため減額する場合もこれに該当しますので、ご注意を。

この事前確定届出給与 を出したがらない 会計事務所は、ちょっと逃げ腰なのでしょうね。
新しい規定だから、危ない。。と思っているようです。

しかし、お客様のことを第一に考え、新しい規定に挑んでいくのが会計事務所の仕事ではないでしょうか?
挑むといっても、法律に従い、適正に処理すれば何も怖いことはないのです。

そう言った面から、当事務所では、新しい改正に迅速に順応し、節税となる税額控除等をできるだけ 活用していきたいと今後も努力します!


所有権移転外ファイナンス・リース取引を売買取引とみなす
2007年3月

リースに関する税務上の取扱について19年度税制改正(要項)がございましたので ご案内いたします。

今回 取扱が変るというリース取引は、「所有権移転外ファイナンス・リース」です。

箇条書きにしてご説明します。
(1)適用時期・・・・・   20年4月1日以降締結するリース契約〜

(2)借り手側の取扱・・ 現行 「資産の賃借」
                改正後 「資産の取得」

(3)優遇税制・・・・・   現行 リース税額控除 リース総額×60%×7%

                  改正後 廃止 → 中小企業投資促進税制へ
              「中小企業投資促進税制」で 取得価額×7% の税額控除が適用される

リース税額控除の廃止 と聞くと、納税者にとって不利になるよ うに感じるかもしれませんが、リースの総額を基礎に税額控除さ れる率は4.2%であるのに比し、中小企業投資促進税制での 取得価額の7%の控除の方が多く税額控除される結果となり、 借り手には有利であると言えますね。

(4)減価償却・・・・・    現行 「リース料」として支払時に損金経理(選択)
                改正後 「資産計上」し、減価償却する

(5)固定資産税・・・・   改正後も変更なく、貸し手が納税する
               ここは、借り手は一安心ですね。

(6)消費税・・・・・・   ここが大きく変る!!

               現行 リース料支払時に資産の譲渡等があったものとする
                (資産の譲渡とは、消費税の計算に入れる時期の事)

                改正後 リース対象資産の引渡し時に資産の譲渡等があったものとする 

  皆さん、消費税の設備投資により、消費税の計算方法で納付税額がかなり 違ってきますのは周知のことと思いますが、これからは、消費税の有利判定に、 リースの総額から利息分を除いた金額を算定に含めることになるのでお忘れなく! 


注意点! 通常の取得等に適用される 特別償却、圧縮記帳 は このリース取引については 適用されません。

リース取引についてご説明します。

「ファイナンス・リース」は、解約不能 とフル・ペイアウト(※1)の2つの条件を満たした契約のことを言う

@リース物件の所有権が借手に移転する条項があること
Aリース期間の終了後に特に安い価額で購入できる権利がついており、その利用が確実と認められること
B特別仕様物件であり、その耐用年数にわたり借手以外の者が利用することはないと認められること
Cリース料総額の現在価値が、リース物件購入金額のおおむね90%以上であること
D解約不能のリース期間が、リース物件の経済的耐用年数のおおむね75%以上であること

所有権移転ファイナンス・リース・・・@ABのいずれかを満たすもの

所有権移転外ファイナンス・リース・・・CDいずれかまたは両方だけを満たすもの

会計上のオペレーティング・リース・・・ファイナンス・リース以外のリース取引


(※1)フル・ペイアウトとは、物件から享受する全ての利益を得ると共に、修繕費など物件に係るコストをすべて支払うこと


19年度税制改正大綱/早くも断念特殊支配同族会社の・・・
2006年12月

12月14日に 平成19年度税制改正大綱 が公表されました。そこで今回の目玉は、 早くも断念か?と思われる「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」制度について の改正でしょうか。その他はあまり目を引きませんね。
大法人にとっては、設備投資の金額が膨大でありますので、 減価償却制度の改正が気になるところでしょうか。では、箇条書きにしてみましょう。

1<減価償却制度>
(1)平成19年4月1日以降に取得する減価償却資産について、残存価額を廃止。
 この場合の定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.5倍した数とする。
↑やっと日本も残存0になりましたね。国際的にもかなり遅れているようです。

これ、どういう事か、例示します。

 300,000円 で減価償却資産を当期 期首に購入。 耐用年数5年 とします。
【旧法】
(定率法の場合) 300,000円×0.369=110,700円
(定額法の場合) 300,000円×0.9×0.2=54,000円

【新法】
(定率法の場合) 300,000円×0.5(*1)=150,000円
(定額法の場合) 300,000円×0.2=60,000円(残存0なので旧法の×0.9は削除)

(*1)定額法の償却率(1/耐用年数)を2.5倍した数
 1/耐用年数5年×2.5=0.5

(2)償却可能限度額の廃止
 平成19年4月1日以降に取得する減価償却資産については、耐用年数経過時に1円(備忘価額) まで償却できる。

19年3月31日以前に取得した減価償却資産は、償却限度額(取得価額の95%)まで償却した 事業年度等の翌事業年度以後5年間で均等償却できます。

2<法人関係>
(1)特定同族会社の留保金課税制度について、適用対象から資本金の額等が1億円以下である 会社を除外する。
↑崖っぷちですね。もういい加減 制度自体を廃止したらいいのにと思いますが。

(2)特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度について、適用除外基準である 基準所得金額を1,600万円(現行800万円)に引き上げる。
この改正は平成9年4月1日以降に開始する事業年度の法人税について適用する。

これでホッと一安心の会社も多いのではないでしょうか?
年800万円ですと、それを除外するのも難しいですからね。同族会社を創るなってこと と同じですから。この1年ですぐの改正はやはり”パブコメ”のお陰??


その他の主な改正(私の主観で選んでいます)
・上場株式等の配当等と譲渡所得等に係る軽減税率(所得税7%、住民税3%)の特例 の適用期限を1年延長。

・住宅のバリアフリー改修工事等に係る優遇措置
(1)平成19年1月1日に存していた住宅のうち65歳以上の者、介護保険法の要介護若しくは要支援の 認定を受けている者又は障害者である者が居住するもの(賃貸住宅を除く)がバリアフリー改修工事 をした場合、一定の書類を添付し、市町村に申告された場合には、固定資産税の軽減あり。

(2)一定の居住者がローンを組んでのバリアフリー改修工事を した場合には、所得税の特別控除が受けられます。(もちろん、確定申告が必要です)

・特定の居住用財産の買換え、交換の長期譲渡所得の課税の特例について、買換資産である 家屋の床面積要件の上限(現行280u)を撤廃、適用期限を3年延長。

・居住用財産の買換え等の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を3年延長。

・法人の事前届出給与について、提出期限を株主総会等の日から1月を経過する日(一定の 場合には、会計期間開始の日から4月を経過する日)

・国民健康保険税の基礎課税額に係る課税限度額を56万円(現行53万円)に引き上げる

・個人住民税の均等割の標準税率を引き上げる

e-Japan戦略/年末調整の留意点 二本立て
2006年11月

【 e-Japan戦略 】
e-Japan戦略を内閣が打ち出してからずいぶん経ちますが、あまり進んでいないようですね。
税制面では恩恵がない上に設備投資がかかりますから、わざわざやる会社は少ないでしょう。

先日、私個人の印鑑証明と住民票を区役所にとりに行った時、入り口にATMらしきものを発見。 どうやらその機械で印鑑証明と住民票が取れるらしい。早速窓口でその機械が使えるように申請、 15分くらいして手続きが完了。 今まで持っていた印鑑カードに暗証番号(4ケタの数字)を組み込んだということ。
その日必要だった印鑑証明と住民票を機械でとってみた手数料が安いという最大のメリット、 さらにまだその機械が認知されていないからか、窓口よりもスピーディーに取得ができた。
皆さんもぜひ利用してみて下さい。(家族全員の住民票も取れちゃいます)

先日の勉強会で、土地の権利書がなくなる。 ということを土地家屋調査士から聞きました。
登記識別情報通知書という紙に登記識別番号という12ケタの英数字が書かれているものです。
噂によると、権利書の偽造が相次ぎ、法務局がその責任逃れ?として考えたとか。。(あくまで噂です)
今後は、この登記識別番号が知っている者が登記の手続きをできることになります。 ですから、司法書士などは登記の代理をした場合には、誤ってシールを剥がして登記識別番号を見てはいけない とのことです。所有者は他人に知られてしまった場合には 所有者の責任 ということなのでしょうか。
この番号を持っているのが嫌な人は不発行とすることも可能です。不発行の人が登記をしようとした場合には 本人確認をするそうですので、こちらの方が安心かもしれませんね。

【年末調整の留意点】
今年の改正はあまり大きなものはありません。と一見そう見えますが、かなりの 増税となっています。
税務署からのしおりを見ると、改正点が今年関係あるものと、来年以降のものとが一緒に書かれていますので ちょっと分かりづらいですね。大きなもののみ、要点をお知らせします。

『 18年の年末調整に関係がある事項 』
(1)定率減税が引き下げられています。
 旧 所得税の20%(上限25万円) →  新 所得税の 10%(上限12.5万円)

※用語の意義
定率減税とは、年間の所得税が算出された後、その所得税に(今年の場合)10%を掛けた 金額を所得税から引いてくれるという減税です。それが昨年は20%、今年は10%となりました。

(2)19年1月1日以降に交付する給与所得の源泉徴収票等が一定要件の下、書面による 交付に代えて、電磁的方法により提供することができることとされました。
(18年の年末に源泉徴収票を交付する場合はまだ適用できませんのでご注意を)

※ただし、この場合 電磁的方法で交付された源泉徴収票をプリントアウトして確定申告書に添付する 資料とすることができません。今までどおりの紙で交付を受け、会社の印鑑が押されたものが必要となります。

『 19年の年末調整に関係がある事項 』
(1)定率減税が引き下げられています。
 旧 所得税の10%(上限12.5万円) →  新  廃止

(2)損害保険契約に付随する 地震保険の保険料について最高5万円まで所得から控除できるように 損害保険料控除が改組されました。

※ただし、18年12月31日までに締結した長期損害保険料(地震保険なしの場合)については、上限1万5千円となります。
※18年12月31日までに締結した長期損害保険料(地震保険ありの場合)や、19年以降に締結した長期損害保険料については 上限5万円となります。

※用語の意義
長期損害保険とは、保険期間が10年以上であり、かつ 満期返戻金がある の両方を満たす契約の損害保険を いいます。損害保険料控除証明書に 「A」と書かれているものがそれです。(記載のないものもあります) 「B」と書かれているものは短期損害保険です。


税金もっと安くならない?
2006年10月

日本にはいくつもの種類(多すぎる)の税金があります。ちょっとイヤミな言い方をすると、 別々の名目で徴収(納付)すれば、少なく見えるって手法なんでしょうかね。分かりづらいですよね。

よく、「税理士に聞きたいことがあったんです。」どんな事かと思えば、「健康保険の事なんですがね。。」 だったり、「年金の事ですけど。。」といった、社会保険に関する事です。
まあ、確かに税金みたいなものですけどね。私、税理士なんで、税金のことならともかく、社会保険とは ちょっと違うんですよね。
もちろん、クライアント様が安心して経営に専念できるように、社会保険についても対応できる体制には しています。最近では、会社(法人)の税金対策だけではなく、社長個人の税金対策や社長ファミリーの 税金と、社会保険料を総合した節税(節社会保険料)対策を重視しています。

ここで、見落としがちな節税を一つご紹介します。
収入が少なかったり、リタイヤしたご両親がいらっしゃった場合、そのご両親を扶養するという手続きです。
手続きにより、社会保険料は激減します。
・ご両親が支払う健康保険料→0円
・息子さん、娘さんが支払う健康保険料→変更なし(一部負担が増える場合もあります)
これだけでも、月に数千円〜数万円の節約になるんです。かなり大きいですよね。

今のお話は”社会保険の扶養”ということです。これだけではないんです。
今度は”所得税・住民税での扶養”もあるんです。
所得税で言えば、最低1人38万円、住民税は最低1人33万円の所得控除(扶養控除)が 受けられます。最低というのは、そのご両親(扶養される方)が身障者である場合等には 所得控除額が加算されるからです。
この所得控除って、税金がどのくらい安くなるかってことですけれど、所得税で3万8千円〜 (その本人の税率によって異なります)住民税でも3万3千円〜(19年度改正後は一律10%) 節税になるんですよ。

さて、手続きについてですが、社会保険では、その社会保険団体によって、要件がずいぶん 違うようですね。
例えば、政府管掌の社会保険では、
被扶養者の年間の収入見込み額が130万円未満であれば被扶養者だと認定します
退職し無職無収入であればすぐ被扶養者と認定してくれます
といった要件(実際にはもっと細かく要件があります)だったり

ある健康保険組合では、
60歳未満の家族の場合:年間収入が130万円未満
60歳以上の家族の場合:年間収入が180万円未満
雇用保険の失業給付金や障害年金については、一定の計算に従って算定します。
など、細かく要件がございますので、扶養の手続きの際には、ご加入している社会保険団体へ ご確認下さい。

税制面での扶養については、被扶養者の所得が38万円以下ならOKです。

扶養をする場合にご留意頂きたい点が、遠方で別居をされている場合には、その扶養をされる方へ 生活費を援助している支払を銀行を通して送金されることです。
これによって、扶養をしていますよって証明になります。

さて、手続きについてですが、社会保険では扶養の届出の必要がありますが、 一方税制面での扶養については、年末調整をされる方は扶養控除等(異動)申告書へ被扶養者 (この場合ご両親)の氏名、年齢などを記入して会社へご提出されるだけ完了です。後は 会社が計算をしてくれます。
確定申告をされる場合には、扶養の欄に氏名、年齢等をご記入下さい。(確定申告の際には扶養控除も お忘れなく)

社会保険の扶養と税金面での扶養とは、要件が異なりますので、充分に確認の上、お手続き下さい。


駐禁取締り強化の会計処理
2006年9月

2006年6月1日より駐車違反の取締りが強化されました。
だからといって、今までの駐禁をした場合の罰金等の支払についての会計処理と何ら変りませんが、 罰金等の会計処理についておさらいしてみましょう。

業務中の駐禁であるから損金として処理できる。と誤解しがちです。
しかし、「業務の遂行に関連してなされた行為」であっても、反則金(罰金)については損金として認められません
あくまでも罰金であるため、その罰金の一部を税金で負担する結果になるからです。

一方、レッカー代や車両保管の駐車代金については、罰金とは違うので損金計上ができます
ただし、「業務中の駐禁」に伴うレッカー代等のみ損金が認められますので、プライベートでの 駐禁に関する費用は一切損金で認められません

例えば、会社がプライベートでの駐禁に関する罰金等を負担した場合は、その役員や社員に 対する給与課税の対象となり、源泉所得税が発生します。

さて余談ですが、この交通反則金はどこへ行くのでしょうか。
それは、いったん国庫に入った後「交通安全対策特別交付金」として、人口が集中した交通事故の 多い自治体に優先的に配分されます。使途も道路関係の整備費に限られています。

 改正された道路交通法では、ドライバーが「反則金」の支払を拒否した場合、車の所有者から同額、 「違反金」として徴収します。この違反金については都道府県の収入となり、使途も限定されません。
 しかも、放置違反金には免許の交通違反点数が付かないため、多くのドライバーが減点になるよりも 放置違反金の請求を待つのではないかとも言われています。
反則金としてではなく、違反金としてのお金さえ支払えば違反点数を免れることができるという抜け道 ですが、取締りを強化するほど都道府県の一般財源は増やせるという仕組みになってしまった法律です。


”信用がない”決算書??
2006年8月

2006年5月に会社法が施行され、決算書の様式も新たになったところで、”信用がない”決算書に ついてお話します。
ある会社の社長が金融機関に融資を申し込みました。同社の決算書を見せたら、 「利益を計上していますが、御社は実際は赤字です。融資は難しいですね。」と 切り捨てられました。
しかし、決算書を見ても黒字で利益が出ているし、何のことを言われているのかさっぱり 分かりませんでした。
そこで、この会社の決算書の黒字決算を金融機関はどのようにして赤字決算と見たのか、 そのカラクリです。

(1)まず、金融機関が目にしたのは、貸倒引当金の計上についてです。
ケースA
@資産として、金銭債権が100あったとします。
A負債が0とした場合、
B純資産は、@-A=100となります。
これは、金銭債権に対して、その評価勘定である貸倒引当金を適切に設定していない、 誤った財政状態が示されています。

この金銭債権の貸倒れリスクとして、適正に計上した場合、
ケースB
@資産として、金銭債権が100。貸倒引当金△50。だと、50が資産です。
A負債が0とした場合、
B純資産は、@-A=50となります。
このケースを見ると、Aの場合はBの本来のケースと比較すると、純資産が 過大に表示されていることが分かりますね。

(2)次に、財務診断のポイントとして、減価償却費の過小計上です。
ケースA
@固定資産が100あったとします。
A負債が0とした場合、
B純資産は、@-A=100となります。
これは、減価償却をしていない状態です。

ケースB
@固定資産が100で、減価償却費△80=固定資産の価額は20となります。
A負債が0として
B純資産は、@-A=20となります。
むむむ、、減価償却は必ず行なわなければいけないの?
そう、お気づきかと思いますが、法人税法上は減価償却は任意計上と 聞いたことがありますね。
中小企業の会計指針においては、「毎期継続して、規則的な償却を行なう」 ことを求めています。なぜなら、減価償却が行なわれないと誤った財政状態が 示されるから、このケースのように。
よ〜く考えてみて下さい、減価償却を行なわなければ、その固定資産の帳簿価額は、 価値の目減り分を反映しないから、その資産の真の評価が分からないでしょう。
真の評価を表す信用力のある決算書を作るため、減価償却を毎期継続して規則的に 行なうことが重要なのです。

そして、これらの本来の適正な評価に斟酌したところで、費用を計上 してみると、黒字であったこの会社の決算書が赤字へと転落し、更には 純資産も小さくなってしまったという訳です。

※この会社は架空の会社です。亀谷会計事務所が作成する決算書は中小企業会計に関 する指針に基づき作成される適正なものです。


銀行がここを見る、企業の格付け
2006年7月

銀行各行が挙って預金金利を上げる、という記事をここ数日新聞で目にします。 ようやくゼロ金利時代が終わり、景気も上向きであることが感じられます。

そこで、今回取り上げるテーマは、金融機関が見る「企業格付け」についてです。
元大手都市銀行の法人営業部長兼支店長であった方からの体験談を基に、 金融調査マニュアルによる企業の評価基準とはどんなものかをお話します。

@企業格付け
債務者の信用リスクに応じた格付けで、信用格付けともいう。
具体的には、金融機関が取引先企業の今後3-5年間の信用力を評価するもの、正確な自己査定と 適切な引き当ての基礎からなるもの。
各金融機関により10-15段階に区分されている。この格付けは、結果的には決算書によってされる。
過去の決算書による情報を基にされるが、それと同時に先の目標値を設定する。
これは、事業計画書から基にされるので、企業経営者の腕の見せ所。いかに我が社をアピール できるかがポイント。
例えば、自社製品を写真などの資料を交え、売上・利益アップの説明付けをする。

A格付けの仕組みである定性要因としては、経営者能力、企業力(業歴、技術力、販売力など)となる。
B/Sを10年比較などし、問題点を見つける。
P/Lの比較では、売上総利益率が上がるのが強みであり、セグメントごとの粗利や利益率が悪い 原因追求ができているかといった、数字を直視できる経営者でないとダメ。
昔よくいた、”俺が担保だ”といった会社には融資はしたくない。

B自己査定
金融機関が自らの自己資本比率を算出するために、貸出債権など資産の健全性を自己評価する。
そこで、債務者を 正常先、要注意先、要管理先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先 の6区分に分類。
債権分類としては、債権の資金使途の内容を個別に検討、担保や保証等の状況を勘定して第T分類 から第W分類までの4段階に分類。

C円滑な資金調達に不可欠な企業の具体的な対応策
融資姿勢として、金融機関の担当が支店長クラスならば、融資先企業は優良であり、融資担当者であれば、悪と言える。
金利の水準としても、優良企業ほど、金利が低くなる。
金利は貸付先企業により驚くほど異なる。ここで、必ずといっていいほど、金利の交渉はすべきである。

D担保や保証
包括根保証制度が廃止され、担保期間、金額がシビアになる。

E審査用件
格付けが高いと借入審査がすぐにとおり、生産性が上がる。→借入の時間短縮→得意先回りなど

F審査プロセス
格付けが低いと金融機関サイドでの稟議や会議で借入までに時間がかかる

G格付けアップのポイント
・総資産の圧縮→売掛金回収サイトを短くする、ファクタリング・リースを活用し、リース期間を短縮する

・有利子負債の圧縮→運転資金を減らす
 運転資金が減れば、借入もその分減る。(運転資金が9,500万円必要であった場合、1億円の借入はせずに、 9,500万円の借入に止める)

・償却前営業利益の増加
 償却前段階で赤字である会社は、金融機関からすると事業価値なし。
 例えば、セグメント別でみて、採算が悪い部門を切る勇気を持たないと、全社を揺るがす。

この辺りにきて、元支店長は、涙を目に浮かべ、後悔の言葉を言った。
この元支店長は、当時バブル期絶頂におり、金融機関としても、過剰融資をし過ぎたと。
必要なだけのギリギリの融資で良いと分かっていても、当時はそれが出来なかった。
破綻懸念先にも融資をし、事業をやめるという選択肢を与えなかった。
もっと早くにその選択肢を与えていたなら、個人財産までにも手をつけることはなく、 会社の清算、社長個人の自己破産といった最悪の事態は回避できたはずだ。

H財務体質の改善
遊休資産の処分や預貸率の改善により借入金の返済

I租税公課の負担節約
B/Sにおける土地、建物等をスリム化することで固定資産税等が不要になる。


今後は。。。
バーゼルU
日米欧の銀行監督当局などからなるバーゼル銀行監督委員会が、銀行の健全性と 銀行間の競争条件確保のために作った国際基準が、国際決済銀行(BIS)の自己資本比率規制。
平成19年3月末日より実施。


役員報酬に関する改正『遡及増額の損金不算入』 
2006年6月

ホームページリニューアルに伴い、しばらくメルマガ、コラムをお休みさせて 頂きました。
役員報酬(特に同族会社)に関して近年稀に見る大改正が行なわれました。 まずはその第1弾です。

すでに周知のとおり、※2「事前確定届出給与」という制度ができたことから、 定期同額である役員報酬と、事前届出給与をした役員報酬のみが損金算入とされる ものと読むことができます。と、なぜここで”読むことができます”と言った表現に なるかと申しますと、国税庁は18年税制改正に合わせ、(※1)法基通9-2-9の改訂をせずに どうやら廃止する見込みだからです。

(※1) 現、法基通9-2-9によれば 定時総会で決定された役員報酬の増額部分を事業年度開始月 から増額改訂月までの増額部分を決議後に一括支給が損金算入が認められていました。
例えば、事業年度が4月〜3月の法人で、6月に定時総会を行なった場合、

旧報酬が50万円 新報酬が60万円とすると、
4月 50万円
5月 50万円
6月 80万円(4月分+10万円、5月分+10万円と6月分の60万円)

つまり、現規定では、この増額した20万円(4月分+10万円、5月分+10万円)は損金算入 されていましたが、法基通9-2-9廃止によると 、この20万円は損金不算入となります。
しかも、まだ検討段階だというのに、 18年4月1日以降開始事業年度から適用の見込み。

ここで、対処法を検討しなければなりませんね。 今までの経営予測を長期的に見直す必要があるということです。

私自身、この情報を入手し、慌ててクライアント様に報告しました。 昨今、このような急な改正が多く本当、頭が痛いです。

中小企業への規制がどんどん厳しくなりますが、皆さん頑張りましょう!

※2「事前確定届出給与」とは、一定要件の基、定期同額給与以外の支給をした場合(例えば 年3回の役員報酬を支払うなど)には、その旨予め届ければ、それは損金に算入 されるという規定。

税額控除を上手に利用しましょう『IT投資促進税制編』 
2006年3月

もうすぐ終了のIT投資促進税制についてご案内します。

先月、今月とクライアント様各社へは、18年度税制改正(案)及びIT関連税制の ご案内をしたところ、様々な質問が寄せられました。

例えば「ハードやソフトを購入しようと思いますがどの時期に購入するのが 得ですか?」というご質問。

その会社の状況によって、一概にどれが”得”ということは言えないのですが、 その選択をできるように前もって(購入前)打合せをすることが肝心です。

前回(2006年2月)にご案内しました『中小企業投資促進税制編』に至っては、 税額控除は取得価額×7%、特別償却は、取得価額×30%ですから、こちらとの選択だけで言えばどちらが 得かは一目瞭然ですね。

この18年3月をもって廃止される「IT投資促進税制」についての適用要件は以下 の通りですので、決算前に再度ご確認の上、有利選択(税額控除or特別償却or中小企業投資促進税制) しましょう。

青色申告法人が、新品の特定情報通信機器等を取得し又は製作した場合には、取得価額の10%の税額控除又は 普通償却+取得価額の50%の特別償却との選択適用(一定の要件を満たすリース契約によ り賃借するリース資産についても一定の税額控除を適用)が認められる。

対象者     ⇒ 青色申告法人
適用期間   ⇒ 15年1月1日〜18年3月31日までに取得又は製作し、事業の用に供する
条件      ⇒ 減価償却資産として計上
取得価額基準 ⇒ 情報通信機器等の取得価額の合計額・・・140万円以上
           ソフトウエアの取得価額の合計額・・・70万円以上
除外      ⇒ 30万円未満の少額減価償却資産の特例
有利選択   ⇒ 少額減価償却資産の特例、一括償却(固定資産税の対象外)と比較検討

更に詳しく、情報通信機器等とは、
○電子計算機及 ○デジタル複写機 ○ファクシミリ ○ICカード利用設備 ○デジタル放送受信設備 ○インターネット電話設備 ○ルーター又はスイッチ ○デジタル回線接続設備 ○ソフトウエア
と、一定の付属設備です。

なお、税額控除は、法人税額の20%を上限としておりますが、控除しきれない 部分は一定の要件のもと、翌期に繰越ができます。

※適用期間には、解散事業年度等は除きます。
※取得価額基準は、資本の金額または出資金額が3億円超の法人以外についての記載をしてございます。

税額控除を上手に利用しましょう『中小企業投資促進税制編』 
2006年2月

今回は、18年度税制改正大綱より、税額控除関係「中小企業投資促進税制」に ついて掘り下げてお話します。

中小企業者等が、一定の機械等を取得した場合には、取得価額の7%の税額控除又は 取得価額の30%の特別償却との選択適用(一定の要件を満たすリース契約によ り賃借するリース資産についても一定の税額控除を適用)が認められる。

対象者⇒ 資本金1億円以下の中小企業者等
適用期間 ⇒ 20年3月31日まで延長
適用資産 ⇒ 改正前と同じくハードウエア に加え、ソフトウエア(バージョンアップを含む)
価額要件(見込み) ⇒ 取得の場合...合計額70万円以上
            リースの場合..合計額140万円以上

条件 ⇒ 減価償却資産として計上
除外 ⇒ 30万円未満の少額減価償却資産の特例
     ソフトウエア販売会社が市販するために開発したソフトの原本
     会社が研究開発用のために購入したソフト
有利選択 ⇒ 少額減価償却資産の特例、一括償却(固定資産税の対象外)と比較検討

更に詳しく、このソフトウエアには、ワープロソフトや表計算ソフト、財務会計 ソフト、イラストや画像加工ソフト、組版ソフト、CADも該当する。
詳しくは、政省令が公表されてからになりますが、市販ソフト以外にも自社開発 や他社に委託して開発したソフトも該当する模様です。
例えば、顧客を管理するためのデータベースや予約システム、オンラインショッピング のプログラムなども含まれます。
加え、バージョンアップをした場合は、新たなソフトを取得等したとみなされるようです。


1人オーナー会社の役員報酬の一部損金不算入事件 
2006年1月

昨年末に18年度税制改正大綱が公表され、『1人オーナー会社の役員報酬の給 与所得控除に相当する金額の損金不算入』が大きな注目を集めています。 この改正は2006年4月開始事業年度から適用の予定。
損金不算入制度は過去3年間の所得の平均が800万円以下等の要件に該当すれば 除外されます。
ただし、2006年4月以降に設立される1人オーナー会社はこの除外規定がありません。

これは、2006年5月施行の会社法により1人オーナー会社が創りやすくなるため、 実質個人事業者と変らない会社の、給与所得控除の節税目的とした会社設立の役割を帳消しにするものと言えます。
元手(資本金)がなくても会社を創り易くするための会社法のはずが、一番の会社 設立のメリットである給与所得控除の損金不算入とは矛盾しているのではないかと 個人的には疑問に思いますね。(中小企業いじめでしょうか)
この大綱が成立したならば、給与所得控除の恩恵を受けるために出資比率を考え 直さなければならない会社がほとんどです。

16年分の法人数は257万2,088社のうち、資本金が1,000万円未満の会社は1,418,157社で全体の55.1%、 1,000万円以上1億円未満の会社が1,114,917社で全体の43.3%、つまり、資本金が1億円未満の 中小企業がほとんどを占めています。
資本金が1千万円未満の会社に至っては、1人オーナー会社は多く存在するといえるため、 中小零細企業には大きな増税となります。

月次監査にクライアント先に伺うと、「うちの会社は交際費を使い過ぎですか?」 と聞かれることがあります。交際費は売上を上げるためには必要なものと言えますが、 業種によっては交際費支出の差があるようです。
 国税庁はこのほど16年分の法人企業の実態を取りまとめ、それによると 全業種の交際費支出額は営業収入10万円当たり237円、過去最低だそうです。
業種別では(いずれも営業収入10万円当たり)建設業の517円、出版印刷業の405円、 ついで化学工業の342円となっています。
18年度大綱では、交際費支出5,000円/1人当たり(18年4月1日以降)であれば 交際費から除外されます。
これは、交際費支出を促す目的とされるのか、今までの実務では金額の提示が なかったので、だいたい3,000円/1人程度となんとなくグレーゾーンだったものがはっきりされたので税務処理がしやすくなりますね。

文中に出る「1人オーナー会社」 は、便宜上用いた言葉であり、1人でなくてもこれに 該当することもあるのでご注意願いたい。 詳しくは税理士にご相談下さい。


消費税の有利判定、本当に大丈夫? 
2005年12月

平成15年度の消費税法の改正に伴い、新たに消費税の課税事業者(※1) となるのは、個人事業者では、120万人ほど、法人では53万社ほどになっています。
2005年2月のコラムでも消費税ネタをお届けしましたが、この12月、新たに課税事業者となる個人事業者の 皆様のために、さらに掘り下げて消費税の仕組みについてお話しましょう。

(※1)課税事業者 消費税を納める義務がある事業者のこと

(1)有利判定のポイント

@計算方法を理解する

「本則課税」→●課税事業者の場合、届出不要
         ●免税事業者が本則課税で計算して申告をしたい場合には、届出が必要

「簡易課税」→●適用できる事業者が届出書を提出して、はじめて適用される。
         ●適用を受けようとする事業年度の前事業年度の末日までに届出
 (設立事業年度等は別途規定あり。16年4月1日以降開始の最初の事業年度に限り特例措置あり)
         ●この届出書を提出すると、提出後2年間はやめられない
        (ただし、免税事業者の場合、納付の必要なし)
         ●やめる場合にはそのやめようとする事業年度の前事業年度の末日までに届出が必要

 「本則課税」という計算方法は、簡単に言うと、こんな感じです。(売上が課税売上だけの場合)
 105万円で仕入れたパソコンを210万円で売上げた。→支払った消費税5万円、預かった消費税10万円
 10万円−5万円=5万円を税務署に納付

 「簡易課税」という計算方法は、簡単に言うと、こんな感じです。(小売業だけをやっていた場合)
 210万円でパソコンを売上げた。→ 預かった消費税10万円
 10万円−8万円(※2)=2万円を税務署に納付

 (※2)簡易課税は、支払った消費税を、実際に支払った消費税ではなく、支払ったものとして簡便的に   算出します。小売業の場合、売上の80%を仕入として計算しますので、10万円×80%=8万円が   支払った消費税となります。
  (卸売り90%、小売80%、製造等70%、飲食等60%、サービス50%)

A2年間を通年してトータルで判定する
 @での計算結果として、「本則課税」で計算すると、5万円を納付しなければならず、
 「簡易課税」で計算すると、2万円の納付で済みます。
 これだけで判定すると、「簡易課税」の方が有利ですね。
もし、次事業年度も同じ売上・経費等が発生すると予測するならば、「簡易課税」が有利でしょう。

   では、もし次事業年度に店舗を改築するので、1千50万円支出するとした場合どうなるでしょうか。
 この1千50万円も消費税が含まれていますので、計算式はこうなります。

 パソコン売上210万円(消費税10万円)→預かり消費税10万円
 パソコン仕入105万円(消費税5万円)、改築1千50万円(消費税50万円)→支払消費税55万円
 10万円−55万円=△45万円の還付←税務署から戻ってきます

 つまり、最初の事業年度で5万円納付しても、次事業年度に45万円還付がある方が有利ですね。
 これを見越して判定しなければなりません。
 この場合には、「簡易課税」を選択してはいけません

 実際に設備投資をする時になって、やっぱり「簡易課税」よりも「本則課税」が有利だったからすでにした申告を取り消しをしたい、ということは  できません

 そこで、この有利判定が必要になるのです。
 ここでは、「本則課税」と「簡易課税」だけの有利判定でしたが、もっと言えば、  設立1期目(事業年度初日が資本金1千万円の法人及び相続・合併等を除く)は、消費税は免税事業者ですので、  「消費税を納めなくていい」と喜ぶよりも、「消費税の還付はないか」を判定するべきなのです。

 何も資料を見ずにヒアリングもせず、「最初は消費税は納めなくていいのですよ」と言ったお恥ずかしい税理士 がいるようですが、きちんと判定してもらいましょう。
(判定ができないようでしたら危険です。。)

※ただし、今期初めて届出書を提出するとした場合について言及しておりますので、前期以前にすでに  届出をして適用を受けている場合には、必ずしも2年を通しての判定は必要になりません。

※表示した消費税は、簡便的に5%としてまとめて例示してあります。

※消費税は、複雑な税法です。単純にここだけに当てはめることもできないケースも多々ありますので、 実際に判定される時には、税理士にご相談下さい。

(2)平成15年度改正の内容おさらい

@適用期間 平成16年4月1日開始事業年度以降
      (個人事業者の場合は、17年1月1日〜事業年度)
A課税事業者 基準期間(※3)の課税売上高(※4)が1千万円超及び新設法人
B簡易課税を選択できる事業者 基準期間の課税売上高が5千万円以下
C届出期限 その適用を受けようとする事業年度の前年の末日まで
 (設立事業年度及び、特例措置が設けられている事業年度は、その事業年度末日まで
 個人事業者の場合は、17年に新たに課税事業者になる場合のみ17年12月31日までに届出でOK
 法人の場合、例えば3月決算法人ならば、17年3月31日までに届出でOK)

(※3)基準期間 1年決算法人の場合は2期前(今が第16期だとすると、基準期間は第14期)
         個人事業者の場合は2年前(今が17年なので、基準期間は15年)
    (ただし、相続、合併、分割、設立事業年度等は別の計算方法があります)
(※4)課税売上高 消費税の対象となる売上高から消費税の対象となる売上値引等を控除した金額
    (ただし、消費税の対象とは、免税売上・値引き等も含まれます)

 ここで、この課税売上高の金額を求めるのに、注意が必要です。
 この判定に使う、「基準期間の課税売上高」の金額は、
 ●基準期間が、免税事業者(※5)であった場合には、決算書の売上高の金額 (消費税の課税・免税の合計、非課税売上は除く)のこと。
  つまり、消費税込みの金額で判定します。(これで税抜きとみる。ちょっとややっこしいですね)
 ●基準期間が課税事業者だった場合には、消費税申告書の「課税資産の譲渡等の対価の額」の金額   のこと。

(※5)免税事業者 消費税を納める義務がない事業者


年末調整の時期がやってまいりました 
2005年11月

早いもので、もう年末調整の時期です。
早速今年の改正点・注意点についての内容に入ります。

《17年改正点》
@ 老年者控除(※1)が廃止されています。
A 国民年金保険料等(※2)の社会保険料控除について、その保険料等の支払 をした旨を証する書類を年末調整の際に添付しなければならないこととされています。

※1 所得者本人が年齢65歳以上で、かつ、合計所得金額が1,000万円以下である場合に所得から50万円を控除するもの
※2 昨年までの年末調整では、自己申告により、年中に支払った国民年金保険料・国民年金基金掛金を控除していました。
今年の年末調整では、国民年金保険料等について、社会保険庁より送付されてきた 「社会保険料控除証明書」を添付します。
       
  これって、例の国民年金のCMに出ていたタレントの年金不払いに影響するものでしょうか。
  あの時、彼女は「すべて税理士に任せていましたので」とコメントしていましたが。。
 11月5日に一斉に発送したそうですので、もう皆さんのお手許には到着しているはずです。
 
B 住宅借入金等特別控除の適用対象となる中古住宅の範囲に、 地震に対する安全上必要な構造等の一定の中古住宅が追加されました。

《注意点》
@保険料控除証明書は9月30日までに支払ったものの金額が印字されているものがほ とんどです。10月1日〜12月31日に支払った、支払う予定のものの金額 も含めて申告しましょう。

A今年の年末調整では、「平成17年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を使用して年末調整を行ないます。

これは、昨年の年末(年の途中で入社した方は入社時)に一度記入しているものです。これを今年の12月31日の現況に訂正等し、今年の年末調整で使うわけですが、誤って18年分を使って年末調整 をしないようにしましょう。
この18年のものは、18年に給与が支給される時までに記載するものですので、ほとんどの会社でこの年末調整時期に一緒に記入して もらっていると思います。
この用紙を間違えてしまうと、特定扶養親族の年齢の判定が1年ズレてしまいます。ご注意下さい。

《FAQ》
Q1 当社の従業員Xは、当社の給与以外に家賃収入があり、毎年確定申告をしています。
 従業員Xからは、「確定申告するから、私の年末調整はしなくていいです。」と言われましたが、それでいいのでしょうか?
A1 従業員Xが、こちらの会社が主で給与を受給していて(給与所得者の扶養控除等申告書を提出している)こちらの会社からの 給与総額が2千万円以下であれば年末調整をしなくてはなりません。

Q2 当社の給与規定では、毎月1日〜末日までの勤務実績を基に翌月10日に給与を支給しています。
 したがって、12月中の勤務実績に基づく給与は翌年1月10日に支給します。この場合、年末調整の対象 となる給与には、翌年1月10日支給分を含めるのでしょうか?
A2 年末調整は、本年中に支払の確定した給与について行ないます。この確定する日は、支給日が定められた日です ので、翌年1月10日に支給する給与は、本年の年末調整の対象となりません

《18年分の所得から適用される主な改正点》←18年1月1日〜のものです。 今回の年末調整では関係ありません。
@ 定率減税の額が (旧)所得税の20%(上限25万円)⇒(新)所得税の10%(上限12万5千円)

この影響で、18年1月〜支給の給与・賞与・公的年金から控除される源泉徴収税額も変ります。
18年1月以降の給与計算には、「給与所得の源泉徴収税額表」は古いものは使わないように注意して下さい。
給与計算ソフトのバージョンアップは、17年の年末調整が完了した後、18年の給与計算前に行うこと!お間違えのないよう。


「預金者保護法」要綱 
2005年10月

昨今ATM、インターネットバンキングの普及に伴い、偽造カードを使用したり、フィッシング(利用者から暗証番号を不正に盗み取る) などにより、他人の口座からお金を引き出すという悪質な犯罪が横行しています。
警察庁によると、2004年の偽造・盗難キャッシュカードによるATMからの不正引き出しは、全国で3448件被害総額24億 249万円。
これまでは、各金融機関の約款に従って被害者に対する対応が採られてきたので、被害者が泣き寝入りをしていたことが多かったが ようやく、一定の範囲で預金者を保護する制度が制定されることとなりました。

「預金者保護法」というもので、平成18年2月10日施行予定です。
では、種類別に解説しましょう。 (一部、分かり易い言葉を用いているため、原案と異なった表現であることをご了承下さい。)

≪偽造カード≫
重過失→保護0
軽過失→100%保護
過失無→100%保護

≪盗難カード≫
重過失→保護0
軽過失→75%保護
過失無→100%保護

盗難通帳
預金者保護法施行〜2年後に見直し。原案では保護の対象とはなっていない

フィッシング
預金者保護法施行〜2年後に見直し。原案では保護の対象とはなっていない

【重過失】
@他人に暗証番号を知らせた
A暗証番号をカードに書いた
Bカードを安易に第三者に渡した
等の注意義務違反に限定

【軽過失】
@カードと暗証番号のメモ・生年月日・電話番号を記した書類を一緒に保管して盗まれた
 (免許証や保険証なども)
A金融機関から何度も暗証番号の変更を促されながら応じなかった
Bカードを施錠のない場所などに保管
C車上荒らしに遭いカードを盗まれて暗証番号が車のナンバーだった
のうち、複数項目に該当した場合に総合的に判断

【過失無】
@強盗に刃物で脅されて暗証番号を教えた
Aゴルフ場やコインロッカーなどでカードの情報だけ盗まれた

【届出義務】
被害に遭った預金者は警察と金融機関への被害届け出が必要で、原則として届け出から 30日前までのATMでの引き出し・借入被害が補償対象となる。
病気などで長期入院中の場合などに関しては2年以内に届出が必要となる。

いずれにせよ、暗証番号の管理がポイントです。
暗証番号は身近なもの(生年月日、車のナンバー、電話番号、住所など)にしないことと、 ちょっと面倒ですが、マメに暗証番号を変更するのが得策でしょう。

固定資産税を安くする 
2005年9月

固定資産税は、周知のとおり、賦課課税(役所が税額を決める)ですが、その税額が適正かどうかなんて 考えた事はありますか?役所から来た納付書だから間違えがないなんて思ってしまいますね。 そう言えば、8月19日の新聞に、ある地域で不動産取得税の納付書の税額の桁が一つ多く印字したまま 納税者に送付してしまった。なんて書いてありました。これは印刷所のミスらしいですが、役所のチェックなし とは。。。
固定資産税を計算するのは、役所ですが、東京23区は都税事務所でそれ以外は市町村です。この市町村の職員は、役所に就職するとき、固定資産税専門 の「資産税課」に就職したのではなく、単に「役所」に就職したのです。そして3〜4年毎に役所内の各課へ配転 されながら今日に至っているのが一般的です。ですから、今日は資産税課でも、昨日までは市民課の窓口業務 だったりします。
では、税理士はどうでしょうか。固定資産税に関してコンサルティングや別途報酬を受けているところは ほとんどありません。地方税のしかも賦課課税ですから、こちらが申告書を書くこともないので、すべての税理士が 固定資産税に関しての知識がある訳でもありません。
と、こんな話ばかりですと、誰を信じていいのかって不安になりますね。

では、ここから、固定資産税について、少し掘り下げてお話します。

長年家屋を所有している方は、今まで固定資産税について建物の価値が毎年下がっているのに、固定資産税があまり 変らない、と疑問を持たれたことがあると思います。
家屋の評価について、納税者の多くが誤解していることがあります。減価償却方式(取得価額△減価償却費=帳簿価額) だと思っていませんか?家屋の固定資産税の評価はこれではなく、再建築価格方式(再建築費△経年による減価等=建物の価格)なのです。 再建築費とは、その家屋と同じ家屋を新しく再建築した場合の費用です。
企業会計の減価償却方式では、建物の帳簿価額は減価償却された分だけ毎年下がりますが、再建築価格方式では、資材費や労務費の上昇 による再建築費の上昇率が経年による減価率を上回ることが多かったため、建物の評価額は下がらないとこが多かったのです。

さて、次に固定資産税を安くするアプローチを少しだけご紹介します。

@住宅用地は固定資産税が軽減される。
 この、住宅用地は自用としての土地だけではなく、アパートやマンション等の敷地、定期借地権 を設定している場合も含まれます。
従来店舗などの敷地に利用されていた土地を住宅用地として利用するようになった場合には、役所に届け出て非住宅用地の課税を 住宅用地の課税に変更してもらう必要があります。
具体的には、小規模住宅用地(住宅1戸につき200uまで)なら、土地の評価額×1/6
一般住宅用地(200uを超える部分の住宅用地)なら、土地の評価額×1/3 の特例措置があります。

A住宅用地の軽減特例の上手な利用
アパートに隣接した駐車場の間にフェンスがあり、登記上も2筆にしています。駐車場の契約者のほとんどが アパート住人であれば、そのフェンスを外して、登記上も2筆を合筆して1筆にすれば、駐車場の土地も住宅用地の 軽減が適用対象となるでしょう。
(注意 登記上、1筆に合筆すること、あるいはフェンスを外してということが必ずしもこの特例の適用可否の絶対 条件ではありません。)

この他にも固定資産税を安くするアプローチはありますので、信頼のできる税理士にご相談下さい。


従業員を動かす 
2005年8月

「うちの従業員は**ができなくてね〜。」「うちの従業員は**がだめなんだ。」従業員が社会的常識がない!と悩みの種の経営者 は多いのではないでしょうか。

その常識って、何を「モノサシ」 にしているのですか?人によって それは違います。もちろん、会社対お客様の関係でもその常識 がズレているとクレームにつながります。
そこで、経営者もお客様も満足できる従業員にするためにはで すが、従業員が自ら考えることです。

従業員に対し、「これはいけない、これはだめ」というような否定を すると従業員は緊張し、萎縮(いしゅく)してしまうようになります。
そうすると、会社で作ったマニュアルに沿った行動しかとれなくなり ます。
このマニュアルだけで経営者とお客様が満足するような従業 員になれば言うことはありませんが、そのマニュアルだけで済めば、 どの会社でも苦労はないはずです。

では、否定系の言葉を使わずに経営者の意思を伝えるにはどうし たらいいか。
まずは、これはやってはいけない、やらないで欲しいと 思うことを箇条書きにします。 そして、次にそれを肯定系に変えます。 つまり、「**はいけない」→「**をする」 それから、従業員が実際に経験した、お客様から喜ばれたことを従業員全員で 共有することです。
従業員の一人が、喜ばれた経験談を従業員に話す→皆が賛同する →その従業員は認められたと認識する。 ここで、従業員は自分の 存在を認められ働く意欲がわいてきます。これが他の従業員にも広がり相乗効果となります。
そこで、どうしたらお客様に喜ばれるかを自ら自然と考えるようにな るのです。

さて、ここでご注意頂きたいのが、せっかく従業員間の雰囲気がよく なっているのに上司や経営者が仕事場に戻って来た途端、場の雰囲 気がシラケル。これはまずいです。 従業員が萎縮している証拠です。
萎縮すると脳のα波が減少し、作業効率が悪くなります。 もちろん、創造 力は極端に低下します。 それを改善するのは上司、経営者本人の問 題ですね。上司たちは従業員を信頼し、 さらには従業員から信頼さ れる関係を築きましょう。


マルサの話 
2005年7月

マルサ話の前に、先月29日、3月決算の企業のうち、1,600は一斉に株主総会を開催した。取締役の報酬や企業防衛策に関し、「もの言う株主」が急増した。これが、本来あるべき株主総会ではないでしょうか。
株主は、出資をしているという リスク(一歩間違うと株券は紙くずですからね)を負っている分、企業は業績を上げる責任と業績に見合った配当をするべきであると思います。

日経新聞でも、決算公示がされておりましたが、ここで中小企業の経営陣の方々へ、同業種の目標とする会社を選定し、(金額のケタは違うものの)その企業に近づけるような決算書を作れるよう目標を掲げてはいかがでしょうか?

さて、話はそれましたが、国税庁は、このほど16年度の査察実績を発表し、査察着手は210件、検察庁に告発したものは152件、総脱税額は282億円。業種別に、1位は飲食料品小売業、2位は機械器具小売業、パチンコ業、医療業が並び脱税の手口は架空人件費の計上売上除外を行なったものが多く見られた。

例えば輸入商品を扱っている会社では、 虚偽の契約書を作成して架空外注費を作成し、海外送金した上で代表者名義の海外預金にしていたという。
また、脱税による隠し手口としては、居宅洗面所の鏡の裏側の壁を切り抜きその内側に現金や株券を隠していたり、居宅のクローゼットの衣類吊り下げ用パイプの中に貸し金庫の鍵を隠していたという。

あの映画のようなことが実際にあるんですね。

さて、実際の査察査察がある以前に兆候は見られないかということですが、査察経験者談では、 数日前から人につけられていると思った
と言う。どうやら、日常生活でどのくらいお金を遣っているのかを調査するのと、もし自宅以外に隠し場所があるとしたらその場所の候補を探すためではないでしょうか。よくある事で、愛人マンションに隠していた、とか、愛人のマンション家賃を払っていたとか。。
もちろん、預金口座はすべて押さえ、さらには家族の預金も調べているという。査察は、社長の自宅へ捜査令状のようなものを持って現れ強制で捜査が始まる。同時に家族宅への捜査もして、逃げられないようにするという。質問は、**日に◎◎スーパーへ行ってたのは何を買ったのかとか、美容院はどこへ行っているのだとか。

次に査察ではないのですが、任意調査についてです。
先に挙げた売上除外では、 見つかるはずがないと思っている現金商売でもバレてしまいます。どこからバレるかは何通りもあるようですが、来客名簿から判明したり、仕入などからも売上を推測できます。
もしかすると本来の売上よりも多く見られるかもしれませんが、こちらとしては、反論の余地がありませんから、言われるままに売上追加修正をします。

結局のところ、加算税などで、本来納めればよかった税額の3倍以上の金額を納める事になります。
昔は個人事業者へは税務調査がこないと言われたそうですが、最近は違います。
小規模の個人事業者のところにも調査が入り、色々と指摘されるそうです。
適正な経理と、脱税ではなく 節税を心がけましょう。


会社法施行後の有限会社 
2005年6月

現在、国会審議中の会社法が成立して施行された場合、既存の有限会社はどのようになるのか、パターン別に解説します。

《何もしない場合》
特別な手続きなしに「特例有限会社」という会社法の規定による株式会社として存続することになり、「有限会社の定款」→「株式会社の定款」
「社員」→「株主」 「持分及び出資1口」→「株式及び1株」とそれぞれみなした上で有限会社の商号使用が強制される。
つまり、会社法施行後、既存の有限会社は、ほぼ現行の有限会社類似のまま、「会社法上のみなし株式会社」として存続する。
従って、取締役・監査役の任期、決算公告の義務がないというのは、従来どおりの有限会社類型の特例が受けられるメリットがある。

《会社法施行後の株式会社への移行》
会社法施行後の既存の有限会社の株式会社への移行では、資産の評価益計上ができない点に留意しなければならない。
施行前の組織変更時のような公告等が不要であり、より簡易に株式会社への移行が可能となっている。
この場合には、施行前の組織変更を行なう場合の1,000万円の最低資本金規制はなく、そもそも組織変更ではなく、商号変更となるからである。
従って、取締役・監査役の任期、決算公告の義務がないという特例が受けられないということになる。
---登記について----
商号変更のための定款の変更は、登記を行なうことによって、その効力を生ずることとされており、具体的には、特例有限会社の株主総会で定款変更の決議後、本店所在地の場合には2週間以内に、支店所在地では3週間以内に、特例有限会社については「解散」の、商号変更後の株式会社については「設立」の登記をしなければならないとされている。(同法36条)
なお、登記の効果としては、株式会社の商号を使用する、経過措置で特例有限会社に認めれれていた旧有限会社法上の特例を受けない、ということの意思表示であって「組織変更」のための登記という位置づけではないということが明らかになった。


売上修正(返品、値引等)があった場合の税務調査のポイント 
2005年5月
売上値引や売上割戻し等、いわゆる売上げ修正については、それをいつの時点での売上げの修正とすべきかが問題となります。
企業会計上においては、販売年度にさかのぼって修正するということも不可能ではないかも知れません。しかし、税務上においては、そのような処理を認めると恣意的な操作も可能になってしまいます。そこで企業サイドの自主性を尊重しつつも、課税の公平を保つ観点から次のような処理にすることとしているわけです。


返品があった場合......原則、返品通知のあった日の属する事業
                   年度の売上から控除

売上値引きがあった場合...原則、値引きをした日の売上から控除する

売上割引があった場合....割引を行なった日の属する事業年度の
                   営業外費用又は売上から控除します

したがって、税務調査にあっては、次のような処理が適正になされているか否かについてチェックがなされます。

@返品等に係る経理処理は、発送通知日となっているか
  受取日としているときは、継続的にそうなっているか
  また、返品の通知があった売上げから控除していないにも拘らず、
  棚卸資産への計上がないようなものがないか

A売上値引についても、返品等と同じ処理(通知日又は受取日に計上)
  となっているか

B売上割戻しについて継続適用はなされているか

C売上割戻しの金額について、相手方がその利益の全部又は一部を実質的に享受することができない状態にあるにも拘らず販売事業年度又 は通知日の属する事業年度の損金又は売上からの控除としていないか

D当方から相手方に支払われた金額は、相手方において正しく計上されているか
  また、双方の金額、計上日等が不一致の場合、合理的な理由はあるか

E売上割戻しのうち、得意先の会社でなく、その役員や従業員に支払われているものはないか
(注)これらについては、売上割戻しではなく、交際費となります。
  なお、支払に代えて、得意先を旅行、観劇等に招待した場合も交際費となります。

F相手方から支払金の一部が還流しているようなことはないか(特に、当方の渉外口座又は個人等に)

G利益操作のため繰上計上や繰越計上がなされていることはないか


収益(売上げ)の計上・税務調査のポイント 
2005年4月
収益の計上について、税務調査で最も重点がおかれるのは売上除外の発見です。それに対し、売上の計上時期等については、いずれ収益として計上されるものです。そのため、この分野について問題になることはあまりないと考えておられる方が多いのではないでしょうか。
しかし、税務上、課税対象所得は各期間ごとに計算することとされています。このようなことから、税務調査においても課税対象所得の計算が正しく行なわれているか否かのチェックが行なわれることとなります。 収益の帰属年度は次のとおりです。

商品・製品等の販売・・・・・引渡しがあった日の属する事業年度

委託販売・・・・・・・・・・受託者が販売した日を含む事業年度
               例外、売上計算書の到達した日(継続)

長期割賦販売・・・・・・・・賦払期間が2年以上であること等所定の用
                 件を満たせば延払基準によることもできる

試用販売・・・・・・・・・・相手方が売買の申込に対し承諾をした日の属
                 する事業年度

予約販売・・・・・・・・・・引渡しをした日を含む事業年度

商品券・・・・・・・・・・・顧客が商品券を使用して商品に換えた日の属
                 する事業年度

通常の請負・・・・・・・・・引渡し又は役務完了の日の属する事業年度

税務調査のポイントと要注意事項

@売上げの意図的な繰り延べ等はないか
 
A例えば出荷基準、検収基準等のいずれかによっている場合、毎期
  それが継続して行なわれているか
例えば、出荷基準にしているとしていながら、自分の都合又は相手方の都合により、あるときは検収基準により計上していることはないか

B棚卸の引渡しが完了しているのに、販売代金の額が未確定という
  理由で翌期以降の売上げとしているものはないか

C売掛金や受取手形等の計上と不一致のものはないか

D得意先等に対する低価販売等で交際費に該当するものはないか

E請負による収入は、引渡基準又は役務完了基準により正しく計上さ
  れているか

F委託品についての売上計上は正しく行なわれているか

G売上除外等(いわゆる売上げの計上もれ)の事実はないか
・・・この点は税務調査で最大のポイントです。これがありますと、重加算税対象となることは必至ですので、必ず再点検しておいて下さい。



発注元との打合せ酒食が「交際費」に該当するとされた事例 
2005年3月
交際費か会議費か、何を基準に処理していますか?

今回の事例は、テレビ等の企画・制作等を行なう会社が発注元スタッフらと打合せ等のために飲食した際の酒食代として支払われたものについてです。
(東京地裁平成15年(行ウ)第284号平成16年5月14日判決言渡し(確定))

本件各支払金額は、いずれもそれぞれ一件1万円を超えるものであり、最も多額のものは3名の打合せ飲食代7万476円である。
本件各支出には人数の特定されていないもの もあるが、全体を見ておおむね一人当たり3,000円以上であり、一人当たり4,000円から5、6,000円程度のものが多いが、1万円以上のものもある。
支払先は、いずれも、ジャズレストラン、スナック、居酒屋、鮨屋、割烹料亭、しゃぶしゃぶ店、串焼き店、天ぷら屋、ステーキ店、鉄板焼屋、ふぐ専門店等の酒食を提供する料理店である。

さて、会議費は、「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」とされているが、判決では、この会議費用は、企業に通常必要とされる内部的な費用であって、接待供応等という文言になじみにくいものであり、またその支払先も、酒食を提供する料理店であり、通常会議を行なう場所ということは到底できない所ばかりであるから。。。と続く。

経理処理上、会議費、交際費の区分は難しいところです。
そこで、具体的に会議費、交際費規定を設けている会社も多いようです。そこまでできない会社については、グレーゾーンを明確にしておく必要があります。例えば、領収書に、打合せ人数、相手会社名は必ず明記するようにしましょう。
また、一人3千円以下についてなおかつ、酒は1人1杯までのものは会議費で、それ以外は交際費。といった具合です。
3千円くらいとか、1杯くらいなどとすると、ラインがはっきりしませんので、1円でも出たら交際費とする。と少し細かすぎるようですが、この辺りをきっちりすることが重要です。



消費税簡易課税の提出期限の特例
2005年2月
15年度税制改正により、消費税の納税義務者となる基準(3千万円超から1千万円超)が引き下げられたとともに簡易課税制度の適用上限も2億円以下から5千万円以下に引き下げられた。

この改正で課税事業者となると見込まれる者に税務署から『消費税課税事業者届出書』と『消費税簡易課税制度選択届出書』が送付されてきています。
一緒にしおりが入っていますが、読んでもよく分からずにこの2つの届出書に記載して提出してしまう方も少なくないでしょう。
昨年の暮れに駆け込みで消費税の計算の有利判定をご依頼された個人事業者が事務所にいらっしゃいました。

事業主「税務署からこれを出してくれって来たんですけど」

税理士「この『消費税課税事業者届出書』は、消費税の納税義務者
     となった決算期に消費税の申告書用紙を送って下さい。って
     ものです。」

まあ、これを出さないからと言って納税義務者とならないのであれば、
皆さんそうしますからね。ただ、これを出さないとお尋ねが来ますけど。

事業主「そうですか、では出しておきます。」

税理士「ちょっと待って下さい。本当に納税義務があるか確認しましょう。」

決算書を見て、売上の内容などをチェックして試算する。
    「納税義務があるようですので、『消費税課税事業者届出書』を作成します。」
それと同時にその翌年は納税義務がないことから『消費税の納税義務者で
なくなった旨の届出書』
を作成する。

     「さて、次に、消費税の計算方法がいくつかあるので有利判定をし
      ましょう。」
前年以前の実績と、この納税義務者となる年の売上、経費、設備投資などの見込みとを元に消費税の有利判定を試算してみる。
タラレバの前提をいくつか言った上で、今回は本則課税が有利でした。
     「つまり、今回は『消費税簡易課税制度選択届出書』は出してはいけません。

という結果になりました。
さて、ここまでが今までの通常の流れです。この有利判定をその事業年度の開始の日の前日までにして届出をしなければなりません。

今回、税務署側は、多くの小規模な事業者が消費税の計算をしなくてはならないということで、この改正によって課税事業者となる事業者は平成16事業年度終了の日(個人であれば平成17年12月31日)までに『消費税簡易課税制度選択届出書』を提出すればいいという提出期限延長の措置がされています。
また、『消費税簡易課税制度選択届出書』を提出した場合でも上記の提出期限までであれば、取り下げることが可能とされています。


奥様のパート収入はいくらまでが得?
2005年1月
17年度税制改正の大綱も発表され(当ホームページの税制改正のページに記載)増税感が増している。
昨日、サラリーマンの奥様より、表題のとおりご質問があり、それについて、概略を説明しました。

サラ妻「今年の私の収入は99万円でしたので主人の扶養のはずですが、
      扶養に入っていないようです。
      主人の年末調整で戻ってくる税金が昨年より少ないのです。」

税理士「今年(16年)の改正で、配偶者特別控除の一部廃止がありました
       のでご主人様の年収にもよりますが、3〜5万円くらい昨年より
       還付が少なかったのでしょうか。」

サラ妻「それくらい違いますね。」

税理士「ご主人様の源泉徴収票を見て下さい。」と言って、摘要欄に扶養の
     氏名が書いてあること、その他の事項を確認する。

税理士「ご主人様の扶養には入っていますよ。配偶者控除(38万円)は計
     算されています。
     配偶者特別控除の適用はなしですので、この分昨年より還付が少
     ないのです。」

サラ妻「昨年は配偶者控除と配偶者特別控除の合計76万円控除されていた
     のに今年から38万円の控除だけなら、もっと働いてしまった方が
     得なのですか?」

税理士「一概にそうとも言えません。税金は、所得税だけでなく、住民税も
     あります。 扶養になると、所得税、住民税をあわせて5〜7万円
     くらいご主人様の税負担が減ります。」
    「しかし、これよりも今は、上がり続けている社会保険料負担の方が
     問題
です。」

サラ妻「今は主人の社会保険の被扶養者になっていますので、私は何も負担
     していません


税理士「そうですね。社会保険の扶養の範囲は、パート収入(年齢65歳未満)
     130万円未満ですので、そのラインで見る方が重要かもしれません。」
     「パート勤務先で社会保険(組合又は政府管掌健康保険と厚生年金)
     に加入することになるのであれば、収入に応じて社会保険料を納めな
     くてはなりません。社会保険制度がないのであれば、前年の収入に応
     じて国民健康保険料(介護保険料)と国民年金(現在は毎月13,300円
     の定額)を納めます。
     ですから、社会保険の扶養になれないと、年間で最低15万円は負担
     増
となるのです。」
 
 
平成16年 年末調整の改正点
2004年12月
最近、定率減税の廃止(案)や老年者控除の改正で何かと増税と言わ
れております。定率減税や、老年者控除の改正は来年(平成17年)
以降の実施であるため、この16年の年末調整での改正

@「配偶者特別控除の重複適用廃止」
について図表にして説明します。
※この表は配偶者が給与所得のみの場合です。改正点はピンクで表示。

[給与収入]    [配偶者控除]   [配偶者特別控除]
103万円未満 38万円
105万円未満 38万円
110万円未満 36万円
115万円未満 31万円
120万円未満 26万円
125万円未満 21万円
130万円未満 16万円
135万円未満 11万円
140万円未満 6万円
141万円未満 3万円

その他の改正点
A「住宅借入金等特別控除制度」について、この制度の適用期限が平成20年12月31日まで延長されるとともに、平成16年1月1日から平成20年12月31日までの間に住宅を居住の用に供した場合の控除期間、住宅借入金等の年末残高の限度額及び控除率を改正しました。

B「給与所得者が勤務先から住宅取得資金の低利融資」
どを受けた場合の経済的利益等を非課税とする課税の特例制度の適用期間が、平成18年12月31日まで2年間延長されました。

C「交通用具を使用している給与所得者の通勤手当の非課
税限度額の引き上げ」
がされました。


役員報酬の取扱
2004年11月

会社が賞与を支払う際、役員分は損金不算入であることは周知のとおりです。商法上、役員とは登記簿に記載された役員、出資割合などにより判定されますが、今回ご紹介するものは『商法上役員でない者が役員と認定され、その賞与が損金不算入とされた事例』です。
つまり、商法上、役員ではないという形式に係わらず、事実関係を重視し、、役員と同様の業務内容、同族関係などにより、税法上役員として取り扱われることがありますのでご注意ください。

1事実
X会社の役員構成は、代表取締役にA、取締役にAの実弟B・義弟Cがなっており、 B,Cは他に 職業を有し、X会社の職務に専従していない。また、甲は代表者Aの次男である。
なお、X会社は同族会社であるが、出資割合は、Aが6割、B及びCがそれぞれ2割である。X会社は同社の業務に従事している甲に対し、各年度に8万円ずつの賞与を支給し、損金の額に算入し、確定申告を行 なっていた。
これに対し、Y税務署長は、甲はX会社の役員に該当するから本件賞与は役員賞与であり、損金の額に算入できないとして更正処分等を行なった。

2争点
争点は、本件賞与の損金算入の可否にあるが、その前提として、甲がX会社の役員に当たるか否かが争われた。

(X会社主張)甲はX会社の代表者Aの同族関係者ではあるが、 X会社の出資者ではなく、また、役員として登記されておらず、単なる使用人としてX会社に勤務していたものであるから、本件賞与は使用人分として損金の額に算入されるべきものである旨主張。

(Y税務署長主張)X会社の取締役B、Cはいずれも別途職業を有し、 X会社の営業に全く関与せず、X会社から何らの報酬を得ていないし、
また、X会社の代表取締役であり同社が同族会社であることの判定 の基礎になるAも、老齢のためほとんど同社の業務に従事しておらず、もっぱらAの同族関係者である甲がX会社の営業活動の中心となっている旨主張。

3判決要旨
B,CはX会社から何らの報酬も受けていず、単に個人企業的色彩の強いX会社の当初の出資者として形式上取締役になっているにすぎないこと、代表取締役AもX会社の業務に従事してはいるものの、すでに老齢でであって、むしろ同人と生計を一にする次男甲がX会社の営業活動の中心となり、商品の仕入、販売ならびに集金等の業務を担当していること、以上の事実が認められる。

してみれば、甲は、形式上役員として登記され ていず、X会社に出資していなくても、X会社の事業運営上の重要事項に参画しているというべきであるから、旧法人税法施行規則10条の3第5項に規定する「その他使用人以外の者で法人の経営に従事しているもの」に該当し、同人を税法上X会社の役員として取り扱うべきである。そうする と、X会社が甲に支給した損金計上の本件賞与は、同規則10条の4により損金の額に算入すべきではなく、X会社の計算を否認してなしたY税務署長の本件更正等処分はいずれも適法である。
山口地裁 税務訴訟資料41号330頁


赤い羽根募金
2004年10月

毎年10月1日〜12月31日まで、恒例の赤い羽根共同募金運動が全国で一斉に行なわれていますが、寄付する法人側から見れば、寄付した金額でが指定寄付金として損金算入できるのかがきになるところでしょう。
 
赤い羽根募金は、社会福祉事業に必要な基金等のための寄付金として、財務大臣による包括指定を受けているので、10月1日〜12月31日までの指定期間において、法人が各都道府県の共同募金会に寄付した場合、もしくは町内会等に対する寄付金であっても共同募金会から委託されたものであれば、指定寄付金として法人は全額を損金に算入でき、個人は1万円を差し引いた後の金額が所得控除できます。

また、法人の申告手続きに当たっては、寄付をした日、寄付先、告示番号等を記載した寄付金の損金算入に関する明細書(別表十四(一))の添付が必要となるので、寄付をした際に領収書の受領を忘れずに確認しておきたいものです。

個人の手続きは、確定申告用紙に所得金額と寄付金額を記入し税額を計算して、確定申告又は住民税の申告期限内(その年分の翌年の3月15日まで)に税務署長に申告し納税又は還付を受けます。
また、サラリーマン等所得税、住民税の源泉徴収をされている人であっても、確定申告期限内に申告すれば、既に徴収された所得税、住民税の一部が還付されます。
なお、寄付金控除を受けようとする人は、申告にあたっては共同募金会の発行する専用の領収書を添付する必要があります。また、サラリーマン等は、申告にあたってはその年分の所得金額と税額を証明するため、勤務先から交付される源泉徴収票もあわせて添付する必要があります。


同一生計妻に対する住民税の非課税廃止

個人の住民税は、年末調整をしていれば会社が申告してくれますから、あまり気にしたことがないかもしれません。

改正前、個人の住民税の均等割りは、年額3千円から4千円(市町村の人口により異なる)であり、そこに所得に応じて所得割が加算されていました。
均等割りの納税義務を有する夫と生計を一にする妻で夫と同じ市町村内に住所を有する者(いわゆる「同一生計の妻」)については、均等割りが非課税とされてきました。これは、夫婦を社会生活上の単位として一体と見なして、夫に課税した場合には、妻に二重に課税しないことが適当との趣旨で導入されたものですが、現代においてはむしろ、同一生計の妻だけは、いくら所得を得ても均等割りが課税されず、課税の公平の観点から、不公平ではないかとの指摘がなされるようになっていました。

今回の改正では、
1. 同一生計の妻に対する非課税措置を廃止(年間収入100万円超)
2. 人口段階別の税率区分の廃止により、標準税率3,000円(年額)に統一となりました。
1.の非課税措置については、平成17年度から段階的に廃止となり、17年度
  分は2分の1の2千円、18年度から全額4千円で課税することとされました。
 

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